今月号の『波』は

2019-07-23 00:00:42 | 書評
新潮社の書評誌『波』2019年7月号を手に取って、まず最初に驚いたのが表紙だ。ブレイディみかこさんという女性の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』という新刊が出るというのだが、実はこの雑誌に連載中のはず。『波』で連載して、終了後単行本として出版されるというのが普通なので、連載が終わる前に単行本が出るのかと、とまどう。



みかこさんの男の子が英国のブライトン(ロンドンから1時間のところにある海浜リゾート地・鎌倉みたいな町)の公立中学に通っていて、そこで起きている崩れかけている英国の社会をこどもの行動から描写している。

実は、今月号にも第19回の連載があるのだが、どうも第16回までをまとめて刊行したとのこと。ということは、連載は第32回までつながるのだろうか。そして続編か。

そして、雑誌にはさまれていたペーパーに赤松利市氏の『ボダ子』について書かれていた。3.11以後東北地方で土木作業の労働者になった父と境界性人格障害者の娘を中心に「金」によってケダモノのように変貌する醜い人間が描かれている。読者からは「最悪の読後感」「悪夢にうなされ寝つきが悪い」と酷評を受けているそうだ。編集部から、作者渾身の一冊なので、1550円(税別)でも「絶対に損はさせません」と書かれている。損をしない本などという言い回しは、実に初めてである。

新潮社、大丈夫なのだろうか?