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100分 de アーサー・C・クラーク

2020年01月31日 22時05分45秒 | 文学
3月のNHKの「100分 de 名著」はアーサー・C・クラークのようで、たしか『太陽系最後の日』と『幼年期の終わり』と『都市と星』と『楽園の泉』の四冊を取り上げるようだ。
いまSFを読んでいて、昔読んでおもしろかった記憶のある『幼年期の終わり』を読もうと思っているが、他にもおもしろいものがあれば読みたい。番組を見て参考にしたい。
いまはテッド・チャンを読んでいるが、ケン・リュウほどおもしろくはない。

今後の予定。

・ジョージ・オーウェル『一九八四年』(既読)
・ケン・リュウの短篇集(既読)
・大江健三郎『治療塔』(既読)
・テッド・チャン『あなたの人生の物語』 ←いまここ
・大江健三郎『治療塔惑星』
・オースン・スコット・カード『無伴奏ソナタ』
・オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』
・メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』
・レイ・ブラッドベリ『華氏451度』
・アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』
・スタニスワフ・レム『ソラリス』
・マーガレット・アトウッド『侍女の物語』
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大江健三郎『人生の親戚』

2020年01月31日 00時04分42秒 | 文学
大江健三郎『人生の親戚』(河出書房新社『日本文学全集22』所収)。
フラナリー・オコナーは好きで、この小説に彼女のことが出てくると知ってから気にはなっていながらも読んでいなかった。やっと読むことが出来た。
フラナリー・オコナーを研究している倉木まり恵という女性が中心に描かれる物語で、最初のほうはとってもおもしろく、語り手Kの息子と山小屋に行ったり、プールに通ったり、ピアノの練習に付き合ったりする場面は懐かしく、『新しい人よ眼ざめよ』や『静かな生活』を読み返したくなりもした。
しかしある程度用意していた話が終わると(そのように読めました)、なんだか話が思いつきで進んだような印象で、テューター・小父さんの話とか、メキシコの話とか、ガンの話とか、machoミツオとか、後半はあまり興味を持って読み進めることが出来なかった。
映画を作ろうとする人がいて、その人たちが大江健三郎と思われる語り手にシナリオ制作を頼む話というのが、たぶん作品の執筆順序でいえばこのあとも出てくると思うのだが、そんなこと有り得ないなと思う。もっと分かりやすく書いてくれる作家に頼む。
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大江健三郎「鳥」

2020年01月28日 22時27分45秒 | 文学
大江健三郎「鳥」(河出書房新社『日本文学全集22』所収)。
初期の大江健三郎は、こんな感じだったなと思った。
世間に対する被害妄想が強い。
《鳥たち》が見える、今で言うひきこもりの青年が主人公で、そこに心理学者の男がやってくる。
はじまりがすごくおもしろくて、わくわくしたのだが、主人公が男に連れて行かれるところからあまり興味が持てなくなった。
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大江健三郎『治療塔』

2020年01月27日 22時51分23秒 | 文学
大江健三郎の『治療塔』(河出書房新社『日本文学全集22』所収)を図書館で借りて読む。
ほんとうは図書館で借りてこの本を読むのならば、講談社の『大江健三郎全小説』のほうが新しく、しかも続編の『治療塔惑星』も入っているのだけれど、二段組なので少し読みにくいだろうし、続編を読むかどうかもわからないので河出書房新社の『日本文学全集』にした。
ひさしぶりに大江健三郎を読む。
意外、というべきかとってもおもしろかった。ちゃんとSF小説だった。
しかし懐かしい節回しで歌う歌手のように、いかにも大江健三郎という文体だった。こんな風に書くのは大江健三郎しかいない。

選ばれた人たちが「新しい地球」を目指して旅立っていったのに、十年後になぜか戻ってくる。
彼らは歳を取らずに若返っているように見える。
「新しい地球」にはカマクラのような「治療塔」があり、そこに入ると人間は若返ることができる。
新しい肉体を手に入れても「新しい地球」で生き延びるのは大変なので、彼らは地球に帰還し、新しい肉体で古い地球を生き延びようとする。
簡単にいえばそんなような話で、最後のほうにまとめて理解できるように朔ちゃんと隆伯父の親子が対話する。

《叛乱軍の人たちの原理は、地球での肉体的条件を改造せず、自然なありようの人間のまま「新しい地球」の条件と闘う、そのようにして次の世代も育てる、ということでしたから。》(381頁)
《新しい肉体条件でならば、地球を再建できるかもしれぬという構想が生まれた。そこで再び苦しい宇宙航海をして、古い地球に帰還したんだ。》(382頁)
《つまりこれからのわれわれの活動に、「新しい地球」で「治療塔」を経験をした人間は、つまり「神」の最後の手なおしを受けた人間は、大切なのだ。それこそが新生人類の素材だし、新生を信じうる根拠でもある。われわれはまず「治療塔」を経験した帰還者そのものを、大切に保たなければならない。「治療塔」の秘密が科学によってあきらかにされ、人間の力で同じモデルが作られるまでは、「新しい地球」での成果を純粋に守りぬいて、第二、第三世代へとつないで行くことがなにより必要なんだ。》(383頁)

