goo blog サービス終了のお知らせ 

ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

OHVの未来は (最終章)

2005年10月18日 | consideration

 8月25日にこのブログがスタートして早や100回目の記事になってしまいました。たくさんの方が遊びに来ていただいて更新する励みになっていますので、これからもよろしくお願いします。
ちょっと間が空いてしまいましたが、OHVの未来って本当にどうなるのでしょう?
考えていると悲観的なものしか見えてこないので結論が中々出ないのですが(本当は出したくないかな?)現状をもとに考えてみましょう。
OHVと空冷は別々の機構ですが、ハーレーの魅力として考えると切っても切れないモノがあります。これにビッグツインというキーワードを付け加えた分野において去年あたりの情報では、空冷エンジンはユーロ3や日本の平成18年規制の高い壁に、ほぼ絶滅するのではないかと言われていましたが、幸いな事にどうもそうでもないようです。正式なアナウンスはまだ聞くことは出来ませんけれど、2006年のヨーロッパにおけるハーレーの商品ラインアップに大きな変更はありませんし、ワタシの手元にある06モデルの排ガスデータも空冷ハーレーがユーロ3の排ガス規制をクリアしたと推測させるのに充分なものであり、ヤマハMT01もクリアしたと聞いていますので、近い将来はまだ安心できるようです。

ハーレーの人気のワケ
クルマのガソリンエンジンは30年以上も前に排ガス規制の洗礼を受け、高いハードルを次々にクリアし熟成されて、その感触はまるで電気で回るモーターのようです。ごく一部の趣味性を訴えるものを除けば、その存在は「何であろうと何処にあろうと関係ない」考えようによっては理想のパワープラントで、もはや有害ガスは出さなくなる水素エンジンに切り替わっても不満を言う人はいないかもしれません。
日本製の高性能バイクも4気筒エンジンは色々な意味でも標準化されて、その高いパフォーマンスも排ガス規制の犠牲になることなく、むしろ電子コントロールにより更なるパフォーマンスを示そうとしています。
日本でのハーレーの人気のモトは様々ですが、ひとつの大きな要素に「鼓動」を上げる方は多いようです。付け刃のジャパニーズアメリカンとは違い黎明期からずっと同じ様なスタイルとエンジアリングを守ってきたハーレーは、日本のメーカーとはまるで違う軌跡を辿ってきたのはご承知のとおりですが、グッチなどと同じように暦史のあるメーカーは「時代のサイクル」を引き寄せてしまったことなのでしょうね。存在感をなくすほど進化し続ける内燃機関に対するアンチテーゼとも言える「失われたもの」や「失われつつあるもの」への郷愁は根強く、故障などのリスクを消去できる「ノスタルジックなハーレーの新車」は今後も社会から要求され続けるでしょう。

ハーレーのTC88エンジン(B)
これから先の10~15年の担い手として20世紀の最後にデビューしたこのエンジンは、前の世代のエボリューションエンジンと空冷45°VツインOHVという基本路線は守っていますが、全般的に機械としての熟成度が進んだとみても良いでしょう。ナックルからエボまで、それまでの段階的な進化と違い大きく変化を遂げました。
熟成度とは一つにオーバーホールまでの走行距離延長で、極端な例ですと初期の航空機エンジンは数時間の運転でオーバーホールを要したとされています。もう一つは運転途中の偶発的な故障要因を減らす事でしょうね。ハーレーも近年ではヨーロッパでの人気が高く販売台数も増えているようですし、アメリカでも55マイルの最高速度は65マイルに高くなった州も多くなり、日本の高速道路でも80km/hの制限が取り外されています。つまりクルージングスピードが高くなって、そういったハイスピードにおける快適性も重視されてきますね。
こうした背景のもとに誕生したTC88エンジンは「トラブルフリーを目指したハーレー」として、世界的に販売台数を大きく伸ばしてきたのはご承知のとおりです。しかしこの先もパフォーマンスを維持して私たちを楽しませてくれる事ができ空冷OHVの未来を託せるのか大いに気になります。

ユーロ3以降のハーレー
中国の北京でも今年の7月から予定通りにユーロ3基準の排ガス規制が施行されたようです。日本では平成18年規制が輸入車特例として平成20年9月より施行されるように、今までは平成11年規制でも乗用車の規制の17倍ものHCの排出が許されていましたがこれからはそうもいきません。日立グループのテレビCMのように貨物船が途中で引き返してしまいます。
手元の排ガスデータによると相当な希薄燃焼をしているようなので、噂のようにトルク不足解消の6速ミッションなのか気になるところで、是非乗ってみたいと思っています。

