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堀江敏幸『オールドレンズの神のもとで』

2024年07月27日 11時42分15秒 | 文学
堀江敏幸『オールドレンズの神のもとで』(文春文庫)を読んだ。
いろいろな短篇が載っているが、「果樹園」がもっともおもしろく印象に残った。
ただ犬の散歩をする話なのだが、没入することが出来た。機会があればまた読みたい。
「柳生但馬守宗矩」も良かった。
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ガブリエル・ガルシア=マルケス『ガルシア=マルケス中短篇傑作選』

2024年07月20日 12時30分38秒 | 文学
ガブリエル・ガルシア=マルケス『ガルシア=マルケス中短篇傑作選』(河出文庫)を読む。

「大佐に手紙は来ない」
大佐と呼ばれる主人公が貧乏の中、ずっと軍人恩給がもらえる手紙を待つ。
軍鶏を売ろうかどうしようかずっと迷う。
よくわからない。

「火曜日のシエスタ」
泥棒として殺された親族の墓参り。

「ついにその日が」
麻酔なしで歯を抜く。

「この町に泥棒はいない」
ビリヤードの玉を盗んで、それを返しに行く話。
妻との関係を描くのが目的なのかな。
いまだにガルシア=マルケスのことが掴みきれないがちょっとおもしろかった。

「バルタサルの奇跡の午後」
誰もが欲しがる美しい鳥かごを作るが、少年にただであげる。

「巨大な翼をもつひどく年老いた男」
年老いた天使が現れ、そして去る。奇妙な話。おもしろい。

「この世で一番美しい水死者」
巨大な男の水死体に、エステバンと名前をつけて、名前はエステバンに違いないということになり、海に埋葬する。まったくよくわかりません。

「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」
少女に売春させる祖母の話。
少女を祖母から救おうとする少年がいて、そのあたりの話が非常に南米的に神話的にわかりにくく語られる。

「聖女」
腐らない娘の死体を持ち歩く父親。

「光は水に似る」
光の水の中でボートを漕ぐ兄弟。
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シャーロット・ウェルズ監督『aftersun/アフターサン』

2024年07月15日 00時50分55秒 | 映画
シャーロット・ウェルズ監督『aftersun/アフターサン』を見た。
ちょうど同じ年頃の娘がいるし、期待して見た。離婚して、離れて暮らしている冴えない父親と短い旅行をする娘の話だった。
おもしろそうな雰囲気は非常に出しているが、どうも観客に委ねているところが大きくて私にはあまりおもしろくはなかった。
「あとはみなさんで勝手にお願いします」という感じの映画だと思われた。
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堀江敏幸『いつか王子駅で』

2024年07月14日 13時16分01秒 | 文学
堀江敏幸『いつか王子駅で』(新潮文庫)を読んだ。
一文一文がちょっと長くて、私にはすこし文学臭が強すぎる気がした。もう少し短いほうが好みだ。
語り手の知り合いの正吉さんがカステラを残して姿を消す。そして最後まで姿を現さない。
こういう小説は正吉さんが見つかるか見つからないかみたいな興味で本を読んでいると最後まで読めないような気がする。それはただの形を整えるための言い訳みたいなもので、ほんとうは語り手が語る本の感想を作者は書きたいのだろう。
知らない作家の知らない本について多く語られ、今回はあまり興味を惹かれる本はなかったが、安岡章太郎の「サアカスの馬」は読んでみようかと思った。
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高橋秀実『はい、泳げません』

2024年07月10日 23時31分36秒 | 文学
高橋秀実『はい、泳げません』(新潮文庫)を読んだ。
私自身は習ってクロールが泳げるし、水が怖いという思いはこれまでしたことがないので、水泳の泳ぎ方に関する部分は少し読み飛ばしたところもある。文字で読んでもちょっとわかりにくいな、と私には思えたところもあった。
この本に出てくる桂コーチの言葉がすごく良くて、私も習ってみたい、というかお話を聞いてみたい気持ちにさせられた。
いま英語の勉強をしているのだが、それにも通じるものがあり感心させられた。

《つまり「私が泳ぐ」のではなく、泳ぐことになりきればよいのだ。》(161頁)
これは桂コーチの言葉ではないが、英語も「私が話す」などと思わず、英語になりきればよいのだ。

