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ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

兵庫県初の!…引原ダム

2022-11-28 07:02:25 | 兵庫(ダム/堰堤)
どーも、ワシです。今回は兵庫県宍粟市波賀町引原(しそうし はがちょうひきはら)にある揖保川(いぼがわ)水系の引原ダムを訪れます。アクセスは国道29号沿いにあるので迷うことはないでしょう。

【引原の由来】(参考
ダム名はもちろんここの地名に由来するのでしょうが、平安時代、この地域は「蟾原」と表記されていたようです。「蟾」はヒキガエルの意味なので、昔この付近はヒキガエルがたくさんいる野原だったのかもしれません。「蟾原」はその後江戸時代になると「曳原」と表記され、明治6年(1873年)には引原小学校が開校しているので「引原」という表記はこの頃すでに定着していたと思われます。

左岸から見た「ご尊顔」です。


左岸の国道沿いには「兵庫県引原ダム管理所」があります。



近くには「音水湖散策マップ」。ダム湖名は音水湖(おんずいこ)なんですが、これは右岸側の地名(波賀町音水)に由来するもののようです。


その隣には「ハウエル・バンガー・バルブ」。1963年に設置され、1996年まで使用されていた実際の放流バルブです。そういえば以前訪れた宮城県の鳴子ダム(1957年完成)にもこのバルブが展示されていましたね。(参考



さらにその隣には「引原ダム概要」。これを見ると、ダムの起工は1941年4月1日で、竣工は1958年3月31日とあります。


左岸から見たダム上。


そばには引原ダムの案内板があります。その歴史を読むと本ダムは揖保川河水統制事業の一環として築造が開始されたものの1947年には一旦工事が中止され、1953年になって工事再開。そして1958年に完成したという経緯があったようです。


兵庫県のダムだなぁと思わせるのは湖面の面積を甲子園球場22個分として表現していること。関東だったら東京ドームで表現されるでしょうね。


「引原ダムの役割」パネル。当該ダムは洪水調節、水力発電用水、かんがい用水、工業用水を目的とした多目的ダムだそうです。ちなみに水力発電用水はここから直線距離にして約1.9km下流にある関西電力 原発電所(兵庫県宍粟市波賀町日ノ原)へ送水されて発電されます。同発電所の運用開始はダムが完成した翌月、つまり1958年4月。発電所の完成当初は兵庫県企画庁の所有でしたが、2010年4月1日より関西電力が所有者になっています。(参考


ダム本体に嵌め込まれたプレート。


ダム上、中央から見た音水湖の様子。


ダムの真下はこんな感じ。64.7mらしいですが、まあまあの高さです。

下流側の遠景。訪れた時はキレイに色づいていました。


対岸(右岸)に来ました。振り返るとこんな感じです。


右岸、音水湖側から見た様子。


右岸の道を進んでいくと…なんでしょうね、これは。

「パラボラベンチ」だそうな。試しに座ってみましたが何も聞こえず…。おおっ、恥ずかしい。


その奥には「記念碑」と刻まれた石碑。

その下部の句「すすむ世の ためとてあはれ ささなみの そこに消えぬる 引原の里」は当時兵庫県知事だった阪本勝(さかもとまさる:1899-1975)が歌ったものらしい(参考)。阪本は1954年から1962年まで兵庫県知事を二期務めたが、その一方戯曲作家、美術評論家としても活躍したそうな。


石碑の裏側上段には当時の引原村の歴史と引原ダム築造の経緯が刻まれています。




昭和33年5月建立の割に文字が明確に読むことができたので下に転記しておきます。

「兵庫県宍粟郡波賀町引原村の起原は遠く平安時代に遡り大同二年(807年)坂上田村麿(758-811)の後裔田村氏助の拓く処と父祖相伝えて茲に千百数拾年その後天安元年(857年)八幡神社を京都石清水八幡宮より奉祀し享保二十年(1735年)鹿王山長源寺(※)を建立し●に農作の傍ら林業に励み和衷協同引原川上流に桃源境を作り戸数百参十戸田畑参拾五町歩の有力村として現在に至る然るに昭和十六年(1941年)太平洋戦争が起るや播磨臨海工業地帯の拡充にせまられ揖保川河水制の為県営引原ダム建設となり祖国の必勝を念じつゝ郷土を去る者四十八戸更に三十余戸の日の原部落分村となる終戦を経て昭和二十八年(1953年)工事の再開せらるゝや社寺を東側山腹に遷し在村する者僅かに十余戸他は竜野姫路阪神方面へ生業を求めて離散し茲に我等の郷土は湖底の村となりおわるこの地や我が揺籃なり我が墳墓なり哀惜の情一入深し然れども父祖の精魂は水霊となり我等と共に引原ダムを祝福し永くその栄を護らん」

(※)長源寺は国道29号沿いの引原駐在所の隣にある寺

学んだ、学んだ。
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