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吉野源三郎『君たちはどう生きるか』

2012年07月29日 23時29分47秒 | 文学
吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)を読んだ。
池上彰が売れっ子になってテレビで毎日のようにニュース解説番組に出演していた時期に、彼がテレビ番組で紹介したということでこの本が書店に並んでいて、吉野源三郎の名前もこの本も知らなかったのだが、なんとなく興味を持った。ちなみに池上彰のニュース解説については、僕にとっては稲川淳二の怖い話と同じくらい話についていけず、彼の解説はわかりにくいと思っている。たぶん、話のスピードとか息継ぎのタイミングとかが私には合わないのだろう。
『君たちはどう生きるか』は、主人公の中学生コペル君(あだ名です)が友達との関係とか社会について考えたりする子供向けのお話なのだがおもしろかった。特に友達と、上級生に殴られるときは一緒に殴られると約束していたのに、つい勇気がなくて裏切ってしまう場面は、とても切なくて良い場面だった。誰にでも、勇気がなくてやりそびれて疚しい気持ちになった経験はあるだろうから、共感を呼ぶ場面設定だと思う。
丸山眞男の解説を読むために今回読んでみた。
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ミル『自由論』

2012年07月29日 18時13分25秒 | 文学
ミル『自由論』(光文社古典新訳文庫)を読んだ。
とてもおもしろい本で読みやすく、自由についてとか多数決についてとか人とは違う生き方についてとかに悩んだときに今後も再読すべき本だと思った。
意見というのはいろいろな意見があったほうがいい、そうじゃないと社会は進歩しないという、日本では逆に考えられることが多い考えについてほんとうに分かりやすく書かれている。しかしミルがこの本を書いた当時のイギリスでも個性を重要視しない社会であったことが意外ではある。
日本ではどうしても日本社会はこうだけれど、外国(欧米)では違うと考えられ、外国を理想視するがそんなこともないのだなということがわかる。
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丸山眞男『日本の思想』

2012年07月22日 22時21分44秒 | 文学
丸山眞男『日本の思想』(岩波新書)の「日本の思想」と「近代日本の思想と文学」と「思想のあり方について」を読んだ。
「「である」ことと「する」こと」は少し前に読んだので今回は読まなかった。
丸山眞男の言うことは難しいのだが、とてもおもしろく感じる。難しい理由もおもしろい理由も同じで、これまでこの感じのものを読んでこなかったからだろう。小林秀雄も吉本隆明も言わないようなタイプのことを言う。そこがおもしろい。慣れていないので難しい。
文学好きが陥ることというのがあるのだろうが、文学好きであるとそれになかなか気付かない。そいうことが丸山眞男を読むとよくわかる。
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歌中歌

2012年07月21日 02時16分32秒 | テレビ
テレビ番組「僕らの音楽」で、Crystal Kayと八代亜紀が一緒に「舟唄」を歌っていた。
この番組には高橋真梨子とか鈴木雅之とかの昭和歌謡曲の歌手は出演するような気はするが、ほんものの演歌歌手が出演するのは初めて見るような気がする。
で、八代亜紀の「舟唄」について、これまで何度も聴いたことはあるはずなのにきちんと歌詞について考えたことがなかったのだが、今回きちんと歌詞の意味を追ってみると、この歌は全体が舟唄というわけではなくて、なんかいろいろあって途中で「舟唄」を歌うという不思議な歌だということがわかった。具体的に言うと、「沖の鴎」から「ダンチョネ」までがほんとうの「舟唄」で、それ以外はそれを歌いだす人の心情みたいなことを歌っている。
こんなのは小説ではよくあるような気がするが、歌の世界でもあるのだなと感心してしまった。
昔、スチャダラパーが小沢健二(オザケン)をフィーチャリングして(いまだに意味のよくわからぬ言葉です)歌った曲に「今夜はブギーバック」というのがあって、それが「舟唄」と同じく、歌の中で歌を歌うという曲だったなと思う。
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私の政治的無関心はどこからくるのか

2012年07月17日 22時29分38秒 | 文学
丸山眞男をさらに読もうと思い『日本の思想』(岩波新書)を再読している。
その後の予定としてはしばらく福沢諭吉を読もうかなと考えている。『学問のすすめ』と『福翁自伝』を読んで、『文明論之概略』を丸山眞男の『文明論之概略を読む』を読みながら読もうと思う。
読みたい本をアマゾンの「ほしい物リスト」に入れるのが習慣になっているのだが、最近政治(学)関係の本が多くなっている。
リップマンの『世論』
カーの『危機の二十年』
トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』
などが入っている。
いま、なにが興味があるのかと言葉にして言うとすると「私の政治的無関心はどこからくるのか」ということだと思う。それがわかったら幸いだと思う。
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丸山眞男『福沢諭吉の哲学 他六篇』感想

2012年07月16日 14時41分02秒 | 文学
丸山眞男『福沢諭吉の哲学 他六篇』(岩波文庫)読了。
福沢諭吉の思想で大切なのは、個々の出来事に対する判断ではなく(そこだけ見ると一貫していないように見えるので)、個々の出来事に対する対し方を見るべきであるということが、よくわかった。少なくとも丸山眞男はそのように考えていることがわかった。
ある出来事があった時に抽象的な判断から決めるのではなくて、その時代その場所に合ったヨリ具体的な判断をすべきなのだ。そうすることで、後から見れば福沢諭吉の判断は日和見だというふうにも見られるのだが、そうではない、という話だった。
確かにそうなのだろうと思った。

