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宮沢賢治『春と修羅』

2019年02月26日 21時23分13秒 | 文学
『宮沢賢治コレクション 6 春と修羅 詩I』(筑摩書房)を図書館で借りて、『春と修羅』をだいたい読んだ。
詩に興味を持つことはあまりなく、読もうと思うこともほとんどないのだけれど、たまに何かのきっかけで読むことになる。そしてそういうときに興味を持つのは宮沢賢治の詩であることが多い。中原中也でも高村光太郎でもない。
そしてまったく意味が分からない。
もっと分かりやすい詩人もいるのだろうけれど、巡り合わせで宮沢賢治を読むことになり、『春と修羅』を読んでいつも「詩ってわからんな」と思い、他の詩人には手が出ない。
宮沢賢治の詩はどのくらいの人が理解できるのだろうか。想像では九割の人は全く理解できないんじゃないかと思う。それは、妹が死んで悲しいみたいな詩も二三あるのでそれは分かるようにも思うが、その他の多くは森とリンゴと電信柱で意味が分からない。しかも注もほとんどついていない。もっと宮沢賢治の詩には注が必要なのではないだろうか。
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重松清・澤口たまみ・小松健一『宮澤賢治 雨ニモマケズという祈り』

2019年02月25日 00時50分52秒 | 文学
重松清・澤口たまみ・小松健一『宮澤賢治 雨ニモマケズという祈り』(新潮社)を図書館で借りて読んだ。
重松清の「サハリン紀行」は興味が持てなくて読まなかった。すみません。
小松健一「「銀河」を互いの胸に秘め―賢治の心の友・保阪嘉内」は、スキャンダラスでなく宮沢賢治と保阪嘉内の関係を嘉内の息子たちに聞くという内容だった。この前のNHKの番組で知っている内容だった。
澤口たまみ「きみにならびて野にたてば―賢治の恋」は、宮沢賢治が大畠ヤスという女性と極秘に恋をしていたという話について書いていた。あまり信じられるような話ではないなという印象だった。事実として何か証拠があるわけではなくて、当時八歳の妹が宮沢家に手紙を持って行ったとか、あまり証拠らしい証拠はない。なので、宮沢賢治の分かりにくい詩をヤスへの愛であると解釈している。あまり納得できない内容。宮沢賢治は聖人なので、自分の精液を体外に出したことがないことを自慢していたとかそういう話は許せるけれど、男性に密かに恋していたというのは許せない。なので、極秘の相思相愛の女性がいたことにしたいということなのだろうか。
「きみにならびて野にたてば」と言えば、梨木香歩に同名のエッセイか小説のような宮沢賢治について書かれたものがあり、まだ単行本になっていないようなのだが読んでみたい。

以前「とんぼの本」というこの新潮社のシリーズの本を、白洲正子か誰かを調べようと思って借りて読んだように思うが、やはりあまり読むところがない。
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見田宗介『宮沢賢治 存在の祭りの中へ』

2019年02月22日 00時59分35秒 | 文学
見田宗介『宮沢賢治 存在の祭りの中へ』(岩波現代文庫)を読んだ。
ずっと、「きれいはきたない、きたないはきれい」と言われているような感じで、はっきり言えばあまり身にならない話だなと思った。宮沢賢治は分かり難いので何とでも言える、と思った。批評はおのれの夢を懐疑的に語ること、なのだなと思った。

