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☆「それから」の赤

2006年06月06日 01時07分57秒 | 文学
例えば、「世界の中心で、愛をさけぶ」のなかで「ボルドーの赤」とかいう言葉を無批判に使えてしまえるところ、そういうところが気に入らない。

いま江藤淳の「漱石論集」を読んでいる。
最初の論文「『それから』と『心』」の前半の「それから」についての部分だけを読んだ。
「それから」は「行人」と並んで僕が最も好きな漱石の小説です。
でも、あんまり憶えてなかったな。例によって江藤淳は引用しまくりなんだけれど、またまた読みたくなってしまった。
江藤淳を読み続けると、読みたい本が増え続けていけない。小説を引用しまくってほとんど内容を全てカバーしてしまうという手法は、映画評論界における浜村淳のようなものだ。名前まで見事に一致。
江藤淳と浜村淳。五月みどりと小松みどり。ありがとう江藤淳です。

「それから」は最後に主人公の目の前の世界が赤くなって終わるが、赤い色は最初の、落ちている椿から始まって、ずっとモチーフとして出続けていたらしい。
全然知らなかった。
唐突に赤くなったな、と思っただけだった。
漱石は意外とヨーロッパ文学的だ。「明暗」の、旅館で迷子になって鏡に映るシーンも凄いと思った。
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