"Sad Movie"より悲しいもの多数

2006-11-04 00:00:42 | 映画・演劇・Video
7b4f4f0f.jpg11月11日公開になる韓流映画”Sad Movie"の試写会に行く。韓流には近寄らないようにしていたのだが、配給会社、ギャガの親会社「ゆうせん」の株主優待券を使ってみた。東京九段の会場は8割方の席が埋まっていたのだが、なにしろ「ゆうせん」の株価は大暴落。原因は、宇野社長個人がライブドアに出資したことだ。会場の株主の大半は試写会50回分くらい見ないと元がとれないのではないだろうか。本物のSad Storyは観客の方だ。試写会ではなく、「臨時株主総会」を開いてもらいたいぐらいだ。

そして、この映画は4組同時進行の別れ(内3組は男女カップルで1組は母子の別れで、4組のうち2組は死別になる)をテーマにしている。実は、あまり韓流スターの顔の見分けと名前を覚えるのが苦手で(脳年齢80歳なので)、ほとんどが有名スターなのは知っているのだが7人も競演するとゴチャゴチャになってしまう(一人はこども。そして、ヨン様はいない)。1時間49分の中に、4組の出会いと別れを組み込むので、スピードは早い。本当は、4連続悲しい話になって、観客はハンカチを目頭にあててコンタクトレンズの流出を食い止めなければならないはずなのに、実際にはちょっと中途半端な感じもしないでもない。

戦前は軍人会館という名前だったホールは、席数の割りに空間が狭く、あきらかに酸素不足の影響で欠伸がでてくる。そして、思わず涙がこぼれてしまうのだが、周囲の人たちに勘違いされないように、スタイリストは何度か欠伸を追加してみる。

さて、筋立てを書くのはちょっとマナー違反なので、筋書きとまったく無関係な表層的な発見を二つ書くと、「小学校の各教室には、50型の薄型テレビがある」。公的機関がサムソン電子を支えていたわけだ。そして、「韓国のクレジットカードの支払い期限は3ヶ月である」。金大中政権下で景気浮揚策として、クレジットカード乱発が奨励されたと聞いていたが、3ヵ月分の有効需要が作り出されたわけだ。

そして、前から疑問に思っていたことで、「なぜ、韓流では、『ありえない設定の中でしか存在しえない架空のストーリー』を展開するのだろう」という疑問は、やはりわからないままになる。本当は、「ソウルから50キロのところに、『ありえないわけでもない、本当に悲しい現実』が近づいている」というのにである。

個人的にも、「カール・ユーハイム」「赤い靴のきみちゃん」「イサム・ノグチ少年」など、実在の悲しいストーリーを見てきたわけで、ちょっとシンパシーが出てこない。最後の消防士殉職シーンは、去年5月の「炎のメモリアル」そっくりとも思ってしまう。

そして、観客のほとんどが、やや薄い感動のまま会場を後にした最大の理由なのだが、実は、上映前に流された、ある予告編に関係があるのだろうと思っている。

11月25日から全国上映がはじまる、同じくギャガの配給になる作品の題名は、「めぐみ」。横田めぐみさんのドキュメンタリーである。
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