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ドナルド・キーン『正岡子規』

2023年07月30日 00時26分09秒 | 文学
ドナルド・キーン『正岡子規』(新潮文庫)を読んだ。
さらっと読めてわかりやすい。
いまでは日本人のほとんどは古文を読めなくなっているのではないかと思うが、引用する際には明治期の文章くらいはそのままの文章で引用されるのが一般的だ。それがこの本では原文の引用のあとに括弧書きで現代語訳がなされていた。そこがたいへんよかった。
現代文があり、引用がはじまって歴史的仮名遣いになるとそこでどうしても「めんどくせえな」と思ってしまうのであるが、そのストレスが無いのでたいへん読みやすかった。たぶんもともとが英語で書かれているのでこのような”常識外れ”なことができたのだろう。
正岡子規のことがよくわかった。
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頭木弘樹『自分疲れ ココロとカラダのあいだ』

2023年07月24日 22時12分02秒 | 文学
頭木弘樹『自分疲れ ココロとカラダのあいだ』(創元社)を図書館で借りて読んだ。
すごく驚くようなことは書いていなかった。すぐに読めた。
いろいろな本の紹介が書かれてあることを期待したが、で、確かにいろいろな本の紹介はあったが、惹かれるものはあまりなかった。

「共食圧力」の話が今回最も興味を持った。
一緒にものを食べたり酒を飲んだりすることで距離を縮めることができると思っている人は多く、私が酒をあまり飲めないので死んだ父は残念に思っていたようなふしがある。そのような気持ちは私自身には少ないように思っていたが、娘が卵アレルギーで幼いころに食べるものに制限があるのが私にとって不愉快だったのは、ただ娘の健康を心配して、というだけではなかったようにいまは思う。たぶん、いっしょに同じものを食べられないことからくる不愉快だったのだろう。

以下の部分では少し不思議な気がした。
《『愛についてのキンゼイ・レポート』(2004年)という、実話にもとづいた映画を見たとき、頭をガツンと一撃されたシーンがあった。
 同性愛者と異性愛者の2種類の人がいるのではなく、同性愛と異性愛はグラデーションだとキンゼイ博士という人が説明したのだ。
 つまり、はっきり同性愛の人もいれば、かなり同性愛の人、やや同性愛の人、ほんの少し同性愛の人などもいるというわけだ。
 ぜんぜん知らなかったので、とても驚いた。》(136頁)
と言うのだが、頭木弘樹は初期の大江健三郎や、三島由紀夫などはどのように読んだのだろうか。トーマス・マンもよく引用しているが、どう思って読んだのだろうか。不思議な気がした。
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加藤典洋『村上春樹の世界』

2023年07月24日 18時27分44秒 | 文学
加藤典洋『村上春樹の世界』(講談社文芸文庫)を読んだ。
『騎士団長殺し』を読んだので、そのクールダウンのために読んだが逆に他のものも読みたくなった。
加藤典洋が吉本隆明や鶴見俊輔の影響を受けながら、同時代の竹田青嗣とともに思想を育てていったことがわかる。
『ノルウェイの森』の読みがもっとも感心した。短編の話もおもしろかったので『村上春樹の短編を英語で読む』を読む気になった。
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『シェイクスピア四大悲劇』の『ハムレット』

2023年07月18日 23時10分31秒 | 英語
『シェイクスピア四大悲劇 Four Tragedies of Shakespeare (ラダーシリーズ Level 4)』(IBCパブリッシング )を図書館で借りて読んだ。
最初の『ハムレット』だけ読んだ。
村上春樹の『騎士団長殺し』を読んでいたので間が空いてしまった。
ほんとうはこの間吉本隆明の本を読んだときに興味を惹かれた太宰治の『新ハムレット』を読もうとしていたが、ちょっとやめた。
やめたといえば『騎士団長殺し』に森鴎外の『阿部一族』が出てきたので読もうかと思ったがやめた。
そのあたりのいろいろと興味を持ったあれやこれや、あんなこんな、ドンナ・アンナをいつかまとめて読もうと思います。
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村上春樹『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』

2023年07月17日 23時53分01秒 | 文学

村上春樹『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』(新潮文庫)上・下を読了。
読み終わってみれば、何も解決していないし、何も終わっていないし、結局なにか事件があった? ということにはなってしまうのだが、読んでいる間はおもしろい。顔ながの穴に入って雑木林の中の穴に出てくるまでのよくわからない黄泉の世界みたいなところが少し退屈したが、全体としてはおもしろかった。
もうそれだけで充分。村上春樹にあまりに多くを求めすぎてはいけないのだ。(揶揄でも皮肉でもなくそう思う。)
免色渉という人物が興味深くて、それをずっと追っていくうちに読み終わってしまうという感じでしょうか。

以下、蛇足ながら疑問。
秋川まりえの失踪事件なんか事件でもなんでもないし、免色に一言「ごめんなさい」と言えばすべて解決するように思うが、本当に騎士団長が死ななければいけなかったほどの事件だったんだろうか。騎士団長は、最初は現実の出来事に関与しないというような態度だったのに、結局はすべて自分一人で事態を回しているように思う。
雨田具彦の傑作「騎士団長殺し」は火事で失われるが、語り手のせいだ。言い訳は通用しない。
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村上春樹『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』