空冷OHVビッグツインの問題点
規制クリアの絶対条件である希薄燃焼は、燃焼時間を考える点ではレースチューニングと共通するところもあります。高回転でパワーを出す場合には燃焼時間を短くする必要があり、希薄燃焼ではノッキングしやすいので、マッピング等によるきめ細かな点火マネジメントだけではなく、適切なスワール(渦流)を作ってやり燃焼を促進してやらなければなりません。
理想的なスワールは4バルブで可能になり、空冷の4バルブはヘッドの熱ひずみによる影響が大きいので中々難しく、ヤマハのMT01のヘッドは巨大です。
しかし、騒音規制も厳しくなっているので、大きなピストンの発生する音エネルギーはバイクに存在するスペースに置けるマフラーの大きさで消音すると残留ガスが多くなってしまい、まるで昔のEGRが効いたエンジンのようになってしまいます。
元々ハーレー独自の乗り味はOHVの大きなフリクション、フライホイールの大きな慣性重量、2バルブの荒々しい燃焼が組み合わさったモノによると言わざるを得ないところで、TC88のカムチェーンテンショナースプリングの強さは(ラチェット式にすればもっと軽くできる?)故意と思わせるフシがあるほどです。そうしたパワーロスを補填する意味では内部フリクションを減らして実効パワーに上乗せする必要があるので、OHVに内包するフリクションは問題ですね。何らかの方法でフリクションを減らし、さらに希薄燃焼で荒々しさがなくなったOHVエンジンは外観的な特徴に過ぎなく、こうして考えると旧来の魅力はすでに途絶えているのかもしれません。

カムシャフトが消える?
ルノーチームは今年のF1レースのタイトルを全部持っていってしまいましたが、3.5Lエンジンで19000rpmの高回転を実用化したニューマチックバルブのシステムは元々ルノーが1980年代に開発しています。実際にはまだのようですが、そのルノーに関した噂が絶えないのが電磁駆動バルブで、つまりカムシャフトの替りにソレノイドでバルブを動かすというのです。
効率を上げる事によりパワーを上げられれば、結果的に燃費も抑えられ排出炭酸ガスも減らす事が出来るので、現在でも可変タイミングのカムを採用するクルマが増えていますが、可変タイミングではカムの作用角までは変えられないのでそれほど大きな効果は得られません。ところが電子コントロールの電磁駆動で自由自在にバルブを動かすとフリクションも減り、まだまだ市販には遠いかもしれませんが実効パワーは2倍くらいになるのではと思えます。
となると、将来的にはOHVだけでなく全てのエンジンからカムシャフトがなくなる可能性があるわけで、ピストンエンジンの発展にはまだ先があるようです。

結論
やはりOHVにとって悲観的な結論が出てしまいましたが、多分ココに遊びに来ていただいている方は既にハーレーを所有しているでしょうから大事に乗り続けていただきたいと思っています。

この記事は難産でしたが、ブログは続きますのでヨロシクです。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご苦労様でした。 (ジャイアン)
2005-10-18 21:53:37
ご苦労様でした。
やがてエンジンは更に電子制御化が進むと思っていましたが、高効率燃焼による効率的出力のみを考えれば
更なる進化の余地はそうならざるを得ないと言う事でしょう。
100年かかった熟成が更に次ぎの段階に進む上では
致し方ないことですが、丁度ガバナー進角がセミトラになりフルトラになったように動弁システムが機械式から
電気式に変化することは制御の上では必要でしょうね、
目的が違うため例えが変ですけど(笑。

今後何処で個性がでるんでしょうね~?。
返信する
職業柄もう既に’06DYNAでテストしています。 (やー)
2005-10-19 12:42:41
職業柄もう既に’06DYNAでテストしています。
やはりトルクは?感覚ですが’04に比べても希薄になっていると思います。
その為の6速といわれれば納得です。
事実そう感じました。

ヘリカルギアはある一定の域で唸りが大きくなります。
スラスト対策が心配です。
あとフロントの荷重がかなり増えています。
といってもまだまだリアに掛けて乗るバイクですが・・・
剛性は見た目どうりに上がっているようです。
まだ正直どう乗るか見えてません。

インジェクションの可能性は期待しています。
特にキャブにこだわらなくても、周辺が整えばおもしろいんじゃないでしょうか?
返信する

コメントを投稿