棋士のこども

2008-08-02 00:00:11 | しょうぎ
女流棋界に、ついに大津波が到来したようだ。自然界の津波は海の果てから現れるのだが、今度の津波は丘の上から流出しそうな具合だ。まだ、合理的な理由をよく把握していないので、きょうは深入りしないが。将棋連盟が女流棋士二団体(内、一団体は将棋連盟下部組織)に必要経費年間2000万円を請求しようと通告したようだ。

何か、請求しないと公益法人の地位を失い、将棋連盟が解散になるような話が関係者の日記に書かれているが、省略が多すぎてなんともわからない。公益法人を維持しないと、寄付金を受けられず、新会館建設に日本財団からの金策がつかない、ということとも読めるが、目的と方法がねじれているのか、あるいは税金泥棒のニオイがする。単に、会計知識の欠如による誤解のような気もする。

同様な問題は、相撲やプロゴルフといったショースポーツの胴元でも顕在化していて、将棋だけの問題でもないだろう。

今後どうなるかわからないが、「せっかく将棋連盟に残ったのになんという仕打ち!」と憤慨されている残留派の女流も多いだろう。先の名人戦移籍騒動のときも感じたが、いつも、アマチュア的な「奇襲戦法」だ。とりあえず。


さて、きょうは、棋士のこどものこと。

夏の甲子園、北神奈川代表の慶応高校の投手の一人は青野九段の御子息だそうだ。予選1回戦では4回まで無失点でおさえ、降板している(5回コールド勝ち)。しかし、どうも、第三のピッチャーらしい。本大会でのメンバーになったかどうか、判然としない。何しろ、ホームページで確認すると、慶応高校の野球部は、投手だけでも20人以上在籍しているのだから、正選手枠は狭き門だ。

父親は、どうみても体力派ではなく棋士の中でも小柄な方で、穏健な常識人。将棋連盟理事選挙でトップ当選しても、理事互選制の会長には選ばれず、閑職に甘んじる不遇をかこっている。もし、御子息が、本戦の正選手に選ばれずとも、「お父さんもジッと耐えているのだから・・」と慰めの言葉には困らないだろうか。

いや、第三の投手として、甲子園の決勝の9回裏に初登場して、チームの危機を救う、というこどもから親への逆リンクがあれば、もっといいのかも。何にしろ、慶応高校の最高の成績は夏の甲子園準優勝である。1920年のこと。この年、国際連盟が発足し、川上哲治が誕生し、ラジオの放送が始まった(米国)。


ところで、大分県では教員採用試験の不正行為によって、教師の子が教師になるようなカースト制が実施されていたようだが、将棋の世界では、あまり親の七光りは効力が薄い。あえて考えれば、木村名人のご子息が、付け出し三段からスタートし、棋士を引退したあと、将棋博物館の館長まで勤めたことぐらいだろうか。

親子棋士はそう多くない。すべてを把握しているわけじゃないが、木村親子、板谷親子、伊藤親子とか(まだあるのだろうか?田中親子無念・・)。兄弟(姉妹)棋士はかなり多数いるのだから、ちょっと不思議だが、「親の仕事を見て、こどもがマネをしたくない」という職業なのだろうか。

ところで、羽生名人。ご令嬢はフィギュア・スケーターということだそうで、観戦に行かれるようだ(世界レベルが高すぎる種目だけど)。棋士を目指さなかったのは、女流棋士の収入的惨状からなのだろうか。将棋界にいれば、親の七光りでいくらでも活躍できそうなものだが・・


25d37633.jpg7月19日出題作の解答。

▲8九銀 △9九玉 ▲7八銀 △8八玉 ▲8九銀打 △9九玉 ▲9八銀 △8八玉 ▲8九飛(途中図1) △7八玉 ▲6七銀打 △6八玉 ▲5七角(途中図2) △7七玉 ▲6六角 △6八玉 ▲6九飛まで17手詰

空き王手を利用して、7八と9八に銀の拠点を作ってから、玉の捕獲を開始する。一応、後半にアクセントをつけるため、角の往復運動を軽く付け加える。

前半の空き王手部分だが、普通は、盤上の駒が次々に減っていったり、何か目的の駒を入手するために使うのだが、空き王手で盤上に駒を置くというのは、あまり見ないと思う(というか陳腐過ぎるのかな)。

動く将棋盤は、こちら


25d37633.jpg今週の問題は、入玉図。解く方には迷惑な話だが、作り慣れると、盤の手前の方で駒を動かす方が肉体的に楽なのである。指先でこちょこちょと、そしてソフトで余詰検討。

本来は、1年以上前に、雑誌に投稿したままの落選決定作を披露すればいいのだが、整理というのは、なかなか大変な作業で、年に何回かしかやらない。落選作を並べて、「これ以上、改良の余地のないもの」と「もうちょっとヒネってみるか」あるいは「簡略化するか・・」とか手を入れるものに分類すればいい。

が、夏なのに肉体労働から解放されないので、なかなか、キチンとできないわけだ。

きょうの作も即興作で、短手数である。ちょっとした玉方非限定があるのだが、なんともならない。

わかった、と思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評いただければ正誤判断。