ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

鍋倉新田用水路からの…新田堰頭首工

2024-08-12 06:59:37 | 岩手(ダム/堰堤)
どーも、ワシです。今回は岩手県花巻市湯口志戸平(ゆぐち しどだいら)にある北上川水系豊沢川に設置されている新田堰(しんでんせき)頭首工を目指します。まあ、目指すというよりも実は当初ここは訪れる予定でなく、前回記事にした豊沢ダムに向かって県道12号を登っている途中で見かけたというのが実際のところなんですけどね。「あ、なんか、あるじゃん」ってな感じで。

これが新田堰頭首工。よく見ると豊沢川の右岸側にはゴム堰(ゴム引布製起伏堰)があるじゃあ、あーりませんか!

この頭首工名の「新田堰」は江戸時代初期に開田された鍋倉新田(なべくらしんでん)に由来します。そのための用水路が天和(てんな)三年(1683年)頃に作られたそうな。

で、現在の新田堰頭首工で取水した水は、ここから直線距離にして約1.8km下流のところにある花巻市クレー射撃場近くの大分水工で南北にさらに分水され、それぞれ北幹線水路と南幹線水路として周辺の農地の用水として供給されています。
また、同頭首工で分水した水は灌漑だけでなく上下水道の取水、防火用水、発電、生活排水浄化のための水としても用いられており、地域住民にとって重要な施設になっています。


頭首工の建物の壁面には複数の水利使用標識が貼られていて、それぞれの目的の欄を見ると上に書いた「灌漑、水力発電、上水道用水」のための使用標識であるのがわかります。


ざっと水の流れを追ってみます。上流方向から流れてきた水は、

この頭首工で堰き止められ、

この赤色の取水口で分水されます。

実際にはその下部にある赤色のバー・スクリーンのところから取水されます。

頭首工の管理橋の中央から見た下流方向の様子。取水された水は写真左側の水路を通って下流の大分水工へ。一方、右側が豊沢川になります。写真中央に見えるのはお魚さんたちが川を遡るための魚道。なにしろ上に書いたように豊沢川の右岸側はゴム堰で堰き止められてますからお魚さんたちが上流へ行くには魚道を行くしかないわけです。

分水された水の量を見てもわかるように、豊沢川本流の水量よりも大量の水がこの水路を流れていきます。これが下流の農地にとって生命の水となるわけですね。


江戸時代に作られた鍋倉新田用水路は、現代では新田堰頭首工という形で受け継がれているんですね。ちなみに新田堰頭首工は平成11年3月に事業が採択され、同13年1月に工事安全祈願祭が行なわれます。そして同16年(2004年)8月に完工式が挙行されたようです(参考)。
コメント