外に閉じて中に開く-安藤忠雄初期建築

2019-07-14 00:00:41 | 美術館・博物館・工芸品
東京湯島の国立近現代建築資料館で開催中(~9/23)の『安藤忠雄初期建築原図展』に行く。サブタイトルが「個の自立と対話」という難しいフレーズなのだが、個人的には『外に閉じて中に開く』と名付けてみた。それと、この資料館、行ったことがなかった。順番で言うと、都心にあって行ったことがない博物館を調べていたら、ここで安藤忠雄展が開かれていた。



三菱の施設がたくさんある場所なので、そういう建物だったかもしれないが違うかもしれない。現在は湯島地方合同庁舎の建物とつながっていて、文化庁の管轄のようだ。国立劇場と同じだ。

岩崎庭園方面から入場すると、庭園拝観料400円が必要だが、湯島天神の方から合同庁舎に入ると、無料である。ただし週末は岩崎庭園から入るしかない。

会場内は、そもそも大きなホールのような構造でドーナツ型の円形テーブルと壁面を使って、多くの図面が展示されている。基本的には、平面図、立面図、断面図の原図ともいえるデッサン、そして完成模型があるものもある。もちろん建築費の見積書はない。国立競技場の巨額設計図も、見積り無視だったのは、相手が東京都とか日本国という巨大な財布をもっていたからだろう。



一方、初期の安藤忠雄へ設計を依頼したのは、ほとんどが個人で住宅だった。住吉の長屋-東邸、松本邸、真鍋邸、冨島邸、山口邸、石原邸、上田邸、松谷邸、小篠邸。多くが阪神地区や都内の狭隘あるいは不定形の土地に最大限に居住空間を確保しようということで、コンクリの箱のような外観で、中に空間や光の取り込みをするような構造になっている。

要は、個人住宅なのだから、世間の人に対して開放的で誰でも入ってきていいです、というようなことにはならないわけだ。核シェルターみたいな外観にした反面、内部空間はなるべく広く開放的にしたわけだ。

一方、初期の10年の次に、教会をいくつか手掛けている。六甲の教会、水の教会、光の教会。そもそも教会は、外に開けているのが一般的だ。簡単には入れないのは修道院だ。何人に対してもドアを開きます、というのが普通だ。防空壕型ではいけないのだ。一方、教会の内部は、メリハリをつけないといけない。人民は平等だが神様は偉いわけだ。

本展では1976年から1991年までの図面が展示されているが、その後は公共的な美術館やホール、学校など様々な様態を希求しているようだ。直島の地中美術館は、建物の大部分が地下にあって、その内部は明るく太陽光まで導入しているということで初期の個人住宅の延長のような設計だろうか。神戸の県立美術館は、外にも中にも開かれている一方、公共空間ということで、奇抜さは少ない。

実は、安藤氏本人はどんな家に住んでいるのだろうか、と興味がある。調べてみると、冒頭に書いた個人邸の中の冨島邸(大阪市)というものを買い取って、自宅兼アトリエ兼事務所にしているようで、ネット上に画像がある。それほど情緒があるということではないようだ。
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