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東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』

2012年03月29日 23時55分26秒 | 文学
東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』(講談社文庫)を読んだ。
最後まで読んでも容疑者二人のうちの犯人がどちらかかわからない推理小説で、私のように「そもそも推理小説の犯人なんかはどうでもいい。そりゃ登場人物の誰かが犯人なんだろう。」と思っている人間にはなんど読み返しても決して犯人などはわからない。(「なんど読み返しても」とは書いたがもちろん一度しか読んでいない。)
最後の「袋綴じ解説」を読んで、ふうんあっちが犯人なのか、と思った。
しかし、容疑者二人よりも、妹の死の真相を追う兄がろくでもない、ひどい人間だという印象しか残らなかった。
加賀恭一郎も、この兄を自由にさせて楽しんでいるとしか思えない。
リアリズムにこだわらないところがすごい。
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吉本隆明『西行論』感想

2012年03月29日 18時53分12秒 | 文学
吉本隆明『西行論』(講談社文芸文庫)を読んだ。
難しかった。
はじめ「僧形論」を読んだあたりでは、当時の宗教観みたいなものの批評に非常に興味を惹かれた。死ぬときに浄土が見えるようになる修行は、ただの意識のパターン化であって何の意味もない、というようなことを書いているのを読むと、吉本隆明はすごいなと思った。
しかしだんだん難しくなる。歌の引用も多くなり読みとばす量も増えておもしろくなくなってしまった。
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東野圭吾『眠りの森』

2012年03月25日 23時45分14秒 | 文学
東野圭吾『眠りの森』(講談社文庫)を読んだ。
バレエ劇団が舞台の推理小説で、前々から気になっている映画『ブラック・スワン』を見てみようかなという気になった。バレエそのものを見てみようという気分には全然ならないのだが、バレエを主題にしたものにはとても興味がある。これは歌舞伎そのものを見ようとは思わないが(見ても分からないし、退屈するだけだろうと思うから)、歌舞伎や歌舞伎役者を題材にした本などには興味を惹かれるのに似ている。
映画と言えば、この小説にもバレエを題材にする映画『オータム・ストーリー』について言及されているが、全然知らない映画だし、調べてもDVDも発売されていないようなので、見ることはないだろう。少し気になったのだが。

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズはこれで二冊目だが、非常におもしろい、という感じではない。まあ退屈しのぎに読むか、といった感じ。
今回の『眠りの森』では、視点人物(という言葉があるのかな? 語り手ではなく、三人称なのだがその人物の視点で、語りがその人物に寄り添って語られるその人物)が知らないことは語ることができないという風なことを意識して語られていたところに興味を持った。
自動車のことを、ポルシェとか呼ばず、セダンとかとも言わず、角ばった車とか呼んでいた。確かに自動車に詳しくないひとにとっては、車は車種では呼べないものな、と思った。しかし角ばっているかどうかも分からないとは思うがとも思った。
そこがおもしろいと思ったくらい。
加賀恭一郎にあまり魅力がないのだろうなと思う。特に推理力があるわけでもなく、数式を書いて事件の謎を解くわけでもない。特徴としては、偶然事件を解くヒントを見つけることができる才能(これがお決まりなのかどうか不明)と、仲の悪い父親に助言を求めることくらいかな。
二冊読んだ限りでは、探偵役としてはあまり特徴がない感じだ。
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心臓が痛い休日

2012年03月20日 22時17分37秒 | テレビ
さむけがするので病院に行き、家で寝ていたら心臓が痛い感じに胸が苦しかった。今朝はだいぶ良くなり風邪の症状そのものはなくなったのだが、病院でもらった薬を飲むとやはり心臓が痛くなった。
朝飲んで昼過ぎくらいまで苦しかった。
薬の副作用というものをこれまであまり経験したことはなかったのだが、こういうものかと思った。今後は気をつけよう。

山田洋次の新作映画『東京家族』についてのNHKの番組を見た。
妻夫木聡の演技を見る映画なのだろうなと思った。
どうしても、というわけではないけれど、見てもいい映画だと思った。
『武士の一分』の時にも思ったが、山田洋次はいまどの俳優を使うべきかというのをよく知っていると思う。よく調べている。
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ロドリゴ・ガルシア監督『愛する人』

2012年03月20日 10時31分21秒 | 映画
ロドリゴ・ガルシア監督『愛する人』を見た。原題はMother and Child。
アネット・ベニングが気難しい女で、自分でも他人とうまく付き合えないと思っていて、それが少しずつ変わる姿がよい。
いろいろな人が描かれていろいろなことを考えさせるとてもよい映画だった。
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アレクサンダー・ペイン監督『サイドウェイ』

