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野田秀樹作・演出『エッグ』

2016年09月27日 11時01分24秒 | 舞台
録画していた野田秀樹作・演出の『エッグ』を見た。
野田秀樹はすごいなあと思わせながら、ぜんぜん理解できない気持ちにさせるのがさらにすごい。
行われていることは全部嘘ですよと言いながら、ところどころではっと驚かされるような真実の言葉を言われる。
舞台の上ではものすごく感動的な場面が描かれているのだが、そこに自分の感情が入り込めていないことを感じる。これはテレビで見ているからで、もしかしたら客席にいたらもっと感情移入できるものなのかもしれないが、野田秀樹の舞台はだいだいそうである気もする。
観客が舞台の上の登場人物の感情の動きに寄り添うことが出来ない。
それは野田秀樹の気持ちに私が寄り添えないことを表しているのかもしれない。

過去の戦争の歴史から早く逃げ切ってしまえば、そのうちノスタルジーになってしまうのだ、というのが痛烈だと思った。真実は噂によって作られるというような思想もさすがと思った。

深津絵里が歌が上手なのと仲村トオルの胸筋がすごいのが印象に残った。
あとはオーナー役の秋山菜津子の顔が印象に残った。
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永井愛作・演出『鴎外の怪談』

2016年09月23日 22時15分07秒 | 舞台
ずうっと前にテレビで放送したのを録画していた永井愛作・演出の舞台『鴎外の怪談』を風邪を引いて寝ていたので見た。
ひさしぶりに舞台を見るがとてもおもしろかった。
大逆事件が森鴎外にどのように影響を与えたかが描かれている。永井荷風にも影響を与えた。永井荷風が戯作者を自称し始めたのはこの事件がきっかけだったということを知った。
森鴎外が妻と母親の対立に苦労していたというのは知っていたが、山縣有朋に呼ばれて大逆事件についての相談会に出席し、そこで何も発言しなかったために幸徳秋水らが死刑になってしまった。そのことを悔いているというような話は全く知らない。何も発言しないことが政治的な意思表明を結局はすることになってしまうという話は、このところよく聞く話で、とても今の時代をとらえた舞台だと思った。
だから、政治的な意見をきちんと表明すべきである、とそんな話にもなっていない。
永井愛はすばらしい。

賀古鶴所は鴎外の伝記などを読んでいると(といってあんまり読んだことはないのだが)、たまに出てくるがこんなふうなおじさんか、と印象が悪くなった。
たぶん賀古鶴所について今後研究することはないだろうからこの印象は一生変わらないだろう。
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蜷川幸雄演出『元禄港歌 ‐千年の恋の森‐』

2016年06月08日 22時35分01秒 | 舞台
追悼として放送していたものを録画し、蜷川幸雄演出の『元禄港歌 ‐千年の恋の森‐』を見た。
蜷川幸雄演出の舞台を見るのは二度目だと思う。野村萬斎の『オイディプス王』をずっと昔に見たことがある。
『元禄港歌』は母と子の情愛を描いたような舞台で、美空ひばりの歌が流れるし、市川猿之助が女形で登場するし、で、ちょっと旅先でお風呂上がりに旅館で旅芸人が演じるのを見るような雰囲気だった。美空ひばりの歌を聴くともう田舎の歓楽街の雰囲気が醸し出されてしまう。寅さんが旅の途中でお酒を飲んでいるときに遠くで流れるBGMの感じになってしまっている。時代は流れているなあ。
そんなふうにちょっと田舎芝居じみた演劇なのだが、最後のほうはギリシャ悲劇風で、段田安則が目が見えなくなって登場するところは『オイディプス王』のようでもあった。谷崎潤一郎の『春琴抄』のようでもある。
最初に群衆がそれぞれにしゃべる場面があったが、蜷川幸雄にみっちりしごかれたんだろうなというふうに見えてしまって、自然に楽しめなかった。
蜷川幸雄の舞台ではすべて、あまり力のない無名の人々の芝居の後ろに蜷川幸雄のしごきが透けて見えてしまいそうでちょっと見ちゃいられないかもなと思った。蜷川幸雄のしごきが透けて見えないということが演技力があるということなのかもしれない。
宮沢りえはなんであんなに目が見えないふうに見えるのだろう。すばらしい。

