お断り価格に乗ったのでは?

2018-02-12 00:00:04 | 市民A
名門泰明小学校がブランド大好き校長の元で揺れている。明治初期に設立され、まもなく90年に達するという歴史的建造物にも指定された校舎とさらに古く南フランスからやってきた門扉(フランス門)を持つ同校の歴史に、一つの滑稽な瞬間的エピソードとして挿入されることになるのだろう。

明治11年に設立された同校は、皇居を挟んで反対側の番町小学校とともに麹町中学、日比谷高校、東大と進む官制エリートコースのスタート台なのだが、泰明と番町を比べると、前者は文化人を多く輩出し、首相としては近衛文麿がいる。後者は戦前は軍人や政治家を多く輩出し、首相としては東條英機がいる。また泰明の方が似合うと思うが吉行淳之介は番町出身だ。

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たまたま、3ヵ月ほど前に、泰明小学校の向かいにあるジャンセン美術館に行った際、「そのうちなんらかのイベントが起こるかもしれない」と予感があって、校舎の脇に置かれた卒業生の制作作品を撮影していた。予感とは、この何かを咥えた(楽器を吹いているのかサトウキビを齧っているのか)少年か少女像の制作者が有名彫刻家となるとか、そういう方向だったのだが、あまりにレベルの低い話になっている。

校長の「服育」方針として、制服にアルマーニ製が選ばれたのだ。一式そろえると9万円ということで、ワイシャツは5000円ぐらいだそうだが、当然ワイシャツは1枚では足りないだろうから、最低3枚そろえると10万円になる。

「当校の児童の親は高所得だ。買えない人は買わなくてもいい。」と校長は言っているようだが、そういう問題ではないと思う。頭のいい子を集めるという方針には授業の運営上は一分の理があるかもしれないが、お金持ちだけを集めたからと言って小学校が立派になるわけではないし、本当のお金持ちの子は公立には行かないわけだ。

さらに、フランス門という立派な文化財を持っているのだからフランスのブランドならともかくアルマーニはイタリアだ。イタリア人みたいに教育するのだろうか。イタリア人と一緒に会議をすると、かならず遅刻してきて、席に座ると隣の人間のネクタイを裏返してブランドを確認したりするような人間が多いそうだが、そんな服育って求めるべきものなのだろうか。

どうも、真相はエルメス、シャネル、バーバリーにも声を掛けたのだが、価格を示したのがアルマーニだけだったそうだ。

しかし、エルメス、シャネル、バーバリーといえばブランドの中でも超一流である。もしそれらだったら、もっと驚きだっただろうが一応、フランス、英国、イタリアの三か国に絞ったというのが一流指向なのだろうか。

というよりも、各ブランドの方も、まさか選ばれることはないと思っていて、見積もりを出すことなく辞退したのに、アルマーニは絶対に選ばれないように高めの金額を書いたのに、それでも選ばれてしまって困惑しているということなのではないだろうか。

ところで、教員もアルマーニ着用ということになるのだろうか。