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ヒッチコック監督『ヒッチコックのファミリー・プロット』

2017年06月25日 23時15分57秒 | 映画
録画していたヒッチコック監督の『ヒッチコックのファミリー・プロット』を見た。
昔ヒッチコックを集中的に見ていたときにこの映画も見たのだが、全く忘れていた。
最後に偽の霊能力者に本当の霊能力があることがわかるということだけ憶えていた。
気楽に見られる印象にあまり残らない映画だ。
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小津安二郎監督『早春』

2017年06月24日 01時48分36秒 | 映画
小津安二郎監督の『早春』を見た。
夫が浮気をして妻が家を出て、その間に夫が転勤してそこに妻がやってくる、という小津安二郎のなかでは少し変わった話だった。
サラリーマンはつまらないという思想がさんざん語られて、そうだよなサラリーマンはつまらないよなと思う。
昭和31年の作品で、まだ戦友と飲みに行ったりしている。戦争の話も多く語られる。
奥さんを大切にしないといけない。
岸惠子は悪い女だ。

三浦という寝たきりになって結局は死んでしまう男がいて、とても不気味に描かれる。
こんな描き方をする小津安二郎を知らない。
『赤ひげ』で黒澤明がやっていたような描き方だった。
小津安二郎ではもっと明るいものが好きだが、この映画はとても印象に残る映画だった。
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三浦綾子『銃口 下』

2017年06月23日 22時42分32秒 | 文学
三浦綾子『銃口 下』(角川文庫)を読んだ。
上巻を読んだときにディケンズっぽいなと思ったが、やはり下巻もディケンズぽかった。
治安維持法や太平洋戦争の話をディケンズっぽく描かれたものをこれまで読んだことがなかったので新鮮だった。
”タコ”の金俊明はやはり登場した。ディケンズ的だった。
太平洋戦争は旧日本軍の非人道的な姿を、後に作家となった元兵士であるインテリが恨みを込めて描くものと相場が決まっているのだが、三浦綾子が元兵士でないこともあり、まったくこれまで見たことのないような軍隊が描かれる。
こんなに良い人ばかりの軍隊というものがあるのだろうか。
矢須崎という兵隊が極端に悪く描かれるが、彼こそ僕が思っている旧日本軍人の姿だ。
この矢須崎に北森は「天皇がそのようなことを望んでいるのか」と反論し、片耳が聴こえなくなるくらいの負傷を負わされるが、たしかにここで北森の言うことは説得的だった。
神聖な天皇を言い訳にして、やっていることはひどく残虐、という矛盾について、なんだか当然のことのように思ってきた(なぜなら旧日本軍は残虐な存在だから)けれど、どういう気持ちで兵士たちが残虐なことを行っていたのか考えたことがなかった。これは考えてみる必要がある。

たぶん、治安維持法で主人公の北森が捕まって、そこでものすごくひどい目にあうし、遭いそうになるし、あった人を見るし、で、もうお腹いっぱいで、これから戦争が始まるのか、と思っていたのでこのくらいいいひとがたくさんいる戦場というのがちょうどよかったのかもしれない。

話はかなりとびとびに描かれて、昭和天皇が死ぬ時代まで長く描かれる。
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近藤誠『がん患者自立学』

2017年06月23日 21時32分43秒 | 文学
赤川次郎の『幽霊列車』を図書館で借りて読んでいたが、「幽霊列車」「裏切られた誘拐」の二編を読んだところで「あんまりおもしろくないな」と思ったのでやめる。
赤川次郎の初期はおもしろいと聞いていたのだが、僕には合わなかった。

近藤誠『がん患者自立学』(晶文社)を図書館で借りて読む。
近藤誠の主張はいつもと同じなのだが、他の本と違うのは三砂ちづると編集者のふたりの聞き手がいて、彼の話を聞いているというところが違う。
やはり近藤誠の言うことは間違っていないのだろうなという思いを強くした。
がんになっても手術せずに、医者にもかからず、自宅で枯れるように死にたい。そもそもその前にがんを見つけられないようにしたい。
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赤川次郎『マリオネットの罠』

