携行缶でのガソリン購入に身元確認?

2019-07-29 00:00:21 | 災害
京都アニメーションでのガソリン放火事件を受け、総務省は石油連盟(元売)と石油商業組合(ガソリンスタンド)に対し、ガソリンの携行缶への給油の場合、購入者の身元確認と用途聴き取りの徹底を要請した。

今回の事件では建物側の構造不備についても若干の問題点が言われているが、確かに煙突的な螺旋階段とか、防火扉での遮断が行えない大フロアでの作業といったことはあるのだが、そもそもガソリンを撒いての放火ということになれば、被害建物に限らずほとんどの建物で大災害の発生を防ぐことは難しいと思われる。あえていえば、作業の状態から見ると、防災上は事務所というよりも組み立て工場という発想が必要だったのかもしれない。といっても、自分の働いている会社はオフィスであって工場ではない、と思うのが普通だろう。いずれにしても被害者を責めるのは酷すぎる。


今回の総務省の要請先が石油連盟(石連)と石油商業組合(石商)ということだが、石連に入っていない商社系元売りもあるし、石商に加盟していないガソリンスタンドも多い。そもそも「要請」ではなく、何らかの法令で対処すべき問題と思う。

例えば、今回の事件では20リットル缶×2で40リットルである。多量過ぎる。クルマで走れば東京から大阪まで走れる。上限値は必要と思う。一度に使えない数量はユーザー在庫ということになるが、それも危険要因だ。ガソリンについては10リットル以下の公認の容器でしか売らないという方がいい。

また用途面では、ガソリンはなんらかのエンジン(発電機、モーターボート、農機具、芝刈り機、ゴルフカートなど)に対して使われる。ガソリンだけを使いたいという人間は放火魔しかいないだろう。つまり銃と銃弾の関係に似ているわけだ。エンジンを登録させて、それによる期限付きのガソリン使用許可証を呈示した人だけがガソリンを買えるようにすればいい。銃の場合、管轄は警察だが、エンジンの場合は消防署かもしれない。

あとはガス濃度検知器というのもあるが、基本的に事故防止用なので計画的犯罪の場合、かいくぐることもあるだろう。

さらに、今回は犠牲者が多かったから今頃政府が動き出したが、大規模災害は何回も起きている。
2001年の弘前武富士放火事件(爆発)、2003年名古屋での人質籠城爆発事件、2013年福知山で祭りの屋台でガソリン缶に引火。自動車解体作業中の燃料タンク爆発も時々起きる。今までの事件でも、その場に多くの人がいればもっと多数の犠牲者が出たと思われる。


一方、いかに法令により買いにくくしたとしてもリスクはゼロにはならない。最近は聞かないが「ガソリン泥棒」という犯罪があった。他人のクルマのガソリンを抜き取る犯罪だ。得るものよりリスクの方が大きいため、はやらないが、ある方法でホース1本でもできるとも言えるのだが、だからといって錠前破りがいるから戸締りしないというのは違っていると思うわけで、できるだけ犯罪者が買いにくくする努力は必要だろうと思う。


なお、同様の事故としてスプレー缶のガス抜き時の爆発でいくつかの事故が起きているが、中身はほとんどが可燃性のガス(例:ブタンガス=カセットボンベ)であるし、ガス抜きをしたといってもボンベの中にはゼロではなく構造上1気圧分のガスが残っているのである。つまりガスを抜いても危険であることは間違いないのだ。しかもブタンの生ガスを空中に放出すれば、オゾン層の破壊につながるわけだ。