樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

あの世に旅立つ木

2007年08月03日 | 木の材
人間、誰でもいつかは死にます。そうなれば、遺体は棺に入れられます。みなさんは「どんな棺に入ってあの世に旅立つのだろう?」と思ったことはありませんか。
『日本書記』に、スサノオノミコトが自分の体の毛を抜いて木を作り、その用途を指定したという記述があります。そこでは、お尻の毛を抜いてコウヤマキを作り、棺に使うように指示しています。その言葉どおり、青森県の三内丸山古墳からコウヤマキの棺が出土しています。腐りにくい材質なので、棺に使われたのでしょう。

      
          (古代の棺に使われたコウヤマキ)

また、第4代将軍徳川家綱の棺は、幅4尺高さ9尺厚さ4寸のヒノキ製で、底はカシの二重底になっていたという記録が残っています。
現在はほとんどがモミ。その理由は、材が白いので清浄感があること。そして、せつない話ですが、燃えやすいから。土葬の場合はコウヤマキなど腐りにくい材が重用されたのですが、火葬になることで棺の材も変わったのです。
葬儀屋さんのホームページを見ると、高級品には今でもヒノキやキリが使われています。キリのタンスは燃えにくいことで知られていますから、棺も燃えにくいでしょうね。

          
    (宇治川河畔にはモミの群生があり、名木百選になっています)

みなさんも多分、このモミの木で作った棺に入ってあの世に旅立たれるはずです。
最近は、すぐに燃やしてしまう棺に貴重な木材を使うのは森林破壊やCO2排出につながるという理由で、ダンボール製の棺が作られています。人間用もありますが、ペットの棺としてはけっこう普及しているみたいです。
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5 コメント

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モミだったんだ (guitarbird)
2007-08-03 09:05:04
こんにちわ、guitarbirdです
棺おけは、モミなんですね。
ごく最近、それを見る機会がありました。
自分のところでは書いてないのですが、この4月に父が亡くなり、
その時「普通の」を選んだのですが、それは材が何か
業者さんに説明を受けませんでした。
「高いの」は確かに、ヒノキと言っていたような気がします。
父は東京で仕事をしていたので、4月以降何度か東京に行きました。
(それで東京のモブログたくさん上げてました)。
なんだか個人的なことを書いてしまい申し訳なかったですが、
人間と木との付き合いの長さ、深さ、大事さみたいなものを
今回の記事でまた分かったような気がします。
いつもありがとうございます。
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上京されていたのは (fagus06)
2007-08-04 08:36:31
そういう事情でしたか。遠く離れていると、いろいろ大変だったでしょうね。
モミは白いので、棺桶のほかに卒塔婆などにも使われるようです。この記事をアップしてから、人間は生まれた時も木のたらい(今は使わないでしょうが)で産湯につかり、死ぬと木の棺桶に入るものなんだな、と思いました。
さらに、位牌も木製です。人間は死後も木のお世話になるんですよ。このことも近々記事にしようと思っています。
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私を燃やす時は (syaberu)
2007-08-04 21:07:34
とにかく早く燃えてくれた方がいいです。じわじわと燃やされるよりアッという間に灰になってほしいわ。
だからできれば よく燃える紙で作った箱でもいいわ。 笑  あ・でも 入れ物が早く燃えても遺体は関係ないかな・・。
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いやいや (syaberu)
2007-08-04 21:11:35
何に入れても同じ燃えるなら、燃やして芳しい匂いのする木がいいかも・・。 どんな木が神々しいようなかぐわしい匂いがするのかなあ・・。
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syaberuさんの (fagus06)
2007-08-05 10:02:56
感覚は分からないでもないですが、別に火あぶりの刑にされるわけじゃないので、ジワジワでもアッという間でも同じじゃないですか?
樹木と棺の話に関しては、もう一つ、世界ではどうなっているのかな? という疑問もあって、いま調べていますが、釈迦は死ぬ前に「遺体はビャクダンの棺に入れなさい」と指示したらしいです。いい香りでしょうね。
syaberuさんも「ビャクダンの棺に入れて」と遺言されたらどうですか?(笑)
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