2017年06月18日 23時03分58秒 | 文学
赤川次郎『マリオネットの罠』(文春文庫)を読んだ。
たまにミステリーが読みたくなる。ちょっと調べてみると赤川次郎の処女長編のこの本がおもしろいというのを聞きつけたので読んでみた。
赤川次郎はほぼ読んだことがない。
最初のほうで、雨の中を女が男を殺すシーンはわくわくしながら読んだが、あとはあまりわくわくしなかった。
最後のオチもびっくりしなかった。
びっくりしなかったというのはオチがわかっていたというわけではなく、ぜんぜんわからなかったのだが、もう最後あたりではあまり興味が持てていなかった。
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石井妙子『原節子の真実』

2017年06月17日 19時21分24秒 | 文学
図書館で借りて石井妙子『原節子の真実』(新潮社)を読んだ。
真実というような話はあまりなかった。以前読んだ千葉伸夫の『原節子 伝説の女優』と同じような話だった。恋人がいたというような話がちょっと追加されたといった感じかな。
義兄の熊谷久虎との関係の怪しさが描き方によって強調されていた。
小津安二郎の映画を原節子が評価していなかったというように描かれていた。
小津安二郎自身も”小津調”を嫌々撮っていたというのはどこから聞いた話なのだろうか。誰が言った話なのかはっきりとしないまま書かれていた。プロデューサーの山内静夫が平成二十年になって語っている言葉のみがその証拠のようにあげられているのだが、あまり証拠とは言えない。
原節子本人のインタビューができなかったので過去の記事から本を作るしか出来なかったのだろうが、筆者の思い込みによるところが大きいように思えるところがあった。
『秋日和』から『小早川家の秋』までの間に原節子の右目が悪くなったという話が載っていて、確かに『小早川家の秋』では衰えを感じたのはそのせいだったかと思った。
そういえば『小早川家の秋』で浪花千栄子が中村鴈治郎に麦茶をあげるときに砂糖を入れるかと訊いていて、びっくりした。麦茶に砂糖を入れていた時代があったのか。

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小津安二郎監督『小早川家の秋』

2017年06月17日 01時21分52秒 | 映画
小津安二郎監督の『小早川家の秋』を見た。
『秋日和』ではきれいだと思った原節子だが、今回そうでもないなと感じた。
中村鴈治郎はちょっと前に見た市川崑の『鍵』を思い出した。あちらが気持ちの悪い雰囲気の映画だったので、中村鴈治郎を見るとちょっと気持ちの悪い気がする。
原節子は司葉子と何度かいっしょにしゃがみ同時に立ち上がる。これを繰り返す。
新珠三千代は父親の中村鴈治郎に嫌みを言うが、父親が死にそうになったあとは後悔し、もう言わないでおこうと思う。『お茶漬の味』で木暮実千代が佐分利信が外国に行ってしばらくあえないと思っていたら飛行機の故障で帰って来て、これまで夫に言ってきたことを後悔するのに似ている。
浪花千栄子は出てくると華やぐ。
葬式には杉村春子が登場し、故人をくさし、そして泣く。
いろいろなことが小津映画でいつか見た風景なのだが、それがまた心地よい。

テレビドラマ『あなたのことはそれほど』の宣伝で東出昌大の芝居を見るたびに「へただな」と思うのだが、宝田明をみて東出昌大を思い出した。
東出昌大がとくにひどいわけではない。二枚目は昔からそうなのだ。
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高橋治『絢爛たる影絵 小津安二郎』

2017年06月12日 23時27分29秒 | 文学
高橋治『絢爛たる影絵 小津安二郎』(岩波現代文庫)を読んだ。
この本は「絢爛たる影絵」と「幻のシンガポール」の二つの小説(?)が収録されている。
「絢爛たる影絵」は小津安二郎の戦後について語られる。
作者の高橋治は『東京物語』の助監督をやっていて、初めのほうでそのときのことが小説風に描かれる。
小津の名言もはさまれてとってもたのしい。
小津安二郎の印象がだいぶ変わった。お上品なおじさまの印象だったのだが、結構べらんめいな感じだった。まわりにわりと厳しい。
笠智衆のイメージだったのだが、小林秀雄のような印象になった。
志賀直哉の『暗夜行路』や永井荷風の『断腸亭日乗』を愛読したというあたりはイメージ通りだ。
溝口健二も描かれるが、これはひどい。こんなひどいひとだったのかと驚いた。溝口健二の作品をしばらく見る気がしない。カメラマンが良かっただけなのではないか。
高橋治がその一員だったこともあり、松竹ヌーベル・バーグについても詳しい。しかし、大島渚の映画は僕は(いまのところ)見る気がしない。
また高橋治の、『彼岸花』や『秋日和』への評価が低い。僕にはおもしろかったけれど。
自分が最もおもしろいと思ったものを頂点に置き、そこから作家が離れていくと質が落ちたと考えてしまうことは誰にでもあることだけれど、それはちがうのではないか。何でもう一度あれを繰り返してくれないかと求めるのは、自制しなければならない。
相手も人間が変わる。
『早春』の岸惠子に興味を持った。
岸惠子が結婚してしまったことにより『東京暮色』に代わりに出演することになった(と高橋が言う)有馬稲子への酷評がすごかった。
しかし岸惠子ってそんなにいいかなあ。好きか嫌いかと言えば好きな女優ではあるけれど、原節子の後釜になり得たというほどなのだろうか。

