王座就位パーティ

2008-11-29 00:00:54 | しょうぎ
先週18日の火曜日に王座就位式に出席。帝国ホテルである。



もちろん、パーティの費用は、主催者の日本経済新聞社が負担しているはずだが、包み金とか必要なのだろうか、と考え、羽生王座はたんまりと賞金を貰うのだから、まったく不要だろう、と勝手に決め打ちする。

そして、定刻の15分前に受付に到着すると、ほんの一部の来賓が紅白の袋を出している。定刻より15分も前に行ったのは、訳があったのだが、受付の列の一つ前の人が筆ペンで自分の名前を完成させるのに3分もかかったので、若干計画が狂う。自分の名前しか書けないというのは坂田三吉だが、自分の名前も書けないのは、現代では不法入国者位のはずだが。

なぜ、早めに行ったかというと、パーティ料理攻略法である。

以前、竜王就位パーテーのことで書いたが、パーティ料理攻略法の一つは、「逆周り」「時間差攻撃」である。最初に長蛇のロースト・ビーフやにぎり鮨などの列に並ぶと、時間だけが浪費され、全種類を食べることができない。要するに、並みのことをしていると団塊世代みたいにいつも競争率の高い世界にいることになる。したがって、デザートから初めて、オードブルに向かうという「逆周り法」や、デザートのあとオードブルに向かうという「時間差攻撃」が有利になる。



ところが、それらの奇襲作戦は、あくまでも、料理が潤沢にある、ということが前提となる。もちろん、竜王戦は読売という底抜け財布の新聞社がスポンサーであるが、王座戦は日本経済新聞である。渋いに決まっている。

となると、全部の食事を制覇することができないことが予想される。デザートから攻めると、コーヒーとサラダとカレーライスしか食べられなくなったりする。

つまり、正攻法をベースに攻略速度を速める必要がある。それが「マルチ・テーブル法」である。

要するに、普通は、入り口で飲み物を受け取り、ホームテーブルみたいな場所をキープし、そこにドリンクをおいてあちこちの料理テーブルにいって、皿に盛り付け、ホームテーブルに戻り、そこで食べ終わってから、次の料理に向かう。そのため、テーブル間の移動時間が無駄になるわけだ。



マルチテーブル法の極意とは、あちこちのテーブルに飲みかけのグラスを置いておくことである。いかにも自分のホームテーブルのように見せかけることによって移動時間を短縮する。

しかし、そのためには、パーティのスピーチが始まる前に小細工することが必要になる。できればよく目立つ赤ワインがいいが、2004年産のシャトー・グロ・カリヨンという上出来のワインだからといって、テーブルキープ用のワインは飲みかけを6割以上にしておかなければ意味がない。片付けられてしまうからだ。ということで、開会宣言の前の時間が有効だ。さらに、会場内に会いたい人と会いたくない人がどのように配置されているかをさりげなく観察する時間でもある。


で、食事の話は貧乏くさいのでやめ、就位式の方だが、米長会長も羽生王座も、まあいつもの話で、特記事項はなし。気になったのが来賓挨拶で、まずモッチーこと梅田望夫氏だが、話としては、やや場違いな感があった。もともと羽生さんが一般向けに話した内容を、梅田式に解釈するパターンで受けている部分もあるのだが、会場に集まっている人の95%くらいはモッチーより将棋が強いはず。将棋のたとえ話なんか面白くないのである。

そして、数年前に別の場所でみた梅田氏の記憶と比べると、何か健康上の問題を抱えているのではないかと、僅かな予感を感じる。肌の色、特に顔色が土色に近い。まさかゴルフ焼けかと念のため手を見ても左右とも黒い。胃病患者独特の猫背気味である。またスピーチの途中で何度も舌を出して唇をなめていた。ちょっと心配である。もちろん、知らない方が幸せなこともあるので微妙である。

また、入院中の中原誠氏の代理としてやなせたかし氏がスピーチに立つが、中原氏の状態について、まだ入院中だが回復に向かっていて、王座戦の棋譜も自分で並べている、との報告があった。最近は携帯から競馬投票しているそうだが、将棋を休場中に、競馬では、「朝青龍方式ではないだろうか」という声がかすかに聞こえた。

そして、パーティの主役である羽生王座だが、いたって血色がよく、赤みがかった肌はつやつやである。強さの秘密は、単に「健康」にあるのではないだろうか、いつも酸素たっぷりのさらさら血液が大脳内を流れているのだろう、と思える。



今までにくさるほどタイトルを獲得しているからか、ステージ下のテーブルには、花束のほか、「ガラスのトロフィー」「王座允許状」「優勝賞金目録」の三点セットが放置されていた。ただし、「優勝賞金」は目録だけだが、一緒に並べられた「功労金」のし袋の方には、目録とは書かれていないことに気がつく。中にいくら入っているか、単に、調べてみたくなったのだが、手を伸ばしたところを見つかると、誤解され、永久追放処分になりそうなので、断念する。

c26def11.jpgさて、11月15日出題分の解答。

▲4七金 △5八玉 ▲4八金 △同玉 ▲3九角 △3八玉 ▲2七銀 △2九玉 ▲4七角 △1九玉 ▲2八角 △同玉 ▲2九飛まで13手詰。

打った金をすぐに捨てる軽さと最終手の飛車回りの軽さで、中盤の野暮ったさを隠している。飛車にと金が当たって開き王手が効かないことが、解く方のコツだが、そうなると、手は限られてくる。

飛車が九段目ではなく、四段目か五段目で動くような図の方がいいのだろうが、使用駒が増えそうである。

動く将棋盤は、こちら

今週の問題は。短編なので、新鮮さを出すのに苦労した作。これでも、よくある手法と言われればそれまでだが、あくまでも「爽快感」を求めている。




わかった、と思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評をいただければ、正誤判断。