ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

柳の下を探す音楽産業

2006-04-19 13:18:54 | 音楽あれこれ
つい先日、とある会社にひとつの企画をもちかけた時の話。ワシが提案したのは従来にない切り口の企画だった。もちろんこの時提示したのは具体的なリサーチを経たデータに基づくものではないし、諸経費などを算出したものでもない。いうなれば新商品に関するひとつのアイディアを提案した程度の話である。

担当者は最初「なるほど、それは面白いかもしれませんね」と目を光らせた。そこで、こちらはその企画の構想をある程度説明する。担当者は「うんうん、面白い」と相づちを打つ。これはイケるかなと、さらに話を進めようとした時、担当者の一言でこちらはすっかり萎えてしまった。

「ただ、前例がないですからねえ」

彼の説明によれば、事情はこうだ。すでに企画モノでヒットしているのと同様な商品ならまだしも、どこもやったことがない企画の商品というのはなかなか企画として実現しにくいのだとか。いうなれば企画を実現するにカケをしたくないというのである。

なるほど、そりゃそうかもしれんな。鼻息荒く商品を作ったところで、万一それが当たらなかった場合、企業にとっては相当な損失になるわけだし。理屈はわかるし、担当者の立場も理解できる。

しかし、こうした保守的な考え方こそが音楽業界の低迷する一因でもあるのだ。それを当事者たちが全く気づいていないのは驚くべきことであり、だからダメなんだよ。確かに未知なるものへチャレンジするには当然リスクはつきもの。でもそれはギャンブルと同じで、その商品が当たった際のリターンは想像以上に大きい。

「でも博打はしたくない」と彼らは言うだろう。違うって。仮にリスクが想定されるにしても、効果的な宣伝を打つとかパッケージのデザインを吟味するなど、あらゆる工夫すれば企画そのものが斬新なだけに当たるんだっての!なんでこんな簡単なことがわからないかねえ。

音楽産業ってのはさ、そもそも夢を得る商売。ありきたりなモノで儲けようとしたって、消費者にとっては目新しく感じられないんだから食いつくわけがない。だから商品は売れなくなり、結果リリース数も減り、負のスパイラルへ追い込まれるのだ。

企業努力ってのはさ、ただリストラして人員削減すれば済む問題ではないのだ。今までにない発想で斬新な商品を提供すること。これを最優先に考えれば能力ある人間をリストラする必要はなくなるはずなんだけどね。経営者にとってのイエスマンばかり会社に残してもロクなことにはならない。
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