見田宗介は『銀河鉄道の夜』のカムパネルラは妹のとし子であるという前提で話をする。
《ここではマジェランの星雲は、賢治自身にとってのカムパネルラであったとし子が行ったと感じられるところであった。》(148頁)
そして、「おっかさんの問題」についても疑問を感じない。
《「おっかさんは、ぼくをゆるして下さるだろうか。」カムパネルラがそのようにして早死してしまうことは、少なくともカムパネルラの母親にとって、ほんとうに〈ひどいこと〉である。》(154頁)
確かに、僕も菅原千恵子の『宮沢賢治の青春』を読んだときに、「おっかさんの問題」と言うほど問題だろうか、と感じた。
《二人は窓の外の景色の美しさに見とれ、ジョバンニの胸はほどよい興奮で高鳴るのだった。と、突然、「おっかさんは、ぼくをゆるして下さるだろうか」というカムパネルラの発言に出くわす。作品の流れの中でみると、この箇所は、余りにも唐突であり物語の筋を追っている読者は、なぜ「おっかさん」の問題がここに突然挿入されているのか、理解に苦しむにちがいない。》(『宮沢賢治の青春』254頁)
とあるが、ここを読んだとき見田宗介のように、ここではもうカムパネルラは死んでいるのだからそれをおっかさんが「ゆるして下さるだろうか。」と思うのはそんなに不思議なことでもなかろうと感じた。理解に苦しまない。
《「おっかさんは、ぼくをゆるしてくださるだらうか」と泣き出したいのをこらえて唐突に叫ぶカムパネルラの悲しみは、嘉内の悲しみでもあったはずだ。物語では後半、カンパネルラが母と死別していたことがはっきりする。カムパネルラと嘉内はこの点においてもぴったり重なる。》(『宮沢賢治の青春』256頁)
カンパネルラの母親が死んでいたということを知らなかったが、確認するとカムパネルラが姿を消す前に、
「あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ。」
と言って消えるので死んでいるのだろう。
まあそれでも、死んでいたとしても(死んでいるからこそ)、「おっかさんは、ぼくをゆるして下さるだろうか。」と言って不思議でもないなと思う。これから逢うわけだし。
カムパネルラは妹のとし子であるというよりは、保阪嘉内なのだろうなとは思う。

「小岩井農場」を読もうと思い本屋で新潮文庫の『新編 宮沢賢治詩集』を見ると、「小岩井農場」が抜粋で載っている。全部載せろよと思い、購入しない。
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菅原千恵子『宮沢賢治の青春 “ただ一人の友”保阪嘉内をめぐって』

2019年02月17日 13時19分15秒 | 文学
菅原千恵子『宮沢賢治の青春 “ただ一人の友”保阪嘉内をめぐって』(宝島社)を図書館で借りて読んだ。とてもおもしろく、夢中になって読む。
宮沢賢治は童話は読めるが、詩は意味不明の科学用語が並んでいて読めないと思っていたのだが、保阪嘉内という補助線を引いてみれば読めるのかもしれないと思った。
宮沢賢治は、妹トシを思う優しい兄というイメージや雨ニモマケズに頑張る人というイメージで聖人として扱われてきたのだが、学生時代に知り合った保阪嘉内を生涯愛して、信仰の違いから仲違いをして、それでも賢治はずっと彼のことを想っていたと考えると、とても宮沢賢治に親しみを持てる。人間的である。
この本を読んでいると、保阪嘉内への手紙がたくさん残りながら『銀河鉄道の夜』のカムパネルラを妹トシのことだと考える研究者は愚かだと思わざるを得ない。おそらく男性の研究者には無意識に禁忌の気持ちが強く、そういう目で宮沢賢治を見ることができなかったのかもしれないなと思う。
非常に分かりやすくなったように思うので「春と修羅」や「小岩井農場」や、『銀河鉄道の夜』を読んでみたい。
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人と暮らしと、台所

2019年02月15日 14時27分01秒 | テレビ
NHKの「趣味どきっ! 人と暮らしと、台所」という番組が、先週から始まって第一回の出演が有元葉子だったので見たのだが、美しく整頓された台所を見るのがおもしろく続けてみようと思い、二回目の陶芸家大谷哲也・大谷桃子夫婦の放送も見た。
気になりだすとそのことだけが気になって番組の内容そっちのけでそのことばかり考えてしまうということがあるのだが、番組を見ていると大谷哲也氏の声が誰かの声を思い出させるように思い気になって仕方がなくなった。
関西弁で、深い感じの声で、いったい誰だろう。
向井理でもないし、松坂桃李でもないし、でもその周辺のイケメン俳優の誰かだろうなと思っていたのだが、どちらも関西弁のイメージはないし、と思っていて、番組の最後のほうでやっと思い出すことができた。
最近あまり僕の見るテレビとか映画に出てないので思い出せなかった。
東出昌大の声を思わせるのだった。
関西弁は朝ドラ「ごちそうさん」のときの、多少違和感のある関西弁の記憶だった。
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司馬遼太郎『項羽と劉邦(上)』