《泳げるか、泳げないかは自分で決めることです。たとえ1mでも自分で”泳げる”と言う人が”泳げる人”なんです》(173頁)
英語も、できる、と言う人が、できる人。

《それぞれの人に体の違いがあるわけですから、ひとつのやり方でみんなが泳げるはずがないんです。泳ぎに答えなんてない》(182頁)
英語もそう。
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堀江敏幸『熊の敷石』

2024年07月09日 18時30分46秒 | 文学
堀江敏幸『熊の敷石』(講談社文庫)を読んだ。
「熊の敷石」、「砂売りが通る」、「城址にて」の三篇収録。
「砂売りが通る」と「城址にて」は堀辰雄的なのかな。堀江敏幸はもともとちょっと堀辰雄的な感じがあるのだがさらに感じた。あまりおもしろくない。
「熊の敷石」はフランスをひとりで旅行する感じがあり、たのしい気持ちになれた。
ラ・フォンテーヌの『寓話』はいつか読みたい。

これまで読んだ堀江敏幸の本の中では一番つまらなかったと思う。
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ブラム・ストーカー『ドラキュラ』

2024年07月08日 23時03分30秒 | 文学
ブラム・ストーカー『ドラキュラ』(光文社古典新訳文庫)を読んだ。
ドラキュラには、ニンニクが嫌い、十字架が嫌い、鏡に映らない、血を吸われた人間も吸血鬼になる、動けるのは日没後、などの有名な特徴があるが、招かれなければその場所に入れない、馴染みの土がそこにある必要がある、ドラキュラの血を飲んだ人間はドラキュラの気持ちがわかりいま彼がどこにいるかわかる、みたいなルールもあった。
いろいろと制限があって、やっつけられるために存在しているようなところがある。
長い小説だったが、おもしろかった。
各登場人物の日記や手紙で語られる形式で、最近の小説ではあまり、私は読んだことがない。
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片岡義男『日本語と英語 その違いを楽しむ』

2024年07月03日 21時44分14秒 | 文学
片岡義男『日本語と英語 その違いを楽しむ』(NHK出版)を読んだ。電子書籍で読んだ。
もっと期待したが、そんなにおもしろくはなかった。最初と最後はおもしろかったが、途中の、片岡義男がカードに書き溜めていたという英語と日本語についての断章みたいなものが、そんなに惹かれなかった。
もっと英語についてよく理解していたらおもしろいのかもしれないと思った。
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堀江敏幸『おぱらばん』

2024年07月02日 23時01分20秒 | 文学
堀江敏幸『おぱらばん』(新潮文庫)を読んだ。
最初の表題作「おぱらばん」の、フランスにいる中国人がなぜだか「オパラバン」というフランス語をよく使い、それが彼らが使うフランス語の辞書のせいだという話が可笑しかった。そんなことはありそうに思う。
短編集だが、語り手は作者らしく思わせるように出来ていて、題材もほんとうに作者の身の回りで起こった出来事を題材に書かれているように思わせるように書いてある。なんでこんなふうに回りくどい言い方をするかと言えば、「ほんとうにそうなのかな」と何度か私が思ったからだ。
語り手の身の回りでなにかちょっとしたことが起きて、そういえばその後読んだ本にもこんな話があった、というふうにつながることが何度かあったように思うが、実はそれは逆で、何かの小説を読んで、その設定を使って自分の身辺にさも同じような出来事があったと創作し、話を作っているのではないかとも思った。
ほんとうのところはわからない。
特に前半、おもしろかった。
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テア・シャーロック監督『世界一キライなあなたに』

2024年06月30日 00時52分57秒 | 映画
テア・シャーロック監督『世界一キライなあなたに』を見た。
心を閉ざした男が、明るくて映画の字幕も読めないような女に出会い、心を開いていくというような映画だと思って見て、だいたいはその通りの映画だった。
私のようにひねくれた人間にも入口が用意されていて、とても良い映画だった。そして親切なことに、ひねくれた人間に対する出口も用意されていた。
この映画はちょっと普通のロマンティック・コメディでは見られない結末となったのだが、私達がそれは良いとか悪いとかいくら言っても、そんなこと言っても人間にはどうしたってつらいことはあるし、それは他人が良いとか悪いとか言えないことでもあるな、とそんなことを考えさせられる映画だった。

彼らが最初に二人で見る映画『神々と男たち』と、エミリア・クラークが読んでいる『Sushi for Beginners』(Marian Keyes)が気になった。
少しバーネットの『秘密の花園』を思い出した。
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