学生との対話 価格:¥ 1,404(税込) 発売日:2014-03-28 |
昨年の大学入試センター試験に、小林秀雄の文章が出題された。丸谷才一(「小林秀雄の文章を出題するな」といふ名=迷エッセイがある)が亡くなつて、その直後に小林秀雄を出すなんて、ずゐぶん批評的な行為をセンターはするものだと思つてゐたところに、新潮社は小林秀雄をどんどん出してきた。こちらは全く商業主義である。少なくとも私にはさう見える。
まづは昨年2月に『芸術新潮』で、そして4月に『考える人』で特集を組み(表紙は小林秀雄の写真。ここで取り上げるものはすべて同じ体裁。ダンディズム?)、今年の一月一日には新潮文庫で『対談集 直観を磨くもの』が出され、つい先日『講演集 学生との対話』が出された。日本の文化の衰退への大きな危機感があつて、小林秀雄を声を聴かうといふ意図があるのかもしれないが、伝はつてくるのは、さういふ印象ではない。
高校時代に、小林秀雄をよく読んだ。気持ちが落ち込んでゐるときに読むと、さらに引きずられていきさうで、警戒しながら読んだが、大事な出会ひをしたと感じてゐる。さういふ出会ひを今また多くの学生ができるやうになつたといふことかもしれない。それならば、僥倖である。難しいが読まれてよい文學である。
直観を磨くもの: 小林秀雄対話集 (新潮文庫) 価格:¥ 767(税込) 発売日:2013-12-24 |