好都合の多い世界遺産、百舌鳥・古市古墳群

2019-07-09 00:00:16 | マーケティング
堺に行ったのは2017年の10月で、それから2年足らずで、「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産の認定を受けた。自分が行ったところがこういった名誉を得るというのはなんとなく嬉しい。逆に、自分が行ったところで事故や殺人事件があったりすると、嫌な気分になる。もちろん後者の方がずっと多い。



堺というのは実は外国人観光客にとって好都合なのは、関空と大阪の間にあることだ。関空から難波までは南海電車、また天王寺まではJRと二種類が選択できる。さらに体験したことなのだが、JRの堺駅と南海の堺駅とは離れていて、街の構造も両者に分かれている。観光地も古墳群はJRに近いが、他の観光施設は南海に近い。両駅間を歩くと1時間はかからないが30分以上必要。

ところが、この離れているということをメリットと考えれば、関空からJRで堺に行っていわゆる仁徳陵を平面的に見てから、高層ビルの堺市役所の展望階で鳥瞰的に見て、それから南海方面の見どころを回れば、そのまま南海電車で難波の町の混沌に潜り込める。逆ルートだと最後は天王寺の町の混沌に潜れる。同じ道を戻る必要がないから好都合だ。

さらに、このままだと堺市は消滅して大阪都堺区になるので、市役所も人員整理となって、展望室のある市役所も高層階は自由に改造できるだろうし、不要となった市役所職員も公務員を辞めてガイドになれば、いくらチップを受け取っても気にすることもなくなる。

では、堺の古墳以外の観光地とは何かというと、



1. 千利休の生家跡
千利休とか茶道とかいってもなかなか観光客には理解は難しいが、スターバックスの社長とは違うわけで、ドリンクとしての茶を、ああいう芸ものにしたわけだ。さらに時の権力者秀吉と対立し、殺されてしまうわけだ。権力への抵抗者の切腹。



2. 与謝野晶子の生家跡
与謝野晶子の出生地は、千利休の出生地のすぐそばだ。要するに大阪から和歌山に向かう街道沿いが町場になっていた。呉服屋の娘が女流歌人になった。この歌人というのがわかりにくい。女性詩人と一言ではいえないのは、日本には詩の形式がいくつもある。俳句、短歌、詩にしても洋式もあれば和式もある。わかりやすく言いかえれば、権力に抵抗する女性運動家で反戦詩人とすればいいだろう。



3. 鉄砲鍛冶屋敷
いわゆる死の商人だ。ポルトガル人が、難破した船を助けてもらい、種子島の実力者に2丁の銃を高額で売りつけた後、日本中に鉄砲が普及した。過去の歴史のことなど気にしない現米国大統領のような信長が、刀よりも馬よりも兵員よりも重要に考えたのが鉄砲。堺は大生産地であり、千両箱と引き換えに箱詰めの鉄砲が取引されていた。江戸時代になると、戦争は終わり銃の需要が激減したが、活路を東アジア一帯に求め、日本史上最大の武器輸出時代を謳歌していた。鎖国令との関係はよくわからない。



4. 阪田三吉の生家跡
実は将棋の名人といっても亡くなってから名人と認定された。将棋のイメージ、名人のイメージ、なかなか理解は難しい。さらに彼の資料室は「人権歴史館」の中にある。そう、非差別出身者だった。といっても大人になってから後は、将棋の強豪ということで、実力の世界で生きたわけなので、「人権」を売り物にするわけにはいかないだろう。例をあげれば米国の南北戦争のあと、キング牧師の時代の公民権運動までの「奴隷ではないが差別があった時代」のようなことかもしれない。英国などは今でも差別が露骨に残っているのだから、人権の切り口で彼を見るのは無理なのかもしれない。といって、将棋界の東西戦争とか朝日毎日の戦いとかさらに理解不能。まあ各種権力に抵抗する気持ちで戦っていたのは事実なので、なんとか堺有名人に入れてもらいたい。

ところで、世界遺産認定で、観光客が急増して、その分、市の財政が豊かになって、やはり大阪都構想は要らないとか言い出すのかもしれない。