NISSANの株主総会の感想

2018-06-29 00:00:10 | 投資
なぜか、トラブル企業の株を持っていて、東レ、SUBARUの他、日産自動車もそうである。SUBARUの総会に行ったのだから、世界で毎年1000万台を販売するグループにも行くべきだろう。今回の総会のテーマは、順不同で言うと、①ルノー・日産・三菱・(+東風)グループの今後の行方(含むゴーン氏の立場)②完成検査手抜き問題に見るコンプライアンス問題③2017年度の業績問題、ということだろう。

ところで、会場は日本有数のサイズである横浜パシフィコの国立国際会議場。同時通訳付きである(通訳問題は後述)。右の耳にイヤホンを差して日本語が英語かを選択する仕組みである。もちろん大部分は日本人だが、一番偉い人は外国人だし、壇上の取締役は日本人だが、執行役員は多国籍メンバーだ。株主4000人以上が参加ということになる。

事前に、質問内容のアンケートがあって、グループ問題と完成検査問題にそれぞれ多数の質問があったということで、ゴーン氏から見解と方針が発表になる。

まず、グループ問題では、会社を統合する予定はなく、主にコストダウンの利益を追求する(部品の共通化や完成車の配送など)とのこと。三社全体の利益の最大化を求めるとのこと。(とはいえ、A社がプラスでB社がマイナスで合計がプラスという場合、どういう意思決定をするかというのはこの種につきものの疑問なのだが)

次に完成検査手抜き問題に対する対応は、三重構造(三種類という意味)のチェック体制を築くということだそうだ。(SUBARUは根底の社風改革を目指すそうだが、NISSANはそれは「無理」という前提で、徹底したチェックで行くようだ。もしかしたらSUBARUの問題は「社風」というような深淵な問題ではないのではないかと私は感じている)

あるいは、三社連合を組んでいる以上、「社風改革」など言い出すのは具合が悪いということなのかもしれない。

そして、業績問題だが、奇妙なことに経常利益が昨年比大幅にダウンしたのに税引前利益が増大しているのだが、それは「米国の法人税率」が下がったという説明だった。つまり法人税率が下がったことと米国の自動車価格が下がった(値引きが増えた)ことが同時に起きたということで、かなり興味深い。他の産業でも同じようなことがあるのだろうか。

次に、質疑コーナー。質問希望者は100人を超えるのに抽選で7人だけということが物議となったのだが、一つ気が付いたのだが、老齢の夫人から「プロパイロット」のような安全装置がついたクルマは高額で買えない。老人が買える200万円以下の車に踏み間違え急停車装置とかつけられないのか」という質問があって、国内マーケットの方から、軽自動車とノートには、そういう機能がついているので、それを選んでほしいという回答があったのだが、価格帯から言うと「マーチ」という車種もあるのだが、「マーチ」については触れられなかった。ということは、なんだろうか。


ところで冒頭に触れた、同時通訳のこと。ゴーン氏の総会開始直後のスピーチはあらかじめ日本語翻訳があったようで、右の耳に日本語が、左の耳にはゴーン氏の英語がほぼ同時に入ってくる状態で、「グループ3社の最大利益を追求する」という部分は、英語では「France」という単語が聞こえたのだが、日本語には「フランス」という単語がなかった。同時に二つの話を聞きとる能力はないのだが、もしかしたらフランス政府にとっても最大利益という意味だったのだろうか。確認のすべはない。

さらに、日本語から英語への通訳。途中から英語を聞いていたのだが、質疑応答の時に、質問者のあいまいな日本語を直ちに英語に訳していたのだが、その話し方というか構文というか、シェークスピア劇の劇中のセリフを語る女優のように抑揚が大きく感情を込めた話し方のわけだ。特に、ある男性がクレームセンターに電話をした時に、その返答で大変に不快な思いをした話をしたときに、彼女の翻訳は、まさに『ヴェニスの商人』の劇中で、裁判官がユダヤ人高利貸に対し、破産した債権者の心臓の肉1ポンドを切り取ることを認めようかというほどの絶望的悲劇として英語で熱弁していた。

もしも、通訳をした彼女がゴーン氏の専属通訳だとしたら、日本のできごとを実際よりも10倍ほど誇張して伝えているのではないかと、心配になる。


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