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森田芳光監督『椿三十郎』

2021年03月30日 00時25分53秒 | 映画
録画していた森田芳光監督『椿三十郎』を観た。
黒澤明の『椿三十郎』が大好きなので、興味はあったのだがこれまで機会がなくて観ていなかった。
おもしろかったが、ひさしぶりに黒澤明のほうも観たくなった。
顔の長い人って誰だろうと考えていたのだが、藤田まことは思い浮かばなかった。たしかに顔が長いと言えば藤田まことだった時期があった。しゃべりかたに品がある。懐かしい。
中村玉緒は誰かの真似をしているようにゆっくりしゃべる。これは良くない。
織田裕二も三船敏郎を意識しているが、それほどの違和感はない。違和感があると言ってしまえば織田裕二のしゃべりかたにそもそも違和感がある。
この映画は時代劇であるのに血が流れない。織田裕二はどんどん人を斬っていくが血が流れない。最後の豊川悦司との対決でも、黒澤版では三船敏郎と仲代達矢がさんざん睨み合って(感覚では五分ほど)、一瞬で勝負がついて仲代達矢から大量に血が噴き出すイメージなのだが、この映画では豊川悦司は血を流さない。流れているように見えて流れていないという演出を森田芳光がやりたかったか、血が流れるのを織田裕二が嫌ったのだろう(「どうして現場に血が流れるんだ!」)。
楽しい映画だった。
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井上靖『孔子』

2021年03月29日 00時45分28秒 | 文学
井上靖『孔子』(新潮文庫)を読んだ。
単行本の刊行時期から考えると、ベストセラーとなっていたこの本を中学の最後か高校の初めの頃に私は読んでとても感動したことを覚えている。おそらく学校の図書室で借りて読んだのだろう。
いま読むと、十五歳くらいの男子が何を思って感動したのかまったくわからない。
語り手によって同じ話が繰り返されたり、そんなに感動するようなこともいま読むとあまりないのだが、当時は雰囲気にやられたのだろう。箱入りの本を読むのも初めてだったし。
「巧言令色鮮し仁」という言葉がひどく気に入ったのを覚えている。
孔子が十五で学に志して七十で矩を踰えず、という話はぜんぶひとつながりの発言で、私の人生はこのようでしたと一息に語ったように思っていたがこの小説を読むといろいろな言葉をつなぎ合わせて一つの言葉としているというように読めた。本当かどうかはわからない。それを熱心に調べる気もいまはない。
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『俺の家の話』最終回

2021年03月26日 23時52分03秒 | テレビ
テレビドラマ『俺の家の話』の最終回を見ていたら、能の「隅田川」を演じている傍で西田敏行と長瀬智也が話をするというちょっと見たことがない展開で、「隅田川」というのはどのような話なのだろうかと気になり、白洲正子の『能の物語』の「隅田川」を読む。
狂った女が、川で渡し舟に乗せてもらい、向こう岸で法要が行われているのを見つけてそれが人買いにさらわれた自分の息子の法要であることを知るという話だった。そして、念仏を唱えるとそれに合わせる息子の声がして、死んだ息子が現れる。
やはり能を題材にしている『俺の家の話』では、死者が現れるということをやらなければならなかったのだろうな、と思った。
古典芸能を題材にして、話を複雑にする宮藤官九郎には感心するのだが、『俺の家の話』がむちゃくちゃおもしろかったかと問われればそうでもない。『タイガー&ドラゴン』や『あまちゃん』のほうがおもしろい。わりと見ているほうだが、いまいちだと思うものも多い。しかしこれからも見ていく。
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「プロフェッショナル 仕事の流儀」庵野秀明スペシャル

2021年03月24日 23時14分20秒 | テレビ
録画していたNHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」の「庵野秀明スペシャル」を見た。
『エヴァンゲリオン』のファンでは全くないので、新作映画にはこれっぽっちの興味もないのだがおもしろい番組だった。こんな番組はNHKでしか作れない。「情熱大陸」ではこうはいかない。
安野モヨコがとっても良い奥さんだった。

番組を見るかぎり、最後のほうに焦って作り始めるくらいなら、最初のほうの熱海での合宿でももっと本気で取り組んでいればいいんじゃないかなと思った。「まだわからない」とか「明日は来ません」とか言ってたけど、もっと早くからエンジンかければいいじゃないかと思った。ああいうやり方が好きなのかもしれないが、僕としてはもっと計画的にやりたい。あんな無駄の多い仕事のやり方は嫌だなと思った。
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山田洋次監督『男はつらいよ お帰り 寅さん』

2021年03月24日 00時06分57秒 | 映画
山田洋次監督の『男はつらいよ お帰り 寅さん』を観た。
「くるまや」の仏壇に寅さんの写真はなく、おいちゃんとおばちゃんと満男の死んだ妻の写真が飾られるので寅次郎は死んでないということなのだろうか。だれも寅次郎の現在やあるいは死に際について話をしないという不思議な空間だった。
吉岡秀隆と後藤久美子はどちらも眼光鋭くなった。なぜだろう。
この映画が公開されたときに見たNHKの特別番組で、自動車の車内で現在の満男(吉岡秀隆)が泣くシーンがあったように思うが無かった。カットされたのだろうか。
倍賞千恵子と夏木マリの声を聞くと宮崎駿を思い出す。
御前様が笹野高史になっていて、いい役者がいなくなったんだなあ、と思った。
橋爪功に非常に違和感を感じた。夏木マリはあんな男と結婚したのだろうか、違う気がするなあ、と思って調べると昔は寺尾聰だった。
吉永小百合も出るべきだったな。山田洋次は吉永小百合に出演交渉の長い手紙は書かなかったのだろうか。
桑田佳祐はいらなかったと思う。

