オルセー美術館展(~4月8日まで)へ

2007-02-21 00:00:08 | 美術館・博物館・工芸品
b424a96c.jpg上野の東京都美術館で開催中のオルセー美術館展へ行く。が、かなりの混雑。招待券をばらまき過ぎたのではないだろうか。まあ、有名展ではいつものことだが。

会場内では、オバサマ方たちが、本物のオルセーの話をしていた。
「この絵はあの部屋にあって、これはこっちの方で・・・」。じゃあ、ここに来なくてもいいではないか。
「オルセーには時間がなくて行けなかったのよね・・」。芸術よりも優先したものがあったのだろう。


ある意味、ルーブル美術館より、オルセー美術館の方が日本人好みのはずだ。なにしろ、フランスは国立美術館の展示品を、古い順に、ルーブル、オルセー、ポンピドーと三つに分け直している(例外も多いが)。そして、このオルセーには、日本人が大好きな印象派がたっぷりある。19世紀の中頃から20世紀の初頭までが中心的に集められている。マネやモネ、ルノアール、シスレー、スーラ、・・・それにゴッホもゴーギャンも今回は来日。全部で140作品。

その画家の代表作ではなく、準代表作のようなものが多くきている。ああ、ゴッホもこういうのを書いているのだ・・とか、ちょっと面白い。100点物はないが80点物が多数ある。それと、意外と言えば、日本人が好きな印象派の中でも人気の高いルノアールが目立たない。それはそれでいいのだが。

おススメは、この展覧会のポスターにも登場しているマネの「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」。モリゾは女流画家。マネは彼女にモデルになってもらうにつけ、ほんの一瞬、腰掛けてもらっただけで、あとは記憶の中で描いたそうだ、目の前に現物がないとまったく描けなかったゴッホとは正反対だ。余談だが、モリゾは後日、マネの弟と結婚。さらに、マネでは「アンリ・ロシュフォールの逃亡」。島流しになった政治犯が夜闇に紛れ島抜けする海とボートを題材にしている。タッチが力強く、こんなのも描くんだ・・とマネを再認識。(フランスにも為朝の伊豆七島脱走のような話があるんだ、と妙に感心。)

b424a96c.jpgモネも「睡蓮」ばかりが有名だが、今回は「ルーアン大聖堂」「ベリールの岩・打ち付ける波」が来ている。こちらも繊細であったり、結構、力強かったり。ゴッホとゴーギャンはいつも比較されるが、いつも安定した画風のゴーギャンの評価はもっと高くてもいいのではないだろうか。やや「へたうま」的だから低評価なのかもしれない。さらに、印象派以降の20世紀の作品も少しきている。こういうのがいい。

そして、どの画家も南フランスの郊外や小都市を多く描いているのだが、当時のパリはゴミタメのような街だったはずだから、美しい風景は都市にはなかったのだろう。当時の日本(江戸)とは逆パターンだ。

ところで、オルセー美術館のホームページを英語版で検索していると、コレクションの中に、ある絵画があることがわかり、驚愕!



b424a96c.jpgルノアールの「ムーランドギャレット」が収蔵されているようだ(来日してはいない)。この絵画は、1990年に大昭和製紙の斉藤了英氏が109億円を積んで手に入れたもの。同時に115億円で購入したゴッホの「医師ガシェの肖像」と一緒にして、「自分が死んだら棺桶の中に入れて燃やしてほしい」と発言し、世界中からバッシングされた。どちらも1997年に売却され、いつの間に、正しい場所に戻ったということだ。燃やされなかった最大の原因は、製紙業界不振の結果だ。


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