修行うどん 喝!!

2018-02-04 00:00:58 | あじ
福山の神勝寺は一山すべてが禅寺ミュージアムなのだが、実際に全国から修行僧が集まっている。で、外部の訪問客は、その一部を垣間知る(垣間見るというよりも)ことができるのだが、その一つが五観堂という食堂でいただく修行メシ。といっても湯だめうどんなのだが、そのうどんすら修行僧(以後、雲水と正式名で記述)は毎日食べられるわけではなく4と9のつく日の昼ごはんにいただくだけで、通常は御粥を食べるそうだ。

で、当日はその日にあたっていて、「全国の禅寺で修行している雲水と同時刻に食事をしているのです」と言われる。

修行行為なので、最初に行うのが、食事の前に行う「読経」。それも5つの教えがある。紙に書いてあるものを小声で読む。意味が分かるようでわからないのだが、食事の前に正しい宇宙観を再認識することと、不必要にがつがつと食わないことの戒めのような気がする。


そして、食事の内容と、食器。

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まず食事は、桶の中の熱湯に茹で上げられたうどんが泳いでいる。一人でも四人でも同じ桶だ。おかずは、精進料理で野菜系と豆腐系を煮込んだもの。パクパクと食べると箸を数回使うとなくなるほどだ。そして、小皿が5皿だが、うち4皿はうどんの薬味である。白ごまと大根おろしと刻みネギとおろしショウガ。そして中央の小皿にはわずかな沢庵だが、この沢庵には意味がある。そして一杯の茶。

やかんが添えられるが、中身は茶ではなく、つけ汁。つけ汁は少し塩分が高いが、毎日の食事がおかゆだからいいのだろう。さらに後ほど巨大なおひつに一膳分のごはんが入ってくる。容積率は1%という感じだ。おひつの中の空間に人生の何かを感じるのだろう。虚無感かな。

次に食器だが、目につくのが箸。えらく太くて長い。根本の方は太さ2.5cm位か。二本で5cm。簡単には使いこなせない。なぜ太いかというと、先ほど登場した食事前のお経を読む前に、パチンと合わせるためだそうだ。一般に僧は外食時には割り箸でやるそうだ。さらに長い理由は、箸を置くときには、使った先端部をテーブルの外に出して置くことになっている。だから長い。

そして、お皿だが奇妙なことに入れ子の皿が三つある。大中小とすると、大にはつけ汁を入れうどんを食べ、中にはおかずを入れ、小には重大な役目がある沢庵を入れることになる。

そして、係りの方の食べ方についての詳しい手順を聞いた後、箸をカチンと鳴らし、お経を読み、来し方行く末を念じながら、湯だめのうどんを一本ずつ食べ、それと合わせて薬味とおかずは、体内に吸収されていくのだが、そこでついにおひつが登場する。一膳のごはんをどうするかというと、余っているつけ汁に投入するわけだ。そして、つけ汁ごはんをすするようにいただくわけだ。

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そして食事は無事終了するはずなのだが、この時にはすでに重大な間違いに気が付いていたわけだ。沢庵が余っているのだが、本来はここで、お茶を一番目の「大」の皿にそそぎ、薄切りの沢庵で、食べ残しをふき取り、そのまま「中」の皿に移し替え、またも沢庵掃除をし、そして三番目の「小」の皿に移し、それを飲み干すと、すべてが完結するのだが、実はお茶がない。

最初にお茶を飲んでしまったからだ。

結果として、「お茶を一杯いただけませんか」ということになる。追加料金はなかったが、修行失敗。破戒僧となった。本当は、さらにもう一杯飲みたかった。


修行うどんの他に、煎茶セット(茶と菓子)、座禅、入浴が体験できる。入浴については、やはり4と9の付く日が雲水の入浴日で午前中に風呂に入り、昼は湯だめうどんという贅沢をすることができるわけだ。つまり入浴は原則5日に1回ということになる。2月末は2月24日の次が3月4日になるのだろうかとまったくつまらないことを考えてしまう。うどんで失敗したので入浴でも失敗しそうなので、辞す。