これを見るまえに蜷川幸雄のインタビュー番組も見た。
蜷川幸雄は初めて訊かれた質問に対して前々から用意していたように答えを言う。こういうのに一時期ものすごく憧れた(いまはそうでもない)。
話し方としては鶴見俊輔に似ているのかもしれないなと思った。
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三谷幸喜演出『抜目のない未亡人』

2014年10月12日 21時58分51秒 | 舞台
NHKでの放送を録画していた三谷幸喜演出の舞台『抜目のない未亡人』を見た。
ひさしぶりに演劇を見た。
特別心に残るような作品ではなかったが、楽しく、気楽なものだった。
大竹しのぶが桃井かおり風の話し方をしたり黒柳徹子風のしゃべり方をしたりしていた。
最後は古風な、というか私の知っている範囲では、シェイクスピア的な、変装して相手の本心を聞き出すという喜劇の結末だった。
古風なものを見るとなぜだか安心する。
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「父と暮せば」

2011年10月25日 23時59分58秒 | 舞台
井上ひさしの演劇に興味を持ち、ずっと昔に録画したまま見ていなかった『父と暮せば』(辻萬長、栗田桃子出演)の演劇を見た。
父親の幽霊と娘の二人芝居で、時間も短く、おもしろく楽しめた。
以前彼の『ムサシ』を本で読んだときはおもしろいと思えなかったのだが、これだったら井上ひさしの芝居も見てもいいかな、と思えた。
演劇を見た後で、同じように録画したまま見ていなかった映画の『父と暮せば』(原田芳雄、宮沢りえ出演)も見ようとした。台詞が演劇と同じで「ふーん、そのままやるのか」と思って見ていたのだが、やはり同じ話を続けて見て飽きが出たせいか、嫌なところが目につき始めて見るのをやめた。
映画で付け足している部分がすべて嫌な部分と思われた。
特に原田芳雄の演技についてなのだが反戦のメッセージが強くなっているところと、演劇では登場しなかった浅野忠信の出ているところ、が好きじゃない部分だった。
テレビドラマや映画になるとどうしても俳優の感情が強く出ていたり、話が分かりやすくなっていたりするのは仕方のないことなのだろうか。もっとあっさりしたものでいい。
これからはNHKで放送される演劇をもっと見ようと思った。
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「Get Back!」(青木豪作・演出)

2011年02月12日 08時57分11秒 | 舞台
昨夜はテレビでたまたま「Get Back!」(青木豪作・演出)という演劇を見ていて、寝るのが遅くなってしまった。(しかし最近は休みの日も普通に起きて散歩しようとしているので、起きる時間はいっしょ。しかし今日は雪が降っているので家から出ていない。)
青木豪という演出家も知らないし、出演している俳優で知っているのは片桐はいりだけだったのだが、おもしろい演劇だった。
漫画原作者(女)と漫画家(女)とアシスタント(男)が田舎にやってきて、UFOの写真を取ったり、タロット占いをする青年にあったり、温泉に入ったり、くっついたり離れたり、するとってもざっくり言うとそういう話だった。舞台装置はずっと変わらず、民宿をやっている家の一階の座敷だった。
役者の話し方やしぐさがいかにもいそうな感じで、漫画家のにこにこしながら話をする感じとか(テレビで見る優香のモノマネのような感じ)、タロット占いをする青年の前髪がいつも気になる感じとか、そんなひといるなあと思わせた。村上春樹の『1Q84』で知ったチェーホフの言葉、物語で拳銃が出てきたら発射される、も思い出した。
演劇っておもしろいなと思った。
これまで見たことのない演出家のものもたまには見ていないといけない。
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ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出『2人の夫とわたしの事情』

2010年08月02日 01時25分18秒 | 舞台
原作がモームであることと、ケラリーノ・サンドロヴィッチが演出ということと、松たか子が好きであるということで録画していた演劇『2人の夫とわたしの事情』を見た。
松たか子がわがままな女を演じていた。
『人間の絆』でもそうだが、モームにはわがままで嫌な女が登場する。たぶん女は嫌なものだと思っているのだろう。
演劇は戦争で死んだと思っていた夫が帰ってきてドタバタするあたりの前半はとてもおもしろかった。
後半の話の展開はよくわからなかった。

松たか子は声が聞きとりやすい。
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☆演劇と講義

2010年05月12日 00時08分22秒 | 舞台
今日は演劇鑑賞。
後藤ひろひとのものを見に行った。
最近、ケラリーノ・サンドロヴィッチか後藤ひろひとしか見ていないのだが、他にもいいホンを書いている人はいるのではないかと思っている(カタカナでホンって書くのってお芝居っぽいですよね)。NHKの衛星放送で深夜にやっている番組を録画して、見て、最近の演劇事情にもっと詳しくなりたいとは思いながらも、二時間なり三時間なりをテレビの前で過ごすのがだんだんと億劫になり、結局録画しただけで見ないままに削除するということがよくある。

NHK教育で「ハーバード白熱教室」という番組があり、大学の政治哲学の講義を放送する番組で、この間初めて見たのだがなかなかおもしろい。たいへん濃い番組だ。
この間はカントについて語っていた。
質問し、生徒が回答すると、「君の名前は?」と教授が問うのだが、「笑点」の「座布団一枚やっとくれ」みたいなものだろうか。たぶん言われた方はものすごく嬉しい一言だと思う。
おもしろい番組なのだが、一時間集中してテレビを見なければならないのがたいへん。
坂本龍一の「スコラ」といい、この番組といい、ここんところ講義番組がおもしろい。
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☆ひさしぶりの演劇鑑賞

2009年05月27日 00時34分56秒 | 舞台
今日は演劇鑑賞。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の「神様とその他の変種」を見に行った。
ケラリーノ・サンドロヴィッチの芝居はテレビではいくつか見たことがあるのだが、実際に見るのは初めて。
彼の芝居では、タイトルや出演者、そのほかちょっとした時間経過(「あれから三年経ちました」みたいな)とかが映像で流れるをよく見るのだが、あれはテレビだからそういう編集になっているのかと思っていたけれど、きちんと舞台上に映像が流れた。
うまく作っているな、と感心した。映画みたいだった。
テレビで見るのとはやはりちがう。

ちょうどこの間村上春樹の「ノルウェイの森」を読んでいて、語り手が動けなくなった病床の男(緑の父親)に、ギリシャ悲劇について語る場面があった。
ごちゃごちゃになってしまった人間関係を最後に神が現れて交通整理をする「デウス・エクス・マキナ」について語っていたのだが、今回の演劇も最後にラジカセを持った神様が現れて交通整理をしようとする場面があり、「おお、デウス・エクス・マキナ!」と思った。
とてもおもしろい舞台でした。

お酒を飲んで帰宅。
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☆倉持裕「開放弦」感想

2007年04月28日 12時25分37秒 | 舞台
午前中にテレビで放送していた、倉持裕作、G2演出の「開放弦」を見た。
倉持裕の芝居を見るのは初めてだと思う。いつか何かをテレビで見ようとして録画したけどそのままになり見ずに終わったことがある。
「開放弦」とは、
《弦楽器の弦を、左指で押さえないで奏する場合の、その弦。》
らしい。辞書に書いてあった。ふむふむ、ぜんぜん知らんかった。
右手が使えなくなった夫の丸山智己の代わりに、水野美紀が彼の右手の役割をしてギターをふたりで弾き、作曲する。最後に、夫が死んでしまって水野美紀がひとりで右手の部分だけで曲を演奏するが、周りのみんなには曲として聞えない。水野美紀ひとりにはふたりで演奏した曲が聴こえる。
ひとことで言うと、そういう舞台でした。
まあまあ面白かった。
大倉孝二と犬山イヌコの芝居はわりとよく見るので、なんとなくいろんな場面に既視感がある。
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