2012年03月18日 00時18分20秒 | 映画
アレクサンダー・ペイン監督『サイドウェイ』を見た。
だらだらと続く映画で、退屈はしないが、そんなにはおもしろくない映画だった。
アレクサンダー・ペインは最近の映画で『ファミリー・ツリー』に興味を持っていたが、よく調べてみると『アバウト・シュミット』の監督でもあるようで、僕はこの監督は合わないのだと思う。
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吉本隆明の本をたまたま読んでいる

2012年03月17日 00時21分11秒 | 文学
いまたまたま、大河ドラマの「平清盛」研究(?)の関連で吉本隆明の『西行論』を読んでいるところなので、亡くなったというニュースを聞いて偶然に少し驚いた。
吉本隆明の本は大学時代に読み始めて、そのあとも気になる本をぽつりぽつりと読んでいる感じであるが、これを機会に書店で本が並ぶと思うので何か読んでみてもよいかと思う。
『西行論』については、意外と分かりやすく書かれていて良い本だと思う。もっとも驚いたのは引用文で、ふつう引用文というのは古文であれば原文そのまま、訳を載せるにしても誰が何年に訳したどこの出版社のものであるかを書くのが常識のようになっている。『西行論』の引用文はたぶん吉本隆明本人が現代語訳した文章が”断りもなく”載っていて、非常に読みやすい。誰も好きこのんで読みにくい古文なんぞ読みたくはないのだ、という主張が感じられて、よい。
引用文はできるだけ原文で、それが駄目ならきちんと翻訳の本を明記する、というのは、大学生や学者でもないひとに適用されるルールでもないのだと思うのだが、やはりどうしても従ってしまうものだ。ほんとうは自分の本なのだから勝手にすればいい、という考えも成り立ちそうなものだが、どうしても変な呪縛があるものだなということを感じた。
これは、英語などわからないのに洋画を見るときは吹き替えではなく、字幕で見る、という発想と同じようなものなのだと思う。
自分は文化の中心にはいなくて、自分とは離れたところにほんとうの文化があると考えるのは文化後進国の特徴なのだろう、と吉本隆明っぽくしめて終わる。
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米アカデミー賞授賞式

2012年03月15日 21時44分13秒 | テレビ
アメリカのアカデミー賞の授賞式をテレビで見ていて、グレン・クローズの出演している『アルバート・ノッブス』に興味がわいた。男装のグレン・クローズが不気味だった。調べてみると監督は『彼女を見ればわかること』のロドリゴ・ガルシアのようでさらに興味を惹かれた。
これはDVDで見なければ、と思った。
あとは、ブラッド・ピットの『マネーボール』に興味を持った。誰も気付かなかったことを気付いた人の話(だったか、誰も気付いていてもやらなかったことをやったひとの話だったか、)というような紹介をされていて、それはいい話だなと思った。
日本のアカデミー賞に比べればもちろん、やはり豪華な演出をしていておもしろいのだが、授賞式で「このひとが出てきたら映える」というような俳優(日本で言うと森繁久弥みたいな)がいなくなっている気がする。
ブラッド・ピット以降、アメリカ映画界にスタアは登場していないと感じるのは年齢のせいなのだろうか。
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『フラナリー・オコナー全短篇 上』読了

2012年03月13日 21時50分46秒 | 文学
長くかかって、フラナリー・オコナーの『フラナリー・オコナー全短篇 上』(ちくま文庫)を読んだ。
上巻には短編集『善人はなかなかいない』と初期作品が収録されているが、やはり『善人はなかなかいない』に収録されているもののほうがおもしろい。
初期作品は実験的な作品が多い気がした。
主人公の思い込みの中の人物なのか実在の人物なのか、思い込みの出来事なのか実際の出来事なのか、曖昧な作品がいくつかあった。
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東野圭吾『卒業』感想

2012年03月13日 00時49分59秒 | 文学
シリーズ最新作の映画化で書店でものすごく宣伝しているので、加賀恭一郎シリーズの最初の作品である東野圭吾の『卒業』(講談社文庫)を読んだ。
昔の角川映画のような台詞を登場人物が話すので(「ナマいってんじゃないよ」とか)、とても古い気がした。
「雪月花之式」と呼ばれる茶会のゲームについての説明については僕にはまったく理解できなかった。「そういうゲームがあるんだね」というぐらいの読解しかできなかった。
推理小説ではやはり、殺人事件が起きたときにそこに犯人がいて犯人には明確な動機と練りに練られた殺人計画があり、そこに立ちあったひとは犯人の意図を明確に酌んで実行された殺人計画を解き明かしてあげなければならない、というそのルールに違和感を感じてしまう。
そんなわけないだろ、と思う。
出来事の後ろには必ず原因があり、それを神のように操作した人が隠れている、しかも立ち会った人には解き明かす義務がある、という思想にどうも納得がいかない。なんか気持ち悪い。

東野圭吾には古典的な推理小説とはちょっと違うものにしようという意思が感じられる。
加賀恭一郎シリーズの文庫になっているものはすべて読んでもいいかもしれない。
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