月光仮面が死守した国産爆弾に正義は

2011-01-04 00:00:06 | 映画・演劇・Video
月光仮面の第一話が復刻され、1月1日の朝、ついに放送された。

gekkokamenこの第一話については、53年前に放送された後、フィルムの保存状態が悪く、早い時期にオリジナルフィルムが廃棄されてしまい、一度も再放送されたこともないことが判明。

また当時の出演者たちの記憶にもそのストーリーが残されていないことから、残された小説(川内康範著)や第二話以降との関連を考察し、逆算的に推測されたシナリオが完成する。そこに第二話以降の各出演者の断片的な映像を継ぎ合わせ、アフレコをかぶせて、近似的第一話が完成した。

もちろん、第一話では中心人物のはずの赤星博士は、誘拐され人質になってしまい、その後ほとんど出る幕なく、ある回で椅子に縛られたまま登場し、突然射殺されてしまうので、第一話での登場シーンでは、ぎこちない上半身だけの出演になっている、とか、うまくいかないところもいくつかある。

ところで、この視聴率が70%近かったドラマのストーリーの中心にあったのが、「HOジョー発爆弾」という大量殺りく兵器だった。この爆弾を発明したのが、赤星博士と柳木博士。そしてすでに四発の超小型爆弾が作られ、手提げバッグに詰められて、防衛庁に引き渡されるわけだ。

このHOジョー発爆弾は、水素と酸素を一瞬で消滅させる恐ろしい爆弾で、酸素がなくなることから、爆発すれば動物は皆殺しになり、植物は大喜びになる。

そして、その爆弾を日本が作ることによって、世界に平和が訪れる、と博士たちや、彼らを守る月光仮面は信じて疑わないわけで、こどもの70%がその論理を信じていたわけだ。

なぜ、爆弾が世界に平和をもたらすか。第一話の最大のポイントだが、こういうことになる。

論理

すでに、原爆、水爆という超殺戮兵器は大国だけが独占していた。ところが53年前にはまったくの小国になっていた日本で、原爆や水爆をしのぐ超超殺戮兵器が開発されたということになると、もはや大国の持つ核兵器は優越的兵器とは言えなくなるため、大国は軍縮に向かうしかない。


また、爆弾の秘密を狙う「どくろ仮面一味」について、従来の国家の枠組みにとらわれず、テロそのものを狙うカルト集団、という設定にしてあった。この部分は、かなり現在に近い概念である。


というところで、月光仮面の話題は終わりにしたいが、53年前のHO蒸発爆弾はともかくも、今後日本が核武装する可能性は高いのだろうか、低いのだろうか。あるいは核武装への道筋があるのだろうか。

先日のウィキリークスの暴露の中で、シンガポールの前首相のリ・クワンユーがオバマ大統領に対して、「日本の核武装」を警戒しているというメッセージを伝えたことになっている。

今、多くの日本国民が、非核三原則順守を支持しているわけだが、これも新聞社の世論調査によって、毎月のように、核武装の是非を問いかけていれば、近隣国との大小のトラブルのつど、核武装支持者が増加してゆくだろうと想像できるわけだ。