田原総一朗氏の講演会へ

2008-08-26 00:00:19 | 市民A
先週末、野村證券が顧客サービスで開催した田原総一朗氏の講演会に行く。横浜みなとみらい地区にある国立大ホール。本当に大きなホールである。以前にも、リチャード・クー氏や堺屋太一氏の講演会に行ったことがあるが、この巨大ホールが満員だった。開始直前に滑り込んだため、満席に備え、最初から3階席に向かう。ずいぶん高いところにある席である。



しかし、リチャード・クー氏や堺屋太一氏の時に比べれば、空席が多い。上から見ると1階席にも空きがあるが、面倒なので3階席でもいいや、ということにする。高所から物を見るのも重要だ。おそらく、きょうの主催が野村ということで、政治のことより経済(自分の金儲け)の方が重要、と思っている人が多いのだろう(と自分を棚に上げてしまう)。


ところで、田原氏といえば福田首相が、今回の内閣改造の前に意見を聞いた、として報道されていたが、実は、この講演会の前日にも首相と密談したそうだ。まさか、講演会のネタ作りだろうか。どうも、総選挙の時期を進言したそうだ。

その前に、田原氏に言わせば、今回の内閣改造は遅すぎた、ということだそうだ。事実上、安倍内閣だったそうだ。総理だけ替った。今まで、福田カラーが打ち出せなかった最大の原因は、突然、総理になったため、「総理が何をするべきか、全然、わかっていなかったから」だそうだ。カラーどころの話じゃない。

そして、まもなく明らかになる補正予算の規模について、「与謝野×伊吹(財務省)」という対立構造にあるそうだ。与謝野氏は4兆円以上、財務省は4兆円以下。だいたいそういう規模らしい。一部、バラマキもあり、ということ。新聞社予測よりもずいぶん多いけど。

その大型補正予算を国会で通して、11月総選挙というのが、自民党の勝つチャンスがあるタイミングだそうだ。それを福田総理に進言したところ、「それではインド洋での給油法が通らなくなり、国際的信用がなくなる」と言われたそうだ。仮に選挙で勝ったとしても僅差だろうし、強引に採決できない、と考えているそうだ。田原氏は、「選挙で自民党が僅差でも勝てば、小沢氏は引退するだろうし、彼がいなくなれば、民主党内にも給油賛成派は多いから問題ない」と言ったそうだ。


次に、経済問題に話は移るが、サブプライム問題、原油価格高騰問題、スタグフレーション問題。実は、目新しい主張はない。私のブログを超えるような内容はないので、省略。

そして、国家財政の話から、再び政治の話になっていく。

現在の日本の財政だが、税収が50兆円、支出が80兆円。差額が、主に国債である。この支出80兆のうち、約20兆が国債の償還費、20兆が社会保障費、20兆が地方交付金、そして残る20兆円が国家公務員等の国家の費用である。田原氏は、この国家公務員の費用を減らすべき、という。ついでに国会議員の数も削減したほうがいい、とのこと。

この、国家公務員の数を減らすことが難しいのは、政官癒着構造からくるわけで、その意味で、民主党に政権が移れば、癒着の構造の多くは明らかになるだろう、ということだ。同感。民主党の政策も自民党の政策も、あまり差がないが、最大の差は、公務員の処遇ではないか、ということ。

さらに、田原氏によれば、自民党は若手の有力者は安倍晋三しかいないが、民主党の方は優秀な若手が多数いるそうだ。ただし、上層部ははダメだそうだ。なぜ、優秀な政治家が民主党にいるか、と言えば、自民党の党内は二世議員ばかりで、外部の政治家には「最初から席がない」からだそうだ。

福田総理に、「小さな国家論」と「政官の関係の透明化」を進言したところ。「そんな重いことを、私に押し付けるのですか?」と逆襲されたそうだ(場内失笑)。

ところで、田原氏は講演会では、結構ボディアクションが大きい。公演中に興奮したのは2回で、1回は厚生労働省の悪口を一通り並べてから、舛添大臣のことを「バカ丸出し」とののしったところ。

さらに、スタグフレーションの話題の際、手を大きく横に開いて、原油価格は「どんどん、上がっていった」と言いながら、手をばたばた上下に振るわけだ。さいわい、3階の高所から物を見ているため、彼のボディアクションは、「晴れた大空に向かって、大きくはばたきをする、肥えた鶏」のように見えてしまうのだ。


そして、講演の終わりに、一人の聴衆から質問があった。公明党が最近、自民党と距離のある政策(インド洋、補正予算など)を主張している背景について。

「選挙に負けたときの、学会への言い訳」と一言で斬り捨てたのだが、後で考えると、「学会」と言われたのが、「学会員」のことなのか、「学会の特定の一人」なのか、よくわからないのではある。