チクっと痛い御用!

2006-11-24 00:00:18 | 市民A
今月の初めに、東京港区の田町駅近くに本社があるNEC(日本電気)の部内懇親ゴルフで、優勝準優勝者予想の連勝複式の勝馬投票券(馬券)をネット配信した賭博行為に対して、61人が書類送検された。日刊スポーツによれば、・・

1口200円!NEC社員ら賭けゴルフ 
 社内のゴルフ大会で1口200円で成績優秀者を予想させたとして、警視庁保安課は7日、賭博の疑いでNEC(東京都港区)の文教ソリューション事業部の部長(54)を含む社員43人と関連会社の社員18人の計61人を書類送検した。
 部長は「軽い気持ちでやっていたが、今思うと大変なことをしてしまった」と話している。賭けは数年前から行っていたという。
 調べでは、社員らは昨年10-12月に三回開かれたゴルフ大会で、プレーヤーを1-4人1組の枠に分け、スコア合計が少ない枠を予想させる方式で、的中者に配当金を渡す約束で1口200円の賭博をした疑い。
 合計537口集まり、的中者には2000-3000円の配当金が渡された。業務用の電子メールで「馬券」と称する申込書を配布し、実際にゴルフをプレーした40人のほか、21人が投票だけ参加していた。
 NEC広報部は「真摯(しんし)に反省するとともに社員の倫理意識を高めていきたい」としている。[2006年11月7日11時42分]

4e1512df.jpgしかし、水揚げ額10万円のこの行為が、問題というなら、この程度の法律違反など数限りなくあるのではないだろうか。少し詳しく考えてみる。

さっぱり情報はないのだが、「社員43人と関連会社18人」、「プレーした人数40人と馬券購入だけの21人」というのは、社員のコンペの馬券を関連会社の社員に押し付けたと読むべきなのだろうか?それだと、下請いじめということで、下請法とか優越的地位の濫用に該当するような気もする。

賭博行為に適用されるのは刑法である。
第185条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

一時の娯楽に供するものとは、昼食1回とかを指し、現金は指さない。さらに、馬券には胴元が必要である。さらに常習者には刑が重い。
第186条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
 2 賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

4e1512df.jpgつまり、罰金刑がつかないほど重い罪のわけだ。さらに、時効は3年である。

NECの例だと、「過去からやっている」と自供したということは、常習犯であり、さらに胴元は開帳の罪にもあたる。オツトメ先が変わるかもしれないわけだ。

そして、あきらかに警察に通報したのは「チクリ」なのだろうが、誰がチクッたのかは、結構、話題の中心なのだろう。一説では、いつも胴元をやっているある人物がいつも配当金を持っていくので、ゴルフが終わってから買っているのではないか?と疑われているようである。また別の筋では、社内の派閥争いの一環とも言われる。もちろん、馬券の押し売りがあれば、そこからの反発も考えられる。

それにしても、ゴルフが終わってから1年もしてから書類送検とは、なかなか容疑が固まらなかったのだろうか。「馬券は買っていない」と言えないように、証拠を押さえたからなのだろうか?さらに、書類送検の先に、起訴が待っているのか不起訴が待っているのか。それが問題だ。

そして、「一罰百戒ということなのだろう」と思って調べてみると、いくつかの例があった。百戒になってない。

ウィニーで賭けゴルフ発覚
 近畿日本鉄道は17日、社員35人が、職場のゴルフコンペで現金1000~2000円を賭けていたと発表した。賭けの結果一覧が参加者のパソコンからファイル交換ソフト「ウィニー」を通じインターネットに流出して発覚した。同社は「賭博を禁じた法律に触れる」として全員を処分する方針。
 近鉄によると、35人は奈良県香芝市の五位堂検修車庫に勤務。04年9月、三重県のゴルフ場で開いたコンペで、プレーした20人を8組に分け優勝者と準優勝者のいる組を当てる方式で現金を賭け、35人全員が参加した。的中させた社員は最高で1万6200円もうけた。
 参加した40代の男性社員が、参加者の氏名、賭け金額、払戻額をまとめた「払い戻し一覧」を作成して自宅のパソコンに保存していた。流出したのは今月10日ごろとみられ、同社は15日に外部から指摘を受けて調査していた。週明けにも、奈良県警に事情を説明する。
 この社員は、車庫の電気配線などを示す社内資料も自宅に持ち帰ってパソコンに保存しており、同様に流出した。同社は持ち出し禁止の内規に触れるとして処分を検討しているが、安全上の問題はないという。[2006/3/18/日刊スポーツ]