2023年07月15日 01時00分34秒 | 文学

友人が読んでいるという話を聞き、興味を惹かれ村上春樹『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』(新潮文庫)上・下を再読。
何が行われているのか、何をどうしたいのか、相変わらずさっぱりわからないがとにかくおもしろい。
語り手が画家で、絵を描くことの思想のようなものを語るのだがそれが、村上春樹自身の文章を書くことの思想のように読めて私などには興味深い。
例えば以下のようなところ。

《肖像画をモチーフにした、新しいオリジナルのスタイルを自分は掴みつつあるかもしれない。それは肖像画として描き始められるが、結果的には肖像画とはまったく違ったものになってしまう。にもかかわらず、それは本質的にはポートレイトなのだ。》(下巻107頁)

また、

《寓意や比喩は言葉で説明されるべきものではない。呑み込まれるべきものだ》(下巻259頁)

のようなところ。
それから性描写も多いが、そこも可笑しい。

《僕が耐えきれずに射精をすると、それに合わせて彼女は異国の鳥のような声を短く上げ、》(上巻274頁)

《彼女は全部で四度オーガズムを迎えた。信じてもらえないかもしれないが、どれも間違いなく本物だった。》(下巻89頁)

《「それで今はどうなの?」
「今、自分のおちんちんについてどう思うかってこと?」》(下巻303頁)

とても可笑しかった。
あえて話を無理に作らずに、自分の中から出てくるものだけでゆったりと書いている感じで、とってもおもしろい。
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吉本隆明『吉本隆明全集28 1994-1997』

2023年07月09日 13時04分56秒 | 文学
吉本隆明『吉本隆明全集28 1994-1997』(晶文社)を図書館で借りて読んだ。
分厚い本なので全部読んだわけではない。気になるところだけをつまみ食いした。
もともとは、少し前に内田康夫の小説をいくつか読んだので、吉本隆明が内田康夫についてどう書いていたかを確認するために読んだ。
『消費のなかの芸』という本に入っていたのを当時立ち読みして、すこし内田康夫の推理小説を読んだ。それを再読した。吉本隆明が褒めるほどおもしろいかね、といま読むと思う。
その他、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』や立花隆の『臨死体験』、宮崎駿『風の谷のナウシカ』、ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』、松本人志『遺書』『松本』、渡辺淳一『失楽園』などの書評を読んだ。近藤誠の『患者よ、がんと闘うな』の書評もあり、忘れてしまっているがこの書評を読んで私は近藤誠を読むようになったのかもしれないなと思った。
『消費のなかの芸』収録のもの以外を読み、ジッドの『田園交響楽』と太宰治の『新ハムレット』を読みたくなった。
このころ吉本隆明は溺れたことがあったんだったな、と思った。
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是枝裕和『希林さんといっしょに。』

2023年07月06日 22時48分03秒 | 文学
是枝裕和『希林さんといっしょに。』(スイッチパブリッシング)を読んだ。
以前も読んだことはあるのだが、是枝裕和の『映画の生まれる場所で』を読んだのを機にまた読んだ。
昔の、森繁久彌とか向田邦子の話が懐かしい。ほんとうは森繁久彌も向田邦子も活躍しているときは私は子供だったので(しかも見ていたのは彼らの晩年)、あまり知らないのだが懐かしい気がしてくる。昔の芸能界は楽しい。
樹木希林はこの本でさまざまな名言を残している。
通して読むと、樹木希林をきちんと追悼できた気になる。素晴らしい本だ。
きちんと追悼できすぎて映画まで見るのはもう良いかな(お腹いっぱい)、と思ってしまう。
どれも繰り返しては見ていないが思い出すままで言えば、是枝裕和と樹木希林の映画では『海よりもまだ深く』が一番好きかな。
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『ジョン・F・ケネディ・ストーリー』

2023年07月06日 22時33分15秒 | 英語
『ジョン・F・ケネディ・ストーリー The JFK Story (ラダーシリーズ Level 4)』(IBCパブリッシング )を図書館で借りて読んだ。
あまり知らなかったがジョン・F・ケネディについてよくわかった。でもそんなに興味がないのですぐに忘れてしまいそう。
病気で背中が痛いのをずっと隠していたことと、いろいろな女性と寝ていたことがわかった。
マリリン・モンローとも寝ていた。マリリン・モンローの「ハッピー・バースデイ・ミスタープレジデント」は強烈に印象に残る、癖の強い歌い方だが、そういう肉体関係があってこその歌だったのだなと納得した。
ジョン・Fの弟も暗殺された。
奥さんのジャッキーは再婚した。
そういえば昔『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』というジョン・Fの奥さんが主人公の映画を見て、あんまりおもしろくなかったが、今見たらすこし違う感想かもしれない。
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野崎歓『無垢の歌 ―大江健三郎と子供たちの物語』

2023年07月02日 22時36分29秒 | 文学
野崎歓『無垢の歌 ―大江健三郎と子供たちの物語』(生きのびるブックス)を図書館で借りて読んだ。
大江健三郎の小説を順番に紹介していく感じの本で、懐かしく振り返りながら読んでいたが、まったく批判がないので後半は「そんなに大江健三郎ってすばらしかったかな」と思った。『同時代ゲーム』などはあらすじの紹介を行うだけの印象で、これを読んでもちっともおもしろそうじゃないなと思った。
後輩が先輩の仕事を仰ぎ見ている感じでつまらなくなった。
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