狆はどこに行った?

2018-11-13 00:00:22 | 市民A
最近のペット事情は、猫>犬となっているようだ。といっても、猫と犬は、ほぼ同数でその時のブームでどちらかが多くなるといったところのようだ。米国大統領選挙のようなもので、共和党も民主党も45%ずつの固定票があって、残りの10%の浮動票をどちらがとるかということのようだ。47対53だったら、浮動票の比率は2対8といった具合だ。

ということで、犬族の話(動物の話であって、政権の犬とか会社の犬の話ではない)。

具体的には『狆』のこと。読めますか? 「ちん」と読む。ちん、というのはもう一つ月偏の別の漢字もあり、書き間違えると大変なことになる。何年か前の8月15日の正午からラジオ放送されたメッセージの、最初の単語が、この漢字だった

ところで、なぜ狆のことを書くかと言うと、横浜の幕末から明治の歴史を調べていて、外国人が大型の洋犬を連れて日本に来たということが驚きをもって見られていたということからだ。現代では珍しくないが、洋犬は室内をウロウロしたりこどもと遊んだり、家族のように扱われているわけで、日本の従来の犬文化と異なっていたからだ。当時の犬の研究では、多くの犬は「里犬(地域犬)」として群れを作ってわけだ。なかには住民から残飯をもらったり、恐ろしいことに行き倒れの人間なども犬のエサになっていたようだ。つまり、犬と人間は近くに住んでいて、付かず離れず状態だったそうだ。おそらく日本の家は外と中は別の空間で、靴(あるいは草履)を脱いで座敷にあがるのに洋館は外と中とは連続的空間になっているからだろう。

ただし、狆は別格。れっきとした座敷犬だったわけだ。ずっと遡って江戸時代の前半に徳川綱吉が生類憐みの令を発した時、綱吉が飼っていたのは、この狆だと考えられている。

狆は日本で改良が行われた犬種のわけだ。

ところが、上記の地域犬と洋犬の対立軸のため、いつの間に狆は日本からはいなくなっていったそうだ。そのため海外に流出していた狆を逆輸入しているのが今の実態だそうだ。

ところが、今や海外で日本犬ブームが始まっている。秋田犬とか柴犬とかだ。となると、狆にも目が向けられるのだろう。元々、長い期間を経て座敷犬となった犬種なので、適用力は高いはずだ。

もっとも、愛犬家の多くは、家庭内で一番偉い地位を既に犬に譲っているわけだ。綱吉の事を笑うわけにはいかない。