 長野県警岡谷署は2日、職場のゴルフコンペで賭けをしたとして、賭博の疑いで岡谷市の岡谷塩嶺病院の医師や看護師、OBら計32人を書類送検した。
 調べによると、医師らは4月18日にあった病院のゴルフコンペで、優勝者と準優勝者を予想する賭博をし、一口200円で現金計約4万6000円を賭けた疑い。
 同病院は社会保険庁が設立し、岡谷市に運営を委託。約220人の職員のほとんどが市職員で、市は賭博発覚後の8月、院長と事務長を戒告、医師ら68人を厳重注意の処分にした。
 病院によると、賭博は約15年前から行われ、競馬新聞をまねた壁新聞を作って医局に張り出すなどしていたという。

要するに、賭博というのは、禁止されればそれだけやりたくなりということなのだろうか・・

ところで、問題になっているのは、第三者的な馬券だが、ゴルフでは、よくプレーヤー同士が「握る」ことがある。スコアやパット数やミスショットの数にかけるのだがこれも違法。しかし、果たしてこのタイプの「握り」と「馬券」とではどちらが悪いのだろうか。

ケースによって色々ありそうだが、「どちらも悪い」ということにしておく。

そして、私の知っているある会社も、馬券を廃止したそうだ。役員会で決まったそうだが、議事録には書かれないだろう。その会社では、馬券係を輪番にしていたため、時効まで過去に遡って胴元を牢屋にぶちこんでしまうと、社員がいなくなるという可能性があるということらしい(と、ずいぶん詳しく書いてみる)。ゴルフのプレーフィーの穴埋め財源がなくなった。


ところで、この事件で大量の検挙者を出した日本電気だが、発表された中間決算書を見たが、△マークがたくさん見受けられる。△が多いと、伸び率とか増減とか計算しにくくて良くなっているのか悪くなっているのかよくわからない。

4e1512df.jpgもともと、このNECの場所だが、江戸時代は薩摩屋敷だった。そして大事件が起きたのが旧暦1867年12月25日(新暦1868年1月19日)。焼討ちされたのだ。当時、藩邸には200人ほどいたそうだが、焼討ちの犠牲者が49人捕縛されたもの113人とのこと。30人余は逃げ出したのだろう。そして、その焼討ちから3ヵ月後には、歴史は急転直下動き出し、僅か100メートルの近く(薩摩藩蔵屋敷・言わば倉庫の中)で、西郷=勝会談が行われ、西郷の狙っていた「江戸中を火の海返しにしてやる」ことは免れた。

焼討ち事件の時に捕縛された113人のその後の運命については不勉強なのだが、西郷=勝会談でも捕虜釈放交渉がなかったところを見ると少し心配になる。

たぶん、49人の怨念(113人の方は別として)が、チクったのだろう。


ところで、賭博といえば、虎ノ門交差点付近で、ある建物の工事が行われている。確か文部科学省の新築工事。工事期間中に他所に入居していて事が足りているなら、新築後はテナント貸しすればいいだろうとは思うのだが、さて、工事用テントに何か赤いタレ幕が。少し近づいて見ると・・

6億解禁 日本初!最高6億円くじ BIG

4e1512df.jpg文科省の持つギャンブル枠「toto」である。売り上げの1/2をピンハネし、そのアガリから経費を差し引き、残った収益金をスポーツ団体に配り、さらに余ったら小学校の校庭に芝生を植えて、サッカー選手を養成しようという素晴らしい企画だったが、すべての元になる売り上げが大破綻。経費を引くと、その段階で赤字。それで、カネを配らないと、ただのギャンブルになってしまうため、銀行借り入れでスポーツ団体に補助金をばらまいたため、八方ふさがり。ついに6億円くじの暴挙に出る。文科省らしく、大変教訓的だ。

そういえば、NECの送検された部門も文教ソリューション事業部。何か教育基本法と関係あるのだろうか?

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