湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

1/27講演会:養護学校進路指導の立場から講評/1/26続きは次回に

2007-01-28 05:19:20 | 引きこもり
シンポジストの薮内さん、そして津島さん、参加された皆さん、お疲れ様でした。

今回はポスター配布から当日まで2週間ぐらいでした。コンセプトを明記したチラシも無く、参加人員的には少ない会になりましたが、じつは全然がっかりしてはいないのです。というのは、雰囲気が、非常に集中しており、ホットだったからです。

お話がかなり具体的なところを取り上げていたので、2時間の長丁場を感じさせないどころか、後半和田さんのお話あたりから、字体通りの「焦・点」が始まっていました。自立支援法下の事業者の方向との連携した論点はさらに集中議論が必要だと思います。場が出来るといいですね。

もうひとつは、障害と一口に言っても当事者の方の困り観はさまざまで、引きこもり青年や鬱者など精神の領域の傾向は、対人関係に難があり、対人不安・対人不信が強いために、むしろ就労によって緊張を和らげて行く道筋になります。このとき、挨拶訓練をさせるのは、やはり躊躇します。たしかに強要してやらせれば、意外な相手の柔らかな応答あって、当人には大きな刺激にはなると思いますが、中には「石橋叩き」方式で、相手が敵か見方か挑発して確かめる輩も珍しくありません。こういう場面になると、挨拶はひと波乱となります。

私の手がけた例では、東京の当時30歳の引きこもり歴7年という方でしたが、初就職先の社員研修に耐えられず、挫折感抱えて引きこもってしまいました。こういう方だと、親亡き後をまだ早いとはいえども親は気にしており、定職について、自活最低限の賃労働を彼に始めてほしい欲求が強く、当人の緊張は高いのです。

結局面談失敗。以前の武居さんのお話ではないが、会社の守衛所で立ちションをするというような、自滅的な挑発にでることすらあるのです。彼の場合は、担当に「俺を蔑んだ目で見るな」と言い放ちました。

企業の採用基準の大きな要素となる調和的対人関係は、面談の場面の彼を基準にする限り無理なのです。5社失敗の後、次の選択をやめ、アルバイトとして近所の和菓子屋さんに預かってもらい、彼の就労後の対人関係の変化について、当人の了解を得て写真を撮って、次第に和らいでいく就労記録をとり、彼の短編プロモーション・ビデオを作りました。これを面談時に見せて、入社できた経験があります。彼は大きく変化していたからです。和菓子屋さんは、彼を短期アルバイトとして受け取れましたが,長期や正社員として抱え込むことは無理だったのです。

「いまここにいる彼を彼そのものとして評価する」という方式を
ずらしこむのです。ものすごい手間がかかるし、演技に走る可能性
もあります。しかしそのビデオ(数分)は、彼にとっても宝物に
なりました。ジョブコーチが作業のマッチングだけでなく職場対人
関係の変化の記録係も職場の方に御願いして、ビデオを作りました。

それから津島さんの言葉で言えば「出戻り支援」。失敗してもいいのです。それが肥やしなのだからといいますが、しかし学校から離れて久しい子が一度目の就労に失敗したとき、彼のいわばファームがありません。(私は『わ~く』活動・フリースペースのふたつに期待があります。)

長くなりました。あとは、薮内さんの発表の中に「先輩の就労した姿を見せる」というお話がありました。これは「わーく」構想が抜け落とした点でした。「わーく」は「取材」という武器を持っています。記者が働現場を見に行く、発見を語り合うのです。ここに「(許可を得て)先輩を訪る」という活動を加えていこうと思います。

地域の「見守りネットワーク」、これは「実務者ネット」の働きですが大人たちの力を結集する必要があるのです。困難を抱える子の就労時だけでなく、「わーく」活動の見守り、そして就労先開拓の仕事を支える活動、さらには「ヤングジョブスポット湘南」のような就労相談窓口の官民協働の柱に育ってほしいのです。

就労が個人の営みから、ネットワークの中の営みへと転換していく道筋を考えたいと思いました。いろいろな糸口を提供してくださったし、皆さんの意見とも重なったという意味で、非常に熱い会でした。

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