「幻のシンガポール」は、第二次世界大戦中にシンガポールで不思議な偶然でアメリカ映画をたくさん見た小津安二郎がそれをよく吸収したことがわかる。戦後の小津安二郎の達成はこの時代にアメリカ映画を見たことによる、のだと読める。
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三浦綾子『銃口 上』

2017年06月12日 21時15分40秒 | 文学
三浦綾子『銃口 上』(角川文庫)を読んだ。
このひとの『母』を読んだときも”タコ”が出てきたが、今回も”タコ”が出てきた。”タコ”というのは強制的に働かされている人たちのこと。
逃げてきた”タコ”の金俊明を竜太の父が救うが、のちに金が竜太を救うことになるというような記載があったと思う。しかし上巻が終わったがまだ金俊明は再登場しない。ほんとうに救ってくれるのだろうか。
このあたり少しディケンズを思い出した。『大いなる遺産』ってそんな話じゃなかっただろうか。
三浦綾子はちょっと馬鹿にしたくもなるけど話に惹き込まれるというところもディケンズを思わせる。
坂部先生と木下先生はとても立派な人物で、このような人物をみると自分の生き方を反省させられるし、このように生きていかなければならないと思わせられる。ふたりともキリスト教を学ぶことによって立派な人物になっていると読めるところがあり、三浦綾子はなかなか狡猾だ。勧誘できている。

木下惠介の『二十四の瞳』にも歌の上手い子どもがみんなの前で、せがまれて歌う場面があったが、この小説でも歌の上手い主人公の竜太がみんなの前で歌う場面がある。
歌の上手い子がクラスで歌って、それでみんなが感動するということが、五十年前とか百年前にはあったのだがいまでは考えられない。

竜太が警察になぜか理由はわからぬが捕まってしまうところで上巻は終わり。
カフカの描くような世界観って、想像力の豊かな作家の描く非現実的なもののように思いがちだが、じつはそんな世界はほんのちょっと世の中が傾けばすぐに目の前にあるということなのだろう。
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小津安二郎監督『お茶漬の味』

2017年06月09日 23時12分44秒 | 映画
小津安二郎監督の『お茶漬の味』を見た。
とってもおもしろく見た。いま小津安二郎の映画は何でもおもしろい。裏切らない。
はじめ、奥さんの木暮実千代が嘘をついて旅行をして、女友達と夫(佐分利信)の悪口を言うあたりは、『秋日和』で佐分利信と中村伸郎と北竜二の三人が集まっていろいろ言っている雰囲気の女版といった感じだった。そういうときのたのしい雰囲気がとてもいい。
車に乗って移動したり、パチンコしたり、飛行機が出てきたり、あまり他の小津作品で僕が見たことのないようなものが登場した。
お手伝いを置いている家というのも見たことがない。
奥さんが全く家事をしない。
佐分利信のことが気にいらなくて木暮実千代が黙って家を出て行き、そのあたりの木暮実千代に腹が立つけれど初めのほうで彼女のことを丁寧に描いているので完全に悪人にも見えない。そこが良いと思った。
最後にお茶漬けを食べながら改心するが、ちょっと反省し過ぎかなと思った。
でもほろっとする良い場面だ。
佐分利信の泣くところなどは誰も見たくないので、そのとき泣いたという話をあとになって木暮実千代が友だちに語ることにしているのだろう。

とにかく佐分利信がかっこいい。
淡島千景のしゃべりかたも好き。
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