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ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』

2021年11月30日 17時02分25秒 | 文学
ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』(新潮文庫)を読んだ。
キリスト教の信仰について詳しく語られ、たったひとりで生きていくときにキリスト教徒としてどのように考えるか、またフライデーのような未開人を相手にしたときにどのように考えるか、というようなことを興味深く読んだ。ずっと昔に読んで、もっと退屈な印象だったがおもしろく読めた。
続編の新訳は出ないのだろうか。
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瀬戸内寂聴『いのち』

2021年11月21日 12時30分25秒 | 文学
瀬戸内寂聴『いのち』(講談社)を図書館で借りて読んだ。
井上光晴のことがどのように出ているのか気になって読んだが、六十六歳でガンで死んだ男として登場し名前は出てこない。昔関係があったかどうかもよくわからないようになっている。
いろいろな人が実名で、平野啓一郎とか名前を出す必要のない人まで出てくるのだが、井上光晴はわからないように書かれているなと感じた。

宇野千代の「或る小石の話」が気になった。でもたぶん読まないだろう。
河野多惠子の小説が難しくて読めなかった人の話が何度も出てくる。河野多惠子のことを知らなくて、この小説で初めて河野多惠子のことを知る人はおそらく河野多惠子の本を読まないだろうなと思った。占いが好きだったというのは知らなかった。生活費のために文学賞の選考委員をしていたことも意外だった。もっと高踏的な感じかと思っていた。河野多惠子のイメージはだいぶ変わった。瀬戸内寂聴と仲が良かったのも知らなかった。意外だった。山田詠美を評価していたことも知らなかった。
河野多惠子が井上靖を嫌っていた話がおもしろかった。
岡本太郎ととし子(敏子)の関係がクローズアップされた時期があって、テレビ番組を見たこともあるが、そこにもうひとり「よし枝さん」という家事をしていたひとがいたことは知らなかった。とし子(敏子)がたった一人で岡本太郎の面倒を見ていた印象だった。伝えられているものと印象がだいぶ違うことがある。
大庭みな子の小説には興味が持てた。しかしこれも読まないだろうな。

読みやすくておもしろかった。ただ、これは小説なの? と思った。エッセイ、または回顧録じゃないかなあ。
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泉正人『社会人1年目からのお金の教養』

2021年11月21日 12時03分03秒 | 文学
泉正人『社会人1年目からのお金の教養』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を図書館で借りて読んだ。
社会人一年目でないせいか、得るものはあまりなかった。
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瀬戸内寂聴追悼

2021年11月15日 18時02分57秒 | 文学
原一男監督の『全身小説家』の映画評で吉本隆明が、井上光晴と瀬戸内寂聴の関係をほのめかしていて(「かつてあんな関係だったことが映画を見ててもわからないようになってた」というような言い方で)、映画に瀬戸内寂聴は出てくるのだが、確か井上光晴の入院している病院にお見舞いに来る尼さんという感じで、昔そういう関係があったようには全く見えなかったので驚いた記憶がある。
井上荒野の『あちらにいる鬼』は井上光晴の娘が瀬戸内寂聴と父親の関係をモデルに書いているようで興味がある。
瀬戸内寂聴の追悼として読んでみようかと思っている。

これまで私は二十年以上、瀬戸内寂聴の出演するテレビ番組を可能な限り見てきたように思うが、他の不倫関係について語っているのは聞いたことがあるが井上光晴との関係について本人が語るのを聞いたことがない。
寂聴が出家した理由も、ついこの間『徹子の部屋』の追悼番組で過去の映像で語っているのを見たが、井上光晴との関係が原因とは言っていなかった。「もう忘れた」とかそんな感じだったと思う。
たくさん語るので何でも喋っているように思うが、実は語っていないこともあるんだなと思う。
ほんとうは、井上光晴の娘から見た瀬戸内寂聴ではなく、本人が語る出家の理由を聞きたかった気がする。そういうものも書いているのだろうか。
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うだひろえ『誰も教えてくれないお金の話』

2021年11月14日 23時12分34秒 | 漫画
うだひろえ『誰も教えてくれないお金の話』(サンクチュアリ出版)を図書館で借りて読んだ。
あんまり身になるようなことはなかった。
お金の話をどうも胡散臭く感じてしまう。これは私の宿痾だ。
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三浦哲哉『LAフード・ダイアリー』

2021年11月08日 00時20分18秒 | 文学
三浦哲哉『LAフード・ダイアリー』(講談社)を図書館で借りて読んだ。
アメリカに行って車を運転するというようなところで江藤淳の『アメリカと私』を思い出していたら、別のところでこの本からの引用もあった。やはり日本人がアメリカに行くときには必読書なのだろう。僕もハワイに行ったときに読んだ。
子供を連れて長い期間外国に行くというのはたいへんだろうなと読みながら感じた。食べ物に困る。自分や妻だけなら耐えられるが子供が苦しむ姿を見るのは耐え難い。
前半はとてもおもしろいエッセイだった。ロサンゼルスの日常がよくわかる。
この人は料理本についての本も書いているし、料理が得意なのだろうからどこへ行っても自分で料理すれば平気なのだろうと勝手に思っていたが、そうでもなさそうだった。大変そうだった。
映画についてもっと書かれていることを期待して読んだが、そんなには書かれていなかった。そこが残念。
8章まではおもしろかったが、9章以降はつまらなかった。8章のアメリカの大学の映画の授業のような話をもっと読みたかった。
後半はコロナ禍のせいで書くことがなくなってしまったのかまとめになってしまった印象だった。もっとただのエッセイであった欲しかった。そのほうがおもしろかった。しかしリンゴのような名前の料理評論家ジョナサン・ゴールドが、《千のレストランがあれば、そこには千通りの偉大さがある》というように、この本はこうでないから駄目だというのは間違っているのかもしれない。小林秀雄もそんな事を言っていた。
ただ後半は私の好みにはやはり合わなかった。
この人の本はどうしても後半になんらかのまとめをしようとするところがあって、そこが別の本を読んだときにも感じた。
最初の章と同じように最後の章も書いてほしいと前にも思った。
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ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』

