樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

炭と薪とドングリ

2008年02月27日 | 木の材
先日、炭や薪に使われる木のことを考えていて、ハタと気がつきました。
炭のプロフェッショナル、scopsさんには「何を今さら」と笑われるかも知れませんが、炭や薪になる木はすべてブナの仲間なんですね。

       
        (空気浄化やご飯を美味しく炊くために使っている備長炭)

まず、炭。最高級の備長炭はウバメガシというカシで、ブナ科コナラ属の常緑樹。カシ類はいずれも硬くて重く、備長炭を打ち鳴らすと金属のような音がします。
備長炭=ウバメガシと思い込んでいましたが、日向産の備長炭はアラカシだそうです。同じく、ブナ科コナラ属の常緑樹。ウバメガシよりハゼにくくおとなしい炭とのこと。
茶道などに使うのはクヌギの炭。特に大阪の池田炭は、千利休のころからの家元ご愛用だそうです。クヌギも同じくブナ科コナラ属ですが、こちらは落葉樹。このほか、ナラ炭という炭もあって、材料はコナラかミズナラでしょうが、どちらもクヌギと同じくブナ科コナラ属の落葉樹。
以上の炭の知識はscopsさんのHP「いい炭ドットコム」の受け売りです。上の写真の備長炭もここで購入しました。

       
         (近くの農作業小屋にある薪。樹種はクヌギやコナラ)

一方、薪としてよく使われるのはクヌギ、コナラ、ミズナラ、アラカシ、シラカシ、シイで、いずれもブナ科コナラ属かシイ属。しかし、同じブナ科でもクリ属は炭にも薪にも使われません。クリは燃やすとパチパチはじけるらしく、薪ストーブの愛用者woodyowakuさんによると、「いまいち燃えづらい」そうです。
ブナ科以外にもシデ類やクマノミズキ、カナクギノキなどが薪になりますが、1ランク下に扱われるようです。陶器を焼く窯では火力の強いマツが使われます。

       
            (クヌギのドングリは扁平な丸型)

ブナ科のコナラ属やシイ属が炭や薪に利用されるのは、身近な里山に自生する、伐っても更新が早いなどの理由のほかに、火力が強いといった共通の化学的性質があるのでしょう。
この仲間にはもう一つ共通点があって、ドングリが成ること。そして、同じブナ科なのにクリだけはドングリと違うことはみなさんご存知のとおりです。炭と薪とドングリは何か共通の糸で結ばれているのでしょうか。
ちなみに、囲炉裏や火鉢に入れる灰も、クヌギ、ナラ、カシが高級品だそうです。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする