金利引上げより大問題が”みすず解散”

2007-02-22 00:00:00 | 投資
2月21日、日銀が政策金利を0.25%引上げ、0.50%にした。9人の政策委員の投票で8:1ということ。1月の時は3:6だったのだから5人が意見を変えたことになるのだが、その間に景気回復を示す指標はGDP前期比4.8%アップというのがあっただけ。相変わらず消費は弱いし、賃金もあがらない。さらに言えば今年は定率減税が廃止になるため、サラリーマンの所得税は否応なく10%ほど増える。この利上げの最大の評価点は、あと2回分利下げをする余地を作ったこと、なのかもしれない。

実際、超短期的相場では株価も小動き、為替も小動きと無難な格好になったが、おそらく為替があと1円、円高(118円/USD)になると、危なかったかもしれない。自動売買(ストップロス)機能をどこに設定するかということだからだ。

しかし長期的に考えると、借金の残高の0.25%分金利が上昇することになり、特に借入金比率の高い企業の収益にはマイナスになる。見方を変えれば、株の配当期待利回りも上昇するので、利益水準を上げなければならない。さらに、国債発行残高は1000兆円には満たないもののその利払金を増加させ、国の財布がまたきつくなる。逆に、最大級の国債保有者は日銀になっているので、日銀収益にはプラスになるはず。

そして、元に戻って、実際に今が景気拡大に向かっているのか、というのがよく見えない。特に最近、よくわからなくなってきた。GDPプラスといっても海外投資(つまり稼いだドルや円を売ってドルやユーロを買って)の配当や利回りの金額が増えているだけで、もともと日本国内には反映されていないのではないだろうか。さらに、一年前に較べて10%弱の円安である。仮に円ベースで4%の成長としても8%円安になっているとするとドルベースでは4%のマイナス成長になる。つまり、その程度のものに過ぎないということなのではないだろうか。(「ドル自体も下落していて、それでコモディティや株価が上がっているように見えるだけ」という説もある。)

ところで、利上げの問題よりも重要なのが「みすず監査法人解散」である。またも株価のテーマが増えた。「M&A」、「ポスト安部」というのは、特に読み違えても儲け損なうという種類のリスクではあるが、「みすず問題」は深刻だ。だいたい、今回は日興コーデ証券だが、旧中央青山が監査していたカネボウはじめ多くの会社での不正経理が発覚。エンロン問題一発でつぶれたアンダーセンみたいだ。業務停止処分を受け、さらに中央青山から独立した「あらた監査法人」までできたのに、相変わらずみすず(=旧中央青山)を使っていること自体、「何かを隠している企業」という眼で見られる。上場企業でもあと600社もある。

どうも、監査法人は監査を受ける会社が選ぶものと思っていたのだが、監査法人が会社を選ぶ時代になったようだ。ということで、手持ちの株について、みすず(中央青山)が監査法人かどうかは、再調査した方がいいだろう。といってもみすず監査法人を使っているところは、なかなかホームページで監査法人が見えないところもある。そして、運悪く、そういうみすずが監査している企業に勤めていられる方は、早めに転職の準備をした方がいいかもしれないのだ。ダメ企業の社員は、倒産してからの再就職は難しいものなのだ。


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