オーストリア人は何に怒った?

2006-11-23 00:00:44 | マーケティング
オーストリアがオーストリーと日本語名を変えた。

理由は、オーストラリアと混同するから、というのだが、少なくても私の知っている限り、オーストラリアはオーストラリアでオーストリアはオーストリアで、自分で混同したことはない。確かに、日本人にとってはオーストラリアの方がなじみが深く、オーストラリアの場所を知らない人は少ないだろう。一方、オーストリアはヨーロッパの中部で、少し場所の特定が難しいが、地図を見ると、思っていた場所よりも東側にあることに気付くだろう。その東にある国というのが、「Österreich」で、エステライヒというような読み方になるのだろうか。

運悪く、英語では「Austria」になり、これが日本語名の元なのだろう。英語読みではオーストリアである。

一方、オーストラリアは英語国であり、「Australia」である。ただし、英米人は、オーストレイリアと発音する(現地の読み方は、どうだったか??)

そうなると、本来、読み方を変えなければならないのはオーストラリアではないかと思ってしまうが、二国間交渉でもしなければならないのかもしれない。

オーストリー大使館商務部では、こういうコメントを出している。


Österreich 日本語表音表記 の変更について
残念ながら、日本ではヨーロッパに位置するオーストリアと南半球のオーストラリアが混同され続けております。
この問題に対し、大使館では過去の文献などを参照し検討を行った結果、Österreichの日本語表音表記を 「オーストリー」 と変更する旨、ご連絡差し上げます。
暫くの間はオーストリアとの併記が行われますが、徐々に「オーストリー」の名前は日本の皆様の間に浸透し、定着していくことと存じます。
皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

さっぱりわからないが、1945年(終戦)まではどうもÖsterreichを、ヲウストリとかオウストリと読んでいたようだ。墺太利と書く。しかし、原音とはかなり違う。というか「Ö」をヲとかオとか読むのは、例のゲーテをギョーテと読むようなものだからだ。

ところで、国名が似ているからといって実害があっただろうか、ということなのだ。確かに二カ国が並んでいたりすると、問題だが、地球の裏側ほども離れている。正月にモーツアルトを聞きに行こうとカンタス航空に乗ったりするはずはないし、コアラを見にいくのにロシア上空を飛ぶこともないだろう(たぶん)。誤ってミサイルを発射されたりすれば・・

問題があるとすれば、混同ではなく、「オーストリアそのものを知らない!」という人間がいるということなのだろう。主に”ハプスブルグ家”として世界史にでてくる地名だ。世界史未履修問題に関係があるのか??また、オーストリア語というのがないのも致命的だ。

国土は北海道より小さいし、人口810万。オーストラリアの方は国土は90倍、人口は2100万人。一人あたりGDPはどちらもいい勝負で結構高い。そして、この二つの国は、かなり異なる産業構造で、オーストリーの方は、木材関係とドイツ企業の部品工場になっていて、自動車や精密機械の部品のようなものを作っている。そしてオーストラリアは一次産品が中心で、鉄鉱石、石炭、牛肉、乳製品、羊毛など。本来、国名闘争などしないで、日豪墺三カ国間FTA協定を結ぶと極めて効果が高いだろう(とは言え、オーストリーは既にEU圏、また農産物のFTAには、日本の少数民族が反対している)。


ところが、先日、自宅で買ってきたある製品に。この二国間問題が登場したのだ。

ワイン

b04fe834.jpgオーストラリア産のワインを買ってしまった。小さな文字でAustraliaと書いてある。裏側の日本語のラベルにもオーストラリアと書かれている。しかし、一方のオーストリアは、古来、白ワインの名産地である。ついに、シマの掟が破られたわけだ。

日本を舞台とした、豪墺ワイン戦争の始まり。

国名で争わないで、価格で争ってほしいものなのだが・・

追記:Yahoo!検索で「オーストリア大使館」を検索すると、「オーストラリア大使館ではありませんか」と注意事項が表示されるが、「オーストラリア大使館」で検索しても、逆の注意は表示されない。