ちょっとだけ書かれていることが猛烈に興味を引き起こすことがあり、この間内田樹のブログに大江健三郎の『日常生活の冒険』について書かれていて読みたくなった。伊丹十三についての講演で出てきた話で、内田樹が大江健三郎が好きだったという話を知らなくて「へえ」と思った。同じく大江健三郎好きで、『日常生活の冒険』がおもしろいとは加藤典洋が昔言っていた。
しかし新潮文庫でいま品切れのようだ。そのうち読んでみよう。
そのようなことがこの本を読んでいてもあり、中野重治の『鴎外 その側面』が名著だと丸山眞男が話のついでのように言っていて興味を惹かれる。が、これもちくま学芸文庫で品切れ。
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佐々木毅『民主主義という不思議な仕組み』

2012年07月10日 23時22分32秒 | 文学
佐々木毅『民主主義という不思議な仕組み』(ちくまプリマー新書)を読んだ。
橋爪大三郎の『政治の教室』よりはおもしろかった。
リップマンの『世論』という本がおもしろそうだということが分かった。これは収穫だった。
若い学生向けの本のせいかもしれないが、はじめに民主主義の歴史から説かれ、終わりは現代の問題の提示で終わった。教科書のようだった。そこがつまらなかった。政治学の教科書のようなものを求めて買ったのだが、あまりにも教科書のようだとつまらなく感じる。
何事もそうなのだが、入門書というのは歴史から説かれることが多い。マルクス主義の入門書を読むとだいたいマルクスの貧乏な人生から説かれる。たぶん歴史学の本を読むと、歴史学の歴史について説かれるのではないかと思う。
私はあまり歴史に興味のないほうなので、歴史に興味のない人間はどんなものにも入っていけないということか、という気持ちになる。歴史から入らなくてもよい、いま時点の感覚から深いところまではいっていける政治学の入門書が欲しいものだ。
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中野雄『丸山眞男 人生の対話』はひどい

2012年07月08日 01時56分01秒 | 文学
中野雄『丸山眞男 人生の対話』(文春新書)を読んだ。
びっくりするほどつまらない本だった。
企業人が自分の人生を振り返った本で、ときどき丸山眞男が登場するがタイトルにするほどではない。人生の対話というほどの対話でもない。
新書でこのタイトルで期待させるものとぜんぜん違った。
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『丸山眞男セレクション』読了

2012年07月05日 14時39分19秒 | 文学
『丸山眞男セレクション』(平凡社ライブラリー)読了。
とてもおもしろかった。
丸山眞男を今後も引き続き読もうと思った。岩波現代文庫はもっともっと丸山眞男の本を出せばよいのにな。
福沢諭吉については岩波文庫でまとめて読もうと思い、収録されている「福沢諭吉の哲学」は読まなかった。
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ボルヘス『伝奇集』<丸山眞男

2012年07月03日 23時28分17秒 | 文学
ボルヘス『伝奇集』(岩波文庫)を読んだ。
前半はまだ読めたのだが、後半は文字を読んで意味をたどることも難しく、楽しめなかった。やはり私にはボルヘスはまだ早い。もしかしたら逆にもう遅いのかもしれない。
もっとも印象に残っているのは「『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール」のような気がする。どういう話かというと、『ドン・キホーテ』のある章とある章とある章をピエール・メナールが書いた。そしてそれはセルバンテスが書いたものと(書かれた言葉としては)全く同じものだ。しかしセルバンテスが書いた『ドン・キホーテ』とピエール・メナールが書いた『ドン・キホーテ』は全く違う。読んだらその違いがわかる。
そんなような話だった。
「なんじゃそりゃ」のようでもあるし、書いた人間によって文章の印象が変わるというようなことを言いたい気もするし、もっと深いことを言いたい気もする。もっと深いことを言いたい気がする人がボルヘスを好きなのだろうと思う。

昨日に引き続き、なのだが、丸山眞男がおもしろい。全集を読みたいくらい。
「日本の思想」を読んでいて、途中難しくなって「よくわからんな」と思って適当に読んでいたら、ものすごくおもしろいことを言っていて、聞き逃したので先生もう一度今のところお願いします、という気分になる。もう一度頭から読めばよいのだが、どうせ途中が難しくなるのだろうからまたいつか、と思い、すぐに読み返す気にはならない。ちょっと長いし。
どのへんがおもしろいと思ったかを記憶のままに書いておくと、日本では理屈を理屈だと思わず現実だと思う人と、理屈なんかいらない実感こそがすべてと思う人(文学者)だけがいるので話が通じない。理屈は理屈なのだから、現実のすべてに適用できるわけではないが、そう思う限りにおいて役に立つ。という、そこらへんがおもしろかった。もっと詳しい話を聞きたかった。
いま読んでいる「政治的判断」もおもしろい。新聞で取り上げているのは「政治」の話ではなく「政界」の話でしかないというあたりや、福沢諭吉の「悪さ加減の選択」の話の、ベストを選ぼうとして新聞が批判ばかりするので政治的無関心につながる。より悪くないものを選ぼうとすべきという話などは納得させられる。
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