2021年11月07日 08時26分56秒 | 文学
ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』(創元SF文庫)を読んだ。
これまで読んだヴェルヌの小説の中でもっともおもしろい。
『海底二万里』よりも『十五少年漂流記』よりもおもしろい。どうせ古臭いんだろうと思わずにぜひ読むべきだと思う。

驚いたのは気球に乗らなかったことだった。
観たことはないのだがこの小説の映画版は気球に乗る場面があるらしく、その映像をよく見る。それでずっとこの小説を、気球に乗って八十日間で世界一周する話だと思いこんでいた。最初に気球に乗って、ずっとそのまま八十日間ただだた気球に乗って風に揺られて世界一周する話だと思っていたので退屈な話なんだろうなと思って読む気にならなかった。
本を読み始めても、どうせそのうち最後は気球に乗るんだろうと思っていた。
しかし一度も乗らなかった。
様々な交通機関を利用するのだが気球にだけは乗らない。
やはり自分で確かめてみないとわからないことがある。

どんな危機になってもフィリアス・フォッグ氏が冷静で、慌てふためかないので、「この人についていけば大丈夫」という安心感がある。
それがこの本の最大の魅力だと思った。
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ジェームズ・グレイ監督『アド・アストラ』

2021年11月06日 23時37分52秒 | 映画
ジェームズ・グレイ監督の『アド・アストラ』を観た。
イ・ギジュの『言葉の温度』を読んでいたら、リドリー・スコット監督の『オデッセイ』について書かれていて「この映画観てないな。今度『ロビンソン・クルーソー』を読んだら観てみよう」と思った。そのあと三浦哲哉の『LAフード・ダイアリー』を読んでいて、全部通して読むかどうか決めかねてパラパラめくっていたら『アド・アストラ』について書かれていて、「この映画も観てないな。興味はあったんだけどな」と思った。SF映画が気になる時期なのかもしれない。こちらは、何かを読んだら、ということが思い浮かばず先送りにできなかったので観てみることにした。
さて、『アド・アストラ』は退屈はしなかった。
途中で具合が悪くなって一緒に来るのをやめる老人や、宇宙船のゴリラ(マントヒヒ?)や、宇宙船を乗っ取るときに意図せずに三人も殺してしまうことなど、いろいろな細部を取り去って私にこれが結局はどういう物語であると思えたかと言えば、昔立派だった父親が認知症になり、宇宙人とか頭のおかしなことを口走りだしたので遠く離れた実家に行って施設に入れようとするが失敗し、父はどこかに行ってしまう(死んだのかもしれない)、という物語だった。
トミー・リー・ジョーンズが息子のブラッド・ピットに会って手を握られようとするときに不安げな表情をするが、あんな表情を私の父もしたことがあったかもしれないな、という気持ちになった。
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イ・ギジュ『言葉の温度』

2021年11月06日 10時26分41秒 | 文学
イ・ギジュ『言葉の温度』(光文社)を読んだ。
日本の映画や文学について語られることもあり、韓国では日本人が韓国の作品に触れるよりも多く、日本の作品に触れられているのかなと思った。
自身の母親について語られることも多い。
読みやすいエッセイ集で、深く感じさせるものも多かった。
手元に置いておいて、事あるごとに適当に開いたところを読むようにしたい。
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佐藤優『生き抜くためのドストエフスキー入門』

2021年11月03日 11時30分14秒 | 文学
佐藤優『生き抜くためのドストエフスキー入門』(新潮文庫)を読んだ。
佐藤優のドストエフスキーについての考え方は独特で、誰からも聞いたことのないことを言うので以前から注目していた。
楽しみにしていたので早速買って読んだ。
いまちょうど『未成年』を読みはじめていて、そして止まっているので、『未成年』の部分を特に注目して読んだが、やはり『未成年』がどのような話なのかさっぱりわからない。どういう話なのだろう。読めばわかるのだろうが、私に読めるだろうか、といま思っている。
この本と一緒に『罪と罰』から読んだほうがいいかもしれない。
佐藤優の本はあらすじを紹介していくような本ではなくて、彼が注目すべき場面を詳しく語るというようなやり方だった。読んでいる事が前提になっているような本だった。この本は入門という感じではないと思うのだが、読んだことで本編を読んだ気になってしまうような本よりはいいだろう。ところどころで気になるようなことも書いていた。
『白痴』のところでは遠藤周作の『おバカさん』を、『悪霊』では高橋和巳の『日本の悪霊』、『未成年』では堀江貴文の『ゼロ』を対比させて紹介していた。
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