これまで僕の読んだことのある大江健三郎の小説では、「神」について語りはするけれど登場することはなかったのだが、この小説では「神」がいる。そこに驚いた。
「新しい地球」の「治療塔」で新しい肉体を手に入れた朔ちゃんの子供を妊娠しているリッチャンは、どのような子供を産むことになるのか。
また、「新しい地球」に再び出発した李さんたちはどうなるのか。

そこらへんが気にかかるので続編を読むことにします。

また、大江健三郎をひさびさに読んでおもしろかったので、同じ本に入っている『人生の親戚』も読んでみようかとも思ってます。
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ケン・リュウ『ケン・リュウ短篇傑作集4 草を結びて環を銜えん』

2020年01月27日 00時32分09秒 | 文学
ケン・リュウ『ケン・リュウ短篇傑作集4 草を結びて環を銜えん』(早川書房)を読んだ。
単行本で買うほどではないけれど、文庫になったらケン・リュウの作品を今後も読んでいこうと思った。
たまにものすごくおもしろいものに当たる。

「烏蘇里羆」
人知のある羆と、片腕が機械になった人間の闘い。主人公は日本人。
迫力があっておもしろい。

「『輸送年報』より「長距離貨物輸送飛行船」(〈パシフィック・マンスリー〉誌二〇〇九年五月号掲載)」
アメリカ人の夫と中国人の妻のふたりだけで交代で飛行船を操縦しているので、夫婦で会話する時間があまりない。妻が夫に話をするときに、夫に中国の生活の知識がないのでちょっとしたことを話そうとしても説明が長くなってしまう。そして夫は飽きてしまう、というところが良かった。
妻は夫との共通の話題を見つけるために野球のルールを勉強する。
おもしろいところもあったが、少し長い。

「存在」
離れた場所から老いた親を機械を通して見守る話。
こういうことは本当に実現しそうだと思う。

「シミュラクラ」
大好きな人のその瞬間をずっと残しておけるのであればそうしたいと思う。
娘の七歳の時点をずっといつでもそばに置いておけるのならばそうしたいように思う。
でもそのようなものがあって本当にいいのだろうか、とも思う。
「AI美空ひばり」に通じる。
『紙の動物園』に入っていた「愛のアルゴリズム」と同じくこの話も好きだ。

「草を結びて環を銜えん」
歴史物語であまり興味が持てないまま読んだ。

「訴訟師と猿の王」
頭の中に猿の王が棲んでいる、というところがおもしろかった。『西遊記』の孫悟空なのだろう。
最後は拷問。
拷問シーンをあまり読みたくないので、物語の始まりに「この物語には拷問シーンがあります」と書いておいて欲しい(もちろん冗談です)。
揚州大虐殺というものを初めて知った。いろんなところで大虐殺があり、隠されてきたのだなと思った。

「万味調和――軍神関羽のアメリカでの物語」
アメリカにやってきた中国人たちとアメリカ人の少女の交流の話。
とてもおもしろい。
『三国志』をきちんと読みたくなった。
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エーリッヒ・フロム『悪について』

2020年01月25日 09時28分54秒 | 文学
エーリッヒ・フロム『悪について』(ちくま学芸文庫)を読んだ。
エーリッヒ・フロムの本は三冊読んだが、どれも興味深くおもしろい。
本の最後のほうの結論を述べるあたりで、油断しているとすごいことをどんどん言い出すので、なんだかもったいない気がしてしまう。そんなにたくさん一度に言われると印象に残らない。
死を愛するネクロフィリア、ナルシシズム、近親相姦的欲望について語った後、自由について語る。
《一連の決心が最後まで行われた時点で、彼はもう自由ではない。もっと前に、本当の決心をいまここでしなければならないと自覚していたら、彼は自由でいられたかもしれない。悪いものではなくよいものを選ぶ自由が人間にはないという見解に賛同する議論は、かなりの部分、人はふつう一連の出来事の、最初や二番目ではなく、最後の決心に注目するという事実に基づいている。そして実際に、最後の決心を行うときには、選択の自由は消えてしまっている。》(187頁)
どうしようもなくなるずっと前に選択して、そこに自分を持って行かないようにすることが大事だ。

スピノザ『エチカ』に興味を持った。
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ケン・リュウ『ケン・リュウ短篇傑作集2 もののあはれ』