2019年02月14日 09時32分23秒 | 文学
司馬遼太郎『項羽と劉邦(上)』(新潮文庫)を読んだ。『言葉の品格』(イ・ギジュ著)を立ち読みして中国の歴史を知りたくなり読む。
上巻は項羽が秦の章邯を降伏させるまで。
降伏させた後、秦軍の二十万の兵を項羽が崖に落として大量虐殺する。
このへんの恨みを込めた詳しい描き方が司馬遼太郎らしいように思う。兵士を軽く扱うことへの太平洋戦争のときの恨みが出ているように思う。
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宮沢賢治のテレビ

2019年02月10日 21時28分59秒 | 文学
NHKで宮沢賢治の番組を放送していたので見る。(「ETV特集 宮沢賢治 銀河への旅 ~慟哭の愛と祈り~」)
とてもおもしろく見た。
宮沢賢治を二年前くらいに集中的に読んだことがありそのときにこの番組の元になった本『宮沢賢治の真実』(今野勉著)を読もうか迷ったがそのときは読まなかった。そのうち文庫になったら読むかもしれない。ほんとうは『宮沢賢治の青春 “ただ一人の友”保阪嘉内をめぐって』(菅原千恵子著)という本のほうが読みたいのだが、いま手に入りづらい。
宮沢賢治には愛する男性がいた。『風の又三郎』も『銀河鉄道の夜』のカムパネルラもその男性がモデルであるとする説はたいへん興味深く、おもしろい。
いっしょに山に登り、消えそうになったたいまつを二人でふうふう吹いたというのが宮沢賢治にとって忘れられない思い出であるという話など、聞いたことのない話が多かった。
「春と修羅」の修羅というのがその男性への性欲を抱えた自分(宮沢賢治)というふうに解釈しているところもあり、これまでの宮沢賢治像とはだいぶ違うなと思った。
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ピーター・ランデズマン監督『ザ・シークレットマン』

2019年02月07日 23時14分36秒 | 映画
ピーター・ランデズマン監督『ザ・シークレットマン』を観る。
『ペンタゴン・ペーパーズ』、『ジャッキー』、『大統領の陰謀』に続きアメリカ現代史の映画を観た。
ウォータゲート事件の映画はなぜか「ほらあなたたちがご存知のあの話ですよ」みたいに話されるので毎回よくわからない。民主党本部の不法侵入事件からニクソン大統領の辞任までがどうしても繋がらない。
私は本も読まずにアメリカの現代史を知ろうとしているんです! と言いたい。あとは『フォレスト・ガンプ』を観たら卒業なんです、と。
今回、FBI副長官のマーク・フェルトがディープ・スロートだったということだけは分かった。
いつかきちんとこのあたりの歴史を知りたいものだと思う。
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平野啓一郎の『三島由紀夫論』が気になる

2019年02月05日 00時37分05秒 | 文学
NHKの「クローズアップ現代+」で、三島由紀夫と川端康成について放送していたので見る。
川端康成が、ノーベル文学賞を取るために推薦状を書いてくれと三島由紀夫に手紙に書いた、というような話だった。
宮本亜門が出演していたが、この話は今するような話なのだろうか。取り立ててびっくりするような新事実というようなものもなかったように思う。よく分からないときによく分からない人がテレビに出るときは宣伝をするためであると相場は決まっているので、おそらく宣伝なのだろう。
平野啓一郎も出演していて、現在『三島由紀夫論』を執筆中とあり、やはり宣伝なのだが、これは楽しみだと思った。どこで執筆中なのだろう。それはもちろん自宅で、だろうが、どこの文芸誌で? という意味ですけど、調べたがよく分からなかった。
三島由紀夫は、書いた小説はぜんぜん好きではないけれど、彼について書かれたものについては結構興味を持つ事が多い。
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二宮正之『小林秀雄のこと』

2019年02月05日 00時10分46秒 | 文学
二宮正之『小林秀雄のこと』(岩波現代文庫)を読んだ。
プルーストと小林秀雄について、『失われた時を求めて』を読み始めるときに小林秀雄はこの本を読んだのだろうかと思ったことがあったが、全部は読んでないことが今回この本を読んでわかった。
ひさしぶりに小林秀雄が読みたくなり、読んだ。
「骨董」はとてもおもしろく、心動かされた。他のものを改めて読みたいと思った。
『ドストエフスキーの生活』は未読なので、このあたりから読んでみようかと思う。
しかし、『ドストエフスキーの生活』や『無常という事』などの代表作で単行本にまとまったようなものではなく、さらっと書いたような短文にはっとするものがあるような気もする。
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