![善き人のためのソナタ スタンダード・エディション](http://ec2.images-amazon.com/images/I/51fvaI3hDDL.jpg)
ドイツ映画「善き人のためのソナタ」を見た。
川本三郎は「グッバイ、レーニン!」と比較して、この映画のほうを評価していたように思うが、僕は逆で「グッバイ、レーニン!」の方が好きだった。
東ドイツの超国家主義(丸山真男用語)ぶりがよく分かる映画だった。
もっと白状させるための拷問みたいなものが描かれるのかと思っていたが、そんなシーンはなかった。最近、人間の残虐さや愚かさを描いた映画や本ばかりで、いい加減そういうものを目にするのに疲れているので良かった。
一度も面と向かって会話をしたことのない相手だが、盗聴して話をよく聞いていたり、逆にその男の書いた文章を読んでいたり、の不思議な関係が描かれる。
そういう、文学的な設定は好きです。
まあそれにしても、いったい何のためだか分からない方向に国は進んでしまうことがあるものだ。
「管理する」ということだけが目的になってしまっている。
もっとソナタをがんがん聴かせて「どうだいい曲だろ」とやってくるのかと思ったら、一度だけさらっと聴かせるだけだった。
いいといえばいいのだが、クラシック音楽映画好きとしては物足りなかった。