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村上春樹『騎士団長殺し 第1部  顕れるイデア編(下)』

2019年04月27日 23時44分16秒 | 文学
村上春樹『騎士団長殺し 第1部  顕れるイデア編(下)』(新潮文庫)を読む。
だんだんとテーマのようなものが見えてくる気がする。
穴の中に入っているときに彼をそのまま放っておこうと一瞬でも思わなかったかと免色が語り手に訊ねる。語り手はそんなことは思わなかったと答える。
海辺のラブホテルのベッドで女をもしかしたら絞め殺していたのではないかと語り手は恐れる。
そして、ナチスドイツの話。
なんとなく、自分のちょっとした意図的な不注意のようなもので、誰かを殺してしまうことがあるのではないか、あるいはあったのではないか、というような考えが見え隠れする。

秋川まりえのしゃべり方はおもしろい。十代の女の子はこんなふうに話題がブツ切れであっちこっちに行くというような印象が(実際に今そんなに話すことはないけれど)ある。

騎士団長は羊男を思わせる。

とてもおもしろい。
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平成終わるってよ

2019年04月23日 22時20分01秒 | 音楽
NHK教育テレビで夕方にやっている「沼にハマってきいてみた」(略称「沼ハマ」)という番組があり、様々なことに熱中している人が出てくる番組なのだが、娘(七歳)がよく見ているのでたまにいっしょに見る。
サバンナの高橋が司会で、なかなかおもしろいときもある。ほかに娘が見ている「Eダンスアカデミー」(まあまあ)や「すイエんサー」(いまいち)や「ムジカ・ピッコリーノ」(意味がわからない)や「スポンジ・ボブ」(大嫌い)などよりずっと良い。どちらにしても彼女はテレビの見過ぎだ。
「沼ハマ」のテレビゲームのぷよぷよの回を見たときもぷよぷよが上手ですごいひとがいるもんだなと思ったのだが、昨日見たジャグリング沼の回でSASUKEというひとが登場しすごいと思った。「15歳の天才トラックメーカー」ということでよくわからないのだが、古い言い方で言えばシンガーソングライターのようだ。
見た目は小沢健二風で、曲はフリッパーズ・ギター風だった。「曲が小沢健二のようだ」は褒め言葉ではないけれど、「曲がフリッパーズ・ギターのようだ」は僕にとってはわりと上級な褒め言葉です。
曲がとても良くて、宇多田ヒカルを初めて聞いたときのような、そんな衝撃だった。

平成終わるってよ
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宮下奈都『羊と鋼の森』

2019年04月23日 20時59分43秒 | 文学
宮下奈都『羊と鋼の森』(文春文庫)を読む。
恩田陸の『蜜蜂と遠雷』を読んだのだがあまりにも喰い足りない感じで、もう少しピアノを題材にしたものを読んでみようと思い、ピアノ調律師が語り手のこの小説を読んだ。
登場人物がみんな優しく、傷つきやすい感じで、特に語り手の感性にだんだんとついていけなくなった。『蜜蜂と遠雷』よりはおもしろかったのだが、この傷つきやすさについていけなかった。
傷つきやすいことが文学なのだろうか、という疑問を抱えながら途中からずっと読んでいた。
「めんどくさいよ、外村くんって」(230頁)という台詞を語り手は言われるのだが、ほんとうによくぞ言ってくれましたと思った。外村くんのような、傷つきやすく、いろいろな疑問を抱えて、たいしたことでもないことに大袈裟に驚く人って、いまではほんとうにめんどくさいなと思うけれど、二十代の頃は僕も多少はこんな感じだっただろうかと反省する。でもここまでのひとはなかなかいないだろうな。
こんな新入社員はいやだなと思う。
それは調律をキャンセルされるだろう。
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村上春樹『騎士団長殺し 第1部  顕れるイデア編(上)』

2019年04月21日 21時28分36秒 | 文学
村上春樹『騎士団長殺し 第1部  顕れるイデア編(上)』(新潮文庫)を読む。
思わせぶりにわくわくする。
語り手が最初のほうで日本各地を旅するあたりは『ノルウェイの森』を思い出させて、この小説は『ノルウェイの森』の終わったところから始めようとしているのかななどと勝手に空想する。
携帯電話をポイ捨てするあたりは『ドライブ・マイ・カー』でのタバコのポイ捨てを思い出させる。また免色(メンシキ)さんは飲酒運転も行う。昔、舞台を見に行くことがあったときに舞台上で喫煙シーンがあった。そんなに多く見に行ったわけでもないのに二度ほど見た。客席は禁煙であるのに、舞台上では役者に煙草を吸わせていて「うらやましー」とは私は煙草を吸わないので思わなかったが、そういうところに脚本家や演出家の反骨精神があったのではないかといまでは思う。村上春樹にもそういうところがあるのかもしれない。
語り手の住んでいる家の敷地内でわりと大規模な工事を行って石室を掘り返したら、鈴がたった一つ出てきただけだった。『ねじまき鳥クロニクル』で本田さんが形見として残してくれた箱の中身が空っぽだったことを思い出す。

いまのところとてもおもしろい。「みなさんの大好きな村上春樹」といった趣き。
こんなに風呂敷広げて大丈夫? と思うが、たぶん大丈夫じゃないだろう。でもそれが村上春樹。収拾できなくたっておもしろいから良いのだ。
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東野圭吾『マスカレード・イブ』

