鴨川ホルモー(万城目学著 小説)

2018-11-20 00:00:35 | 書評
映画にもなった小説で、ホルモーとはホルモンではなく、鴨川とは千葉県ではなく京都市内を流れる川のことだ。京都大学他に伝わる伝統的ゲームなのだが、現代人のほとんどが信じないような「鬼」の世界と「人間」の世界をつなぐ(いや、つながない)人たちが、この数名の大学生なのだ。

kamogawa


まず、鬼語を学ぶところから修行が始まり、それによって世界の鬼たちを巧みに操って自分の味方につけて他の大学の鬼たちと戦うわけだ。

その長い伝統の中で、まれに鬼そのものを目撃する機会が訪れるわけだ。鬼にも良い鬼と悪い鬼がいるようで、人間に媚びる者と人間と敵対する鬼がいる。敵対といっても普通の人には鬼の存在が知れていないため、重要な入学試験の日に電車が遅れて遅刻し、1分差で試験会場に入れないとか、不意にめまいがして転倒して腕の骨を折るとか、「不運」と思われる事象も偶然に起きているのではなく、鬼が事態をコントロールしているそうだ。

そして、この行事や鬼との関係性については、どうも京都の安倍晴明神社と関係があるらしい。いわゆる陰陽道である。

そういえば、本小説の主人公は安倍明という名前で、晴明の子孫であるかのごときだ。

小説から離れるが、最近、晴明神社に対して失礼なことがあったようで、鬼が大暴れしたことを知っている。