樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

宇治市民は木に感謝しなさい

2008年02月04日 | 木と飲食
宇治はお茶で有名ですが、生産量では1位の静岡県と2位の鹿児島県がダントツ。でも、玉露の生産量では宇治を含めた京都府が第1位です。宇治茶は玉露などの高級品でブランド力を保っているのです。
玉露は普通のお茶と違って、直射日光を遮って栽培します。昔はヨシズやワラで茶畑を覆いましたが、現在は黒い遮光カーテンを使っています。
この「日光を遮る」という栽培方法を生み出したのは、実は木です。昔、ある人が木陰の畑で収穫した茶葉が他の畑の茶葉に比べて柔らかく、渋みが少なく、うま味のあるお茶になることを発見。それ以来、わざわざ日光を遮って栽培し、玉露として売り出したのです。

       
           (茶畑の遮光カーテン。冬は開けてあります)

で、木にこだわる私としては、それが何の木陰であったかを知りたい。いろいろ考えて、それは松であることを突き止めました。
まず、新芽が出る頃すでに陰を作っているということは常緑樹、つまり針葉樹か常緑広葉樹です。
そして、私が以前、贈答用によくお茶を買っていた老舗のお茶屋さんが「松北園」という屋号でした。松の北にある茶園…。南から照りつける日光を松が遮っていたのです。松北園さんに確認したわけじゃないですが、それが店名の由来でしょう。
また、宇治茶の昔の資料には「松蔭園」という茶園があったことも記されています。
日陰と言っても全く光が差さないようでは茶葉も育たないでしょうが、松の細い葉なら紗がかかったような半日陰になりますから、茶の栽培に最適だったのではないでしょうか。

            
  (玉露の由来と関係あるのか、茶祭の起点・茶筅塚には松が植えてあります)

宇治がこうやってお茶の名産地として大きな顔をしていられるのも、松のおかげです。私たち宇治市民は松に感謝しなければ…。ありがと~、松!
コメント (9)
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