2019年04月18日 23時39分47秒 | 文学
東野圭吾『マスカレード・イブ』(集英社文庫)を図書館で借りて読んだ。
『マスカレード・ホテル』を読んだので続編もついでに読んでみた。
読んだばかりなのだが、どんな話があったのか忘れてしまった。
まあまあおもしろかったように思う。
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無の肖像を描く

2019年04月18日 00時41分05秒 | 文学
村上春樹の『騎士団長殺し』のプロローグだけ読むが素晴らしい。
一気に惹き込まれるし、「なんだこれは?」と思う。ついでに「芸術は爆発だ!」と思う。ベラボーだ。
〈顔のない男〉が登場し、肖像画を描いてくれと言う。普通、顔がないのに肖像画は描けない。別の言葉で、「無の肖像を描く」とも語られるのだが、これから村上春樹がこの小説で行おうとしているのも、無の肖像を描く(つまり敢えて分かりやすく言えば、何も現実に相当するものはないのにそのことについて物語るというような)ことなのではないかと思いつく。
思いつきなので、何の根拠もないのだが、そのようにしてこの長篇を読むことにする。
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恩田陸『蜜蜂と遠雷(下)』

2019年04月17日 19時44分12秒 | 文学
恩田陸『蜜蜂と遠雷(下)』(幻冬舎文庫)を読んだ。
すごいすごいとたくさん言い過ぎて、それ以上どう「すごい」と言ったらいいのか最後は分からなくなってしまった感じだった。
音楽のすごさを伝えるのは難しいのだろう。
すごいひとがたくさん出過ぎて、たまにはすごくない人がいないとすごいひとのすごさがわからなくなるのだろう。
風間塵のカマトトぶりが最後は鼻につく感じになった。わざと天然ぽくやってるくせにわざとじゃない風に演じているように見えて、背中をつついて「ワザ。ワザ」と言いたくなった。(太宰治『人間失格』より)
栄伝亜夜もちょっと嫌になった。
上巻を読んだときの予想は見事に外れた。
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恩田陸『蜜蜂と遠雷(上)』

2019年04月15日 00時44分34秒 | 文学
恩田陸『蜜蜂と遠雷(上)』(幻冬舎文庫)を読んだ。
ピアノのコンクールの話で、娘がピアノを習っていることもあり、単行本が出て直木賞を獲ったときから気になっていた。単行本は二段組だったので読みにくそうに思い、文庫になるのを待っていた。
恩田陸の作品を読むのは初めてだが、読みやすくはある。おもしろいのかどうかはまだよくわからない。音楽を表現するのは難しいのだろうなとは読みながら感じている。それぞれのピアニストが弾く曲の素晴らしさを表現するのに、同じような表現が目立つ気もする。特にこの曲でなくとも別の曲でも、またこのピアニストでなくとも別のピアニストでも、同じように表現できるだろうと思ってしまう。しかしそれは仕方のないことなのかもしれない。今度、村上春樹の『騎士団長殺し』を読もうと思っているので、そのあたりを村上春樹はどのように処理しているのかを考えたい。

この前テレビアニメで『ピアノの森』を少し見て、そして見るのをやめたのだが、『蜜蜂と遠雷』に出てくる風間塵というのは『ピアノの森』の主人公に似ている。ピアノがきちんとしたイメージなので破天荒な登場人物が対比されるのかもしれない。のだめも破天荒だった。
おそらく本選には風間塵とマサルと明石と亜夜が残るのだろうから、そのなかで誰が優勝するのか上巻を読んだ時点で予想しておこうかと思う。
タイトルが『蜜蜂と遠雷』というくらいだから「蜂蜜王子」である風間塵はいいところまで行くのだろう。遠雷というのは何だろう。
上巻の最後で、マサルは亜夜に負けるというような暗示があったように思うので、マサルは優勝しないのではないかと思う。
明石は、そんなに凄いようには思えないので優勝はないだろう。
となると、風間塵か栄伝亜夜ということになるのだが、栄伝亜夜が優勝して過去を乗り越えるという話になっているんじゃないかと予想する。
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井上真偽『その可能性はすでに考えた』

2019年04月11日 23時15分39秒 | 文学
井上真偽『その可能性はすでに考えた』(講談社文庫)を読んだ。
期待して読んだが私には合わない。
ひとつの話についての推理を順番に、対決のように行い、探偵が傷付きながらも勝利していくという、山田風太郎風、少年漫画風のミステリーだった。怪しい敵が順番に登場するのだが、その後ろには黒幕がいる。
途中でちょっとついていけないなと感じた。物語もそうだが、推理の話もだんだんと私にはどうでもよくなってしまった。
続編もあるが、もう読まないだろう。
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東野圭吾『マスカレード・ホテル』

2019年04月10日 01時09分50秒 | 文学
映画版の宣伝で気になっていた、東野圭吾『マスカレード・ホテル』(集英社文庫)を図書館で借りて読んだ。
長いものだが一気に読めておもしろかった。
刑事がホテルマンに変装して張り込みをするという話だった。ホテル業界と警察の世界の考え方の違いがわかりやすく表現されている。
何か別のことについての発想が事件の解明へのヒントになったり、正体を現した犯人がべらべらとしゃべりはじめたり、二時間ドラマ風の話でもあった。
とにかく分かりやすくて読みやすい。
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