平成18年8月3日、神戸新聞朝刊の「東播版」に中村円光寺のカイズカイブキを「戦国の世から続く息吹」として大きく紹介しています。
きょうの「中村を歩く」は、神戸新聞の記事をお借りします。
(一部書き換えています)
もこもこと空に向かって、幾重にも積み重なっていく緑の傘。
抜けるように青い空を背にしたその姿は、わき上がる入道雲を思わせる。
ヒノキ科のカイズカイブキは古来、庭園づくりではおなじみの存在。
寿命が長く、都市公害に強い種として街路樹や生垣に多用されるが、稲美町中村の円光寺に立つ高さ7メートルの古木は、ひときわ存在感がある。
「円光寺は、8世紀に天満大池を築造した行基が開いた」という伝承を持つ。
建設当時は池の近くにあった。
明治政府の神仏分離政策で現在の場所に移った。
もともと、そこは西教寺という三木落城後、家臣が開いた庵だったという。
この木の由来は残っていないが、町の調査では400年、町内最古の木らしいことが判明した。
もしかしたら、戦乱の世の生き証人かもしれない。
1989年7月には町の文化財と天然記念物にも指定され、木を訪ねてくる人も多くなった。
それだけに、手入れにも気が配られ、傘を開いたような昔ながらの「棚作り」は見事な出来映えだ。
幹にも十分に日が当たって樹勢は旺盛で、今も成長を続けている。
「緑がもっとも鮮やかさを増すのが今の季節」と小松靖典住職。
「この土地に根ざし、伸び伸び生きとるように見えますな」と、慈しみ、見守っている。(神戸新聞より)