人気blogランキングへ 台風の上陸が心配。
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続いて測定したのは、スタッドボルトの位置(対角線に近いがそうではない)近辺と、そこから少し外れた場所です。
シリンダーの画像の線の色と、測定結果の数字の囲み色は合わせてあります。
1/1000mm単位で見るとデコボコしています。
実はシリンダーの内壁をよく観察すると、精密に測定しなくても事実を想像することもできます。
赤矢印はスタッドボルトの位置で、これに沿った変形が黄色矢印の”帯状の当り面”、青矢印は吹き抜けが多いと見られる場所、緑矢印が正常に近い当り面。
もっとも、これはメーカーも承知しているようで”エンジンの累積稼働時間が長くなると現われる、スタッド穴の近くの上下方向全体に渡って、その幅が9.525mm(0.375インチ)4ヵ所にかすかな光沢が見られる”ような内容がマニュアルに記載されています。つまり黄色矢印の帯のことですね。
計測結果がシリンダー内壁の画像とずれているのは、スタッド位置が対角線上ではないことと、計測は冷間でありエンジン運転時とはまた違う状況が考えられます。
これはTC88エンジンのシリンダーですが、同様の帯状の跡が見られます。
*ここで気を付けなければならないのは、エボではシリンダーベースにペーパーガスケットを使っていることで、経年劣化によるオイル洩れが多々生じます。この場合ガスケットを交換すればオイル洩れは直すことができますけれど、分解するまえにエンジンの調子がさほど悪くなくても、ピストンリングの位置がずれて当たりが変わり圧縮洩れが生じて、エンジンの調子が非常に悪くなることがあります。
シリンダーの判定には難しさがありますが、燃焼ガス洩れの痕跡があればボーリングしてのオーバーサイズピストンへ変更や、新しいシリンダーセットへ交換するなどを検討したほうが2度手間を避けられと思います。
だいぶ前のことですが新車(スポーツスター1200S)から調子が悪く、1000kmほどの走行で分解してみたら今回の題材のシリンダーと同じ状態であったことがありましたし、上記*印以降のことは実際経験したことです。
シリンダーを挟み込む構造では、こうしたことはある意味当たり前のことで、シリンダーではありませんが”湾岸ミッドナイト”のなかで”ロータリーエンジンは締めすぎてもダメで、かといって締め足り無くてもダメ。ハウジングが変形しない締め頃があるのだ”という意味合いのセリフが印象深いですね。
もっともベースガスケット交換時に全てボーリングしなくてはいけないかと言うと、そんなことはないわけで、その理由の一つとして、変形の大きいシリンダーはオーバーヒートの頻度が多いのではないかと推測できます。鉄のスタッドボルトはアルミのシリンダーよりも熱膨張は小さく、尚且つ燃焼による熱の伝達も少ないですから、オーバーヒートするとヘッドボルトを過剰に締めたことと同じではないでしょうか?
この項の続きは、鋳鉄製で貫通スタッドではないフランジ式固定方法のショベルヘッドエンジンのシリンダーを測定してみようと思います。
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