首都高炎上の周辺

2008-08-05 00:00:27 | 市民A
8月3日(日)午前5時52分、首都高速5号線板橋JCTと熊野町JCTの間、下り線でガソリン、軽油20キロリットル(20,000Litter)積みのトレーラーが横転し、炎上。約3時間半後、鎮火。この火事で、当面通行禁止が続くことになった。



運転員は、腰骨骨折ながら、這い出して脱出成功。

この現場、板橋となっているが、むしろ池袋である。池袋からすぐそば。住宅地で周辺のマンションの外壁にも大きな被害を与えたようだ。地上が山手通りで、首都高5号線が下りと上りで三段重ねになっている。下り線は上から二層目の道で、消火活動に時間がかかったのは、下手な消し方をすると、地上の山手通りに火の付いたガソリンをまきちらすことになるから、燃え尽くし作戦にしたのだろう。

地図を見ると、5号線は池袋の先で大きく90度近く右に曲がっていて、そこに、最近開通した新宿方面からの中央環状線が合流。



ところで、元々、トレーラー型のタンクローリーは構造上横転しやすい。タンクの中が液体であるから、制限速度以内であっても、たとえば、道路がS字型だとすると、右にカーブした時に、液体は遠心力で左側に引っ張られる。とすると、その直後に液面は逆の方向に振り子現象を起こす。たまたま、その周期に再び逆方向にハンドルを切ると、あぶない。さらに、トレーラーはトラック部分とタンクが直結ではなく、牽引方式なので、タンク部分の挙動が運転者に伝わるのに、一瞬のタイムラグが起きる。そして、首都高速は、あちこちで曲がりくねっているのである。

しかし、そういうことは運転員の誰もが知っている。プロである。もしかすると、中央環状線から合流しようとした第二、第三のクルマが、何らかの予期せぬ異常行動をしたのではないだろうか。いったん、急カーブを右に曲がった後、何らかの原因(サンデードライバー?)で回避行動として、さらにS字運転しなければならなかったのではないだろうか。


別の角度で考えると、この運送会社、群馬県らしい。出荷地は、有明にある石油基地。早朝3時頃に群馬県を出発したローリーはおそらく5時前に有明に到着し、ガソリン・軽油を積みこみ、有明インターから都心環状線の外回りで5号線に入り、そのまま新大宮バイパス方面で埼玉県のガソリンスタンドに配送する予定だったのだろう。

タンクローリーの事故というと、この早朝深夜の労働過重問題が運転者の居眠りにつながると、よく問題になるのだが、今回は、別問題ではないだろうか。現場の直前で、ほぼ直角に道路が曲がるのだから、現場でうとうとしていたとは思えない。急角度でハンドルを切ったあと、何らかの横転原因が発生したのだろうか(このあたりは、いずれ明らかになるだろう)。

道路の損傷は、事故直後は、『道路の歪み(変形)』とされていたが、鉄筋コンクリートの躯体部分にはダメージはないようだ。側壁を修復することと、路面のアスファルトの敷き直しだろう。この灼熱の季節に、もっとも時間がかかるのは、補修したアスファルトが固まるまでの時間だろうか。ベストエフォートで、8日の0時開通と推測するが、首都高速側の見解では、「修理完了まで数週間から数ヶ月」となっている。

ところで、首都高速は、きわめて走りにくい道路である。何しろ、道路が曲がりくねっている。そこを、あらん限りの高速で走ろうとする無法運転車がいる。路肩がないから、車線合流地点は、常に衝突の危機である。さらに、郊外の自動車専用道路と異なり、首都高は、道路の下が都会である(5号線の下は川が多いが)。よく首都高を中速で走行していると、100キロ以上のクルマが現れることがある。基本的に曲がりくねった先が見えないのに、そこに事故車があれば追突することも考えず、よく走れるものだ、と感心する。

例えば、首都高なら100キロ、高速道路なら130キロを越えるようなスピード違反者には、懲罰的(100万円程度)な罰金を課すべきではないだろうか。飲酒運転とスピード違反は、巨大事故の2大原因であり、飲酒運転摘発の強化は着実に進行しているようなので、次はスピード違反の方だ。そうなれば、最高速度が200キロのような馬力本意の不経済車は市場から駆逐され、日本の燃費も大幅に改善するものと思われる。また、無理な安全対策工事を行う必要もなくなる。

さらに、現在、タンクローリーは、片側二車線の場合、左側を走ることが法令で決められているが、合流部分で且つ路肩のない(つまり首都高とか)場所では、逆に右側通行を許可、あるいは義務にした方が安全だと思う。


ところで、今回のタンクローリー炎上だが、完全にアルミの車体が焼失してしまい、どのブランドのローリーかわからない。どこのジャーナリズムでも系列会社名は出ていない。日頃から、各社に『広告料』を払ったり、『音楽会番組』を提供して、協力関係にあるからなのだろうか。まあ、それがなければジャーナリズムも経営的に苦しいだろうし。