2020年01月23日 21時54分10秒 | 文学
ケン・リュウ『ケン・リュウ短篇傑作集2 もののあはれ』(早川書房)を読んだ。
この巻はあまりおもしろい作品がなかった。
「編・訳者あとがき」に単行本発売のときに気に入った作品を三篇つぶやくというキャンペーンを行ったそうだが、僕が選ぶとすれば「紙の動物園」「心智五行」「愛のアルゴリズム」で、どれも文庫では『ケン・リュウ短篇傑作集1 紙の動物園』に入っているもの。

「もののあはれ」
映画『ゼロ・グラビティ』を思い出した。

「潮汐」
ちょっとよくわからない。

「選抜宇宙種族の本づくり習性」
これもちょっとよくわからない。レコードみたいに本を残す種族がいて、何度も読んでいると劣化するから読まないというのが少しおもしろかった。

「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」
短篇集『母の記憶に』のなかに「残されし者」というのがあり、同じ世界観だった。
人間がコンピュータのなかの存在になるという、シンギュラリティ後の世界。
こんな話、好きか嫌いかでいえば好きではない。

「円弧」
技術により永遠に生きられることになった女性の話。
ボディ=ワークスについては、昔「人体の不思議展」という、死体をいろいろに加工した展示を見に行ったことがあるのだが、それを思い出した。
息子が母親の年齢を超えるというのは「母の記憶に」と同じだ。

「波」
これも長生きする女性の話。
これがケン・リュウに限ったことなのか、だいたいSFというものがそもそもそういうものなのかわからないが、読んでいると手塚治虫の『火の鳥』を思い出させる。
女性が長生きする聖書を元にしたような話が『火の鳥』にあった気がするな。
またシンギュラリティ。

「1ビットのエラー」
天使を見たという記憶が中心にある話で、もう少し感動できそうな話である気がするがそんなにおもしろくはなかった。

「良い狩りを」
狐が人間になり、さらに機械になる。
機械の体というと『銀河鉄道999』を思い出す。
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まだまだ続くSF週間

2020年01月22日 00時58分19秒 | 文学
ケン・リュウの短篇小説を引き続き読んでいる。
おもしろいものもあったり、そうでないものもあったりするが、短篇なのでそんなにおもしろくなくてもすぐに終わる。そこが良い。
長篇だとそういうわけにもいかなくて、おもしろくなくても一応最後まで読もうとするのでつらくなることもある。
今後SF小説で長篇では、
オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』
レイ・ブラッドベリ『華氏451度』
は読もうと思っているが、どちらもそんなに楽しそうな世界の話ではないので大丈夫かなと危惧している。ザミャーチンの『われら』も迷っている。
SFの名作と言われるものには管理社会を描いたものが多い。

もうひとつ迷っているのは、大江健三郎のSF小説『治療塔』とその続編『治療塔惑星』なのだが、これはどうなのかな。おもしろくは、ないだろうな。
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ケン・リュウ『ケン・リュウ短篇傑作集1 紙の動物園』

2020年01月21日 00時11分51秒 | 文学
ケン・リュウ『ケン・リュウ短篇傑作集1 紙の動物園』(早川書房)を読んだ。
女性が主人公のものが多い。
未開と文明の対比を描いたようなものが多い。

「紙の動物園」
英語を話せない中国出身の母親と、アメリカで育った息子の話。
母親は折り紙で折った動物に命を吹き込むことができる。あるいは、そのように折り紙が生きていると息子が幼い頃に思っていた、というように話が進む。
母親と息子はこのようであることが多いな、そして悲しいな、と思った。

「月へ」
ちょっとよくわからなかった。
わからないということもないが、心で理解できなかったという感じ。

「結縄」
おもしろかったが、文明がずる賢く悪く、未開が可哀想、という話で、ちょっと型通りかな。

「太平洋横断海底トンネル小史」
日本の歴史がこのように扱われるのを見たことがない。

「心智五行」
とても良い。
知性とはなんだろうか、という話。知性とはただの身体的な反応ではないかという話。

「愛のアルゴリズム」
これも知性についての話。
とても良い。

「文字占い師」
ちょうどジョージ・オーウェルの『一九八四年』を読み終え、やれやれやっと拷問シーンから解放されたと思って、気分を変えようとこの短篇を読むが、またもや拷問。
もう僕に拷問を読ませるのはやめていただきたい。
台湾の歴史について詳しくないことを実感する。
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ジョージ・オーウェル『一九八四年[新訳版]』

2020年01月20日 21時53分38秒 | 文学
ジョージ・オーウェル『一九八四年[新訳版]』(ハヤカワepi文庫)を読んだ。
嫌な話は読むのが遅くなって、時間がかかってしまった。途中からだんだんと読む気が失せる。
「こんな世の中は嫌だな」以外に感想はない。

読んだのでもう読まなくても良い、というのだけがうれしい。
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