吉本芸人闇営業問題

2019-07-01 00:00:59 | 市民A
この問題が発覚した当初は、芸人と裏社会のつながりは根深いというような意見が多く、要するに「芸人個人の意識が低い」という観点だったと思う。しかし、時間が経つにつれ、「芸人は被害者で吉本が悪い」という意見が増えているように思える。

まず、「闇営業」という用語だが、専属契約にもかかわらず副業を行っている点が「隠れてやっている」ような形態であることと、さらに相手が反社勢力の場合、裏社会という意味もあって闇営業という言い方になっている。つまり、バイト問題と反社問題の二つがあるわけだ。ただし、バイトの中には表も裏もあるだろうが、反社の方から言うと裏だけと言える。

まず、副業(アルバイト)禁止について。実際に契約書が存在しないということが、大問題だ。人数が多すぎて(数千人?)管理できないという言い訳を一般的言い方に直すと、「社員が多すぎて、目が届かないのです」というように聞こえる。標準契約書を使えばいいだけだ。ギャラの部分だけ個別に決めるだけだ。

一般の会社の社員の場合、期間が決まっている臨時社員の場合、契約書は必須だが、終身雇用制の社員とは雇用契約書を交わさないのが普通なのだが、雇用に関しては労働基準法があり、弱者(社員)の立場が契約書で制限されても労働基準法より悪化しないわけで、現実的には問題ない。一方、芸人は個人営業だし、農家のような互助団体もない。誰も助けてくれない再弱者である。

さらに売れない芸人は専属契約で縛るにはギャラが低すぎるので、アルバイトをするしかないわけだ。いかにも不合理が幅を利かしている。その上、違うプロダクションに移動するのも現実的には干されてしまうわけで不可能に近い。終身雇用制でもないのに契約期限が明確ではない。これも契約書がないことに起因している。

また、コンプライアンス規定が明確でなく徹底もされていない事態の真因を考えると、結局はテレビ局を筆頭にメディアがそういうプロダクションに頼り切っているからとも言えるだろう。どの世界でも起きる一極集中の欠陥だ。

そもそもメディアの放送時間には限界があるわけで、お笑い番組や怪しい健康番組が多いということは、メディア主導の企画番組が少ないという事実の裏返しなのだから、メディアの罪も大きいように思える。もちろん視聴者にもいくばくかの責任はあるだろう。(政治の場合は「投票に行かない人」にも責任はあるが、「芸人が好きではない人」には責任はないと思う。)