ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

奇妙なヒッチハイカーズ

2006-09-08 19:22:53 | ドライブ関連
愛おしい「相棒」が無事車検から戻ってきた。「おい、調子はどうだい?」とばかりに、さっそく試運転。今回の車検ではタイミング・ベルト交換という予想外の出費。まあ、距離も走っているのだからそれも仕方がない。走行中に万一タイミング・ベルトが切れたら、それこそエンジンは焼き付いてしまう。つまりジ・エンドというわけだ。そう考えれば今回の出費は安心料みたいなもの。物事は常にプラス思考でいくに限る。

相変わらずエンジンは絶好調。加速フィールもそのまま。「いいぞ、いいぞ、ナイスじゃないか!」そんなことを思いながら走っていると小田原近くまで来ていた。うんうん、やはり乗り心地の良いクルマだとアッという間だ。さすがに代車だとそうはいかない。ま、すべて自己満足の世界なんだけどさ。

で、いつまでも深夜にウロウロしているわけにもいかず、帰りは厚木から東名に乗って試運転。乗ってすぐにノドが乾いたので海老名サービスエリアに寄る。時は午前2時半。一服しながらしばし寛いでいると運転席の窓をノックする音が…。

こちらはボーッとしていたので突然のノックに驚く。いや、本当に驚いた。しかし、そこはほれ、至って冷静沈着なワシのこと。何事もなかったかのように窓を開ける。

目の前にいたのは年齢が二十歳前後の一組の男女。野郎のほうは相撲部屋に楽勝で合格しそうなほどのオデブちゃん。こんな奴の張り手を食らったら確実に吹っ飛びそうだ。そいつがおもむろに、

「あのー、すみません。東京方面に乗せていってもらえませんか?」

うわっ、珍しいな。こんなところでヒッチハイカーに遭遇するとは…。それにしてもコイツ、上下の前歯がない! あるのは上下四本の犬歯から奥の歯だけ。正直思ったね。間違いなくコイツ、ドラキュラだな…と。深夜のシチュエーションを考えれば誰でもそう思うだろう。でも、ドラキュラにしては太り過ぎだけどな。それにマントもなかったし。

そんなモンスターと一緒にいた女のほうはというと、茶髪ではあったがすらりと長身の美人。まあ夜中だから美人に見えたのかもしれない。いずれにしてもこの野獣と一緒に行動していることがどうしても頭の中で結びつかない。なんなんだ、この関係は。

時間も時間だし、まったく知らない二人を迂闊に後部座席に乗せたらどうなるか。ホトケのようなワシであるが、さすがに「じゃあ、乗れよ」とは言えず、

「ごめんな、悪いけど無理だわ」
「そうですか…。どうもすみませんでした」

男はそう言うと次なるターゲットを探して暗闇に消えていった。そして女も軽くワシに会釈したあと、小走りに奴を追っていた。うーん、ますます怪しい。なんだ?アイツら。

彼らが見えなくなってから、タバコをもう1本燻らしながら考えてみる。奴らは見た目は確かに怪しい。しかし事情も聞かず単に疑うのもどうなんだろう。もし、しばらくして再び姿が見えたら話だけでも聞いてみようか…。それによって再考してもいいよな?

そう決めてから15分ほど留まっていたが、結局彼らを再び目にすることはなかった。ターゲットが見つかったのか? それならそれでよかったと思うべきなのかもしれない。ただ、ワシの心のなかには釈然としないモヤモヤが残ったままで、ある意味で自分を恥じたのだった。
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