湘南オンラインフレネ日誌

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ジョブコーチの小川浩氏の講演と視覚機能訓練士守田好江氏の講演から

2006-01-25 05:45:16 | 引きこもり
 ここ数日は活動の山場。特に昨日は、ジョブコーチ・ネットの小川浩氏が茅ケ崎で講演をするという、大事な意味合いを持つ会合が百数十名満席の状態で行われたことは心に留めておきたい。障がい者就労支援は、今必要とされる課題なのだ。

 小川氏の講演は実例をたどりつつ、ジョブコーチの仕事と基本概念について語ったものだが、その中で注目すべきことは「ナチュラル・サポート」として語られた就労現場の状態のふたつのことだ。

 ひとつは、技能訓練を施し、これでよしとして職場に送り出した当事者が、職場環境の様々な暗黙の調整を理解できずに不適合を起こすこと。ロボット工学のフレーム問題ではないが、あらゆる事態を準備して身につけておくという方法は破綻してしまうということだ。ジョブコーチが就労現場に寄り添いマッチングを行うことは、その意味で非常に貴重な仕事となることだ。

 もう一点は、自閉症スペクトラムの当事者に行うTEACCHの構造化のように、作業の骨子を明確化して作業をすることをもって、当事者の就労のパッケージを作っても、現場の作業は繰り返し生成を続けるために、当人自身も想定された環境を「はみだしていく」ことだ。紹介された美容室に就労した高機能自閉症の女性の例などは、みごとに彼女は自分の仕事に「慣れ」いわばアドリブが効く状態に変化していたのだった。この段階ではジョブコーチは既に職場から離れ、時々訪問巡回をする程度になっている。マッチングを終えた後、職場が実は変わっている。彼女は受け入れられているという具合に、周辺もまた受容が行われているのだし、彼女は支えられているのだ。職員の中に彼女の理解者がいれば、それは更に膨らんでいくだろう。固着する自閉症の特性を前提に絵を描くことの危険性を浮かび上がらせた事例だった。

 しかしジョブコーチの人数は少なすぎる。派遣され巡回している神奈川県の施設のジョブコーチは5~6名というのでは、話にならないだろう。社会福祉法人が抱えるジョブコーチとともに研修が行われているが、支援費などの特典は公共の施設職員か社会福祉法人職員以外には出ない。NPO法人の就労支援活動の中でジョブコーチ的な役割を果たそうとする者に対する保証は何もない。ただ研修は実費で受けることが出来るというだけで、資格にも繋がることはないのだ。私の場合はまさにそれに該当するわけだが、ぶらさがるのではなく自分の足で立つために、そこを超えていかなければならないのだ。まずは製菓職人、そしてジョブコーチ、加えればキャリアカウンセラーであったほうがいい。50代の発言かなとも思いつつ。

 小川氏と、講演後挨拶がてら、湘南版ジョブカフェの資料を手渡した。これから電機神奈川の湘南就労支援センター(茅ケ崎市浜竹)とは交流する機会も増える。知恵を借りることも出てくる。そんな挨拶話を交わしてきた。志賀氏には既に紹介をさせてもらっている内容だが、近々仲町台センターの共同作業所を見学させてもらうつもりなので、再会は早そうだ。

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 夜は川崎で行われたLD懇話会の講演会。軽度発達障害と視機能の関連は最近クローズアップされている。最近も湘南こどもネットワーク主催の講演会で、「発達生涯と視覚機能」というテーマの講演会があり、かわばた眼科の川端秀仁氏の話を聴いたばかりだ。今度は視能訓練士の守田好江氏の話。今回は訓練に使われる様々なツールを見せてもらった。視覚機能の異常の早期発見法とともに、いわゆるプロとの繋がり方の側面のうち、障がいを抱える人たちと接する私などが持っていたほうがいい知識を、概論の形ではなく実践的な場面の頻度を踏まえた形で語ってくれた。

 私が出会った子の中には、3本等間隔に引かれた直線が数えられない子がいた。この子は「間」を数えたり「境」を数えたりして混乱していた。多重に重なる絵の抽出にも困難を示していた。当時中1、通常学級に在籍していた。この子は今、大学生。しかし空間認知の困難を持ちながら就職できる職種は何なのだろう。そういうことを考えると、職種を私などはもっと広く具体的に知っておく必要がある。

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 サポセンで改訂版(2/2実行委紹介版)を刷った。今日、市役所関係に追加配布する。LD懇話会の最中、県青少年サポート課の岡本さんから電話が入った。26日の県NPOネットワーク会議(引きこもり関連中心に50団体を超える)の確認だった。ここでも湘南版ジョブカフェと湘南東部実務者ネット、ストリングラフィの話を出す。ここでも配布予定。

 今日は18時から協働まち研WG-2の会合。来年度の市の予算の中に企画が計上されることはないが、補助金申請のことで話が出る。また4月の協働まち研総括会議で、湘南版ジョブカフェは一般公開される。その準備の話をする。27日の(湘南東部)実務者ネットが大きなカギになる。軽度障害の方の就労支援活動を当人へのサービスに収斂させる構造を脱し、当事者同士が状況を打開する対話と、それを支援する構造へと転換していく活動に主眼を置くことをすっきり打ち出す必要がある。診断と治療の構造を超えていく活動をいかに描くか、これが27日の会合のバックに流れる発想になる。引きこもり・軽度障害の当事者たちが時にスタッフ的に動ける活動の柔軟性を持ちたい。

 今日のおやじの会は、申し訳ないが27日の提案を作成するので欠席させてもらう。受験問題解答の裏方仕事が始まるとしばし動けなくなる。ここは集中して基本骨格を作っていこうと思っているのだ。

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