麻布演劇市「Angry」

2011-01-17 00:00:33 | 映画・演劇・Video
guilty久しぶりに、六本木で麻布演劇市を観る。演劇集団「ホワイトエンゼル」。

あらすじは、「ある殺人事件の陪審員10人が、評決を審議するために集まる。評決には全員合意が必要。被告は夫と娘を殺した容疑がかかっている女だ。有罪なら死刑。誰もが有罪を口にするのだが、たった一人疑問を投げかける男がいた。そして、長い法廷ドラマが続き、一人ずつ有罪から無罪へと意見が変わっていく。そして最後は・・・」ということなのだが、それでは有名なアメリカ映画である「12人の怒れる男」(ヘンリー・フォンダ主演)と同じじゃないかと思うだろうが、実は同じだ。

この映画を劇場仕立てにしたものと考えればいい。違いは12人が10人になったことと、被告が男ではなく女になったことや陪審員も男だけじゃなく女も登場したこと。たぶん、キャストの関係だろうか。

で、実は、原作の映画を観ている。数えて3つ前の会社の社員だった頃、その映画を使った研修会に出たことがある。要するに、「どうやって、相手の考え方を変えさせて、自分の意見に同調させるか」というスキルアップのため。

およそ15分単位で映画を進めて、次に「有罪派から無罪派に鞍替えするのは誰だろうか」とか予想するわけだ。だから、この劇を観ていても、次の展開がすべて読めるわけだ。実際、何か違うのだろうかと思っていたが、最後の一人が映画とは別の展開になるのだが、どうせシナリオを変えるなら、もっと大胆に変えてもよかったのではないかと、少し思う。

で、結局、無罪となった女性が、本当に無罪なのかどうかは、まったく明らかにはされない。有罪とした証拠が不確かで採用できない、ということで無罪になるわけだ。確か、シャロン・ストーンの「氷の微笑」もそういうことだったように覚えているのだが、「氷の微笑」を演劇バージョンに変換するのは、色々とやっかいかもしれない。


とはいえ、出演者全員が熱演。こういう小規模の劇は楽しいよね。

そういえば、開演直前に、私の隣の客席に慌てて坐った女性がいたわけだ。外が寒いのに、ずいぶん薄着だなあ、と思っていたら、靴を履きかえたわけだ。水虫かな、嫌だなあ、と思っていたら、開演後数分で、すっと立ち上がったわけだ。そして急に舞台に向かって走り始めたわけだ。危ない!と思って、止めようと思ったが、間に合わなかった。そして彼女は舞台に上がって、数分後には刺し殺されてしまったわけだ。

止めなくて、よかった。