自滅への愚策か?定額給付金

2008-11-11 00:00:57 | 市民A
景気対策と言いながら選挙対策だった定額給付金のバラマキだが、当初、首相が表明した「全世帯への給付」はその後、「所得制限付き」へと変更され、現時点でも調整はついていない。

その話の前に、そもそも、何年か前に行われていた『所得税の定額減税(たとえば20%とか)』ではなぜ駄目か、というと、いろいろ言い訳を言っているが、早い話が、あまり所得税を払っていない農民や個人事業者といった自民党支持基盤にバラまけないからだ。

いずれにしても、元手は税金なのだから、税金を払っているサラリーマンから、払っていない農民や個人事業者に政府が間に入って富の移転を行っているようなもの。この段階からしておかしい。

さらに、高額所得と言うときの所得というのは、個人事業者・医者や農民の場合、何を指すのだろう。つきつめれば、現在の所得税の不平等について、本格的に議論しなければならない。

さらに、本質的な目的が票集めに過ぎないのに、「ある所得金額」に線を引いて、それから上の人はナッシング、というようなルールにすれば、そのラインより上の人は自民党への投票率もナッシングになる。じゃあ、もう一本線を引いて、半分だけ給付とかなれば、その線から上の人も投票ナッシングになるし、細かく分類すれば、所得税率の調整と同じようになり、またも「定額減税でいいじゃないか」ということになり、「それでは農民や個人事業者の票が・・」という堂々巡りになる。

現在、浮上しているのが高額所得者自主返納方式だが、赤い羽根の募金のような話を急に言われても、「俺は税金たくさん払っているのに、余っているなら早く返せ!」と一喝だろう。「なんで払い戻すのに、自分で市役所の窓口まで行って返してもらわなければならないのか!」という怒りの声も既に聞いている。

だいたい、すぐに解散しないなら、バラマキ自体の意味もなく、無駄ガネもいいところだし、数ヶ月過ぎれば、誰から貰ったものかも忘れるだろうし、貰ったこと自体も忘れてしまう。

地方高速道路一律1000円案だって、都会住民を怒らせるだけだし、地方在住者だって、用もないのにガソリン使って走り回るのだろうか。アクアライン1000円案は嬉しいなと思っていたが、各種割引制度が既にあるため、ETCの請求書を見ると、既に1500円になっている。さらにポイント割引とかあるのだろうから、かえって混雑するだけ燃費が悪化して損さえしそうな予感もある。

だいたいが、「単発的」景気刺激策というのは、おカネの割りに無駄や矛盾が多く、効果が少ないわけだから、「総合的」経済対策でなければならないのだが、選挙対策用暫定首相の指導力では、どうにもならないのだろう。選挙で負けても勝っても、いずれにしても総裁からひきずり降ろされるのだろうから、後任のためにも奇抜な政策はやめた方がいいのではないだろうか。