スローカーブを、もう一球(山際淳司著)

2018-11-15 00:00:44 | 書評
短編ノンフィクション集である。有名な『江夏の21球』は、この9編の短編集の2番目の作品である。実は、江夏豊氏以外の8作に登場する主人公は、それほどの有名人ではない。高校野球のヒーローであったり、日本がボイコットした(正確には米国の指示の元、日本がボイコットした)モスクワ五輪の代表だったり。遅咲きのボクサーとか。

slowcurve


この短編集が発表されたのは1981年を中心とした時期である。それから40年が経ち、主人公は70歳位になっているはず。ネットで調べただけだが、それぞれの選手が、今、どうなっているかを調べてみた。

まず、著者の山際淳司氏は1995年46歳で他界している。胃癌だった。早すぎる。1998年のサッカー日本代表がワールドカップに初登場する前だ。貴乃花は1994年に横綱に昇進したばかりだった。

実は、8作の中で、近況がわかったのは3人。

スカッシュのチャンピオンだった坂本聖二氏は、現役選手だった時に所属していた神奈川県のトヨタ系の自動車販売会社に40年間勤務して無事退職している。

本短編集のタイトルにもなっている「スローカーブをもう一球」の川端俊介投手は進学校の高崎高校のエースで、弱小チームを甲子園に連れて行っている。現在は、小学校教員ということのようだ。

ポール・ヴォルター、つまり棒高跳びの日本記録を出した高橋卓己氏も香川県の教職員(高校)とのことだ。