とにかく不在ばかりを感じて「お帰り」というより「さよなら」だなと思った。
でもまあ懐かしい感じはして良かった。
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三谷幸喜監督『ザ・マジックアワー』

2021年03月22日 23時05分41秒 | 映画
三谷幸喜監督の『ザ・マジックアワー』を観た。
三谷幸喜の映画は最後にうまくまとまるものとまとまらないものがあって、大半がまとまらないのだが、この映画もうまくまとまらなかった印象だ。
楽しいのだが、最後はよくわからないまま終わる。
それが少し残念。もっと「きれいにまとまったな」と思いたい。
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ミシマ社編『THE BOOKS green 365人の本屋さんが中高生に心から推す「この一冊」』

2021年03月22日 11時56分49秒 | 文学
ミシマ社編『THE BOOKS green 365人の本屋さんが中高生に心から推す「この一冊」』(ミシマ社)を図書館で借りて読んだ。
最初にこの本の企画について、三島邦弘が、ある作家が学生時代に部活の先輩から一冊の本を薦められたことから本を読むようになったというエピソードを聞いたことがきっかけというように書いているが、やはり知っている人間から薦められることが必要なように思う。
見知らぬ書店員365人から薦められても、読む気には(私には)ならない。

色川武大の『うらおもて人生録』と伊丹十三の『ヨーロッパ退屈日記』を読もうという気になったが、これもここで薦められたというよりは思い出したという感じ。
『うらおもて人生録』は糸井重里が何かを書いていて、読もうと思ったことを思い出した。
『ヨーロッパ退屈日記』についてはいつから気になっているかもうわからないくらいずっと気になっている。
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日本アカデミー賞授賞式

2021年03月20日 08時27分56秒 | テレビ
昨夜は「日本アカデミー賞授賞式」をテレビで見たが、ひさしぶりにおもしろかったように思う。
草彅剛はこの前NHKで見たドラマ『ペペロンチーノ』も良かったが、最近よい仕事に恵まれているのだと思う。たぶんこちらもSMAPにまつわるいろいろなことを勝手に想像して思ってしまうので、スピーチも良かった。『ミッドナイトスワン』もそのうち見たい。
その他では、『罪の声』は興味を持っていたのだが案外受賞しなくて「おもしろくないのかな」と思った。『浅田家!』は興味がなかったのだが、妻夫木聡がいいお兄ちゃんっぽくて見てみたい。
『男はつらいよ お帰り 寅さん』はテレビ放送を見る。
『窮鼠はチーズの夢を見る』と『事故物件 恐い間取り』にも少し興味を持った。
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吉川英治『新・平家物語(十五)』

2021年03月20日 07時45分14秒 | 文学
吉川英治『新・平家物語(十五)』(新潮文庫)を読んだ。
屋島での戦い。だんだんと平家の終わりが近づきつつある感じ。
このあとの那須与一が扇を射つ話は有名で、そのあとの話を知らないが、そこが次の巻で読めるのだと思う。那須与一が扇を射ち落としたから源氏が勝ったというようなイメージがあるが、たぶんそんなスポーツ競技のようなイメージは間違ったイメージなのだろう。そのあとに殺し合いがあるのだろう。
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頭木弘樹編『絶望図書館』

2021年03月18日 09時46分46秒 | 文学
頭木弘樹編『絶望図書館』(ちくま文庫)を図書館で借りて読んだ。

「おとうさんがいっぱい」三田村信行作・佐々木マキ画
たいへんおもしろくて、少しおそろしくて読んでしまった。

「最悪の接触(ワースト・コンタクト)」筒井康隆
筒井康隆らしいといえばらしいのかもしれない。あまり好きではなかった。

「車中のバナナ」山田太一
良い。もらったバナナを食べない自由もある。

「瞳の奥の殺人」ウィリアム・アイリッシュ
身体の自由がきかない老婦人が瞬きの回数によって相手にイエス・ノーを伝えるこの話を、子どもの頃にテレビの二時間ドラマで見たような気がする。女優は誰だったろう。(あとがきで「土曜ワイド劇場」のことが書かれていたが、1977年放送ということで僕は見ていないはずだと思う。再放送があったのだろうか。)
おもしろくてわくわくしながら読めた。

「漁師と魔神との物語」(『千一夜物語』より)
ものすごく暇になったら『千一夜物語』を読みたい。

「鞄」安部公房
安部公房の良さが私にはわからない。

「虫の話」李清俊
深い感動、というのでもなく、なにかごつごつした感じで、これまで読んだことのない本であるということはわかる。
キリスト教についてものすごく考えることができる。

「心中」川端康成 
わからない。

「すてきな他人」シャーリイ・ジャクスン
これもよくわからない。配偶者が実はそっくりな他人であると考えるとわくわくするという感じはちょっとわかる。

「何ごとも前ぶれなしには起こらない」キャサリン・マンスフィールド
さらによくわからない。

「ぼくは帰ってきた」フランツ・カフカ
短くてわからない。

「ハッスルピノコ」(『ブラック・ジャック』より)手塚治虫
読んだことがある。自分に子どもが出来てみて、いま読むとピノコは娘に似ているように思う。手塚治虫には娘がいたと思うが、モデルなのかもしれない。小さい女の子の感じがよく出ている。
『ブラック・ジャック』を読んでピノコのことがかわいいと思ったことなどなかったと思うけれど、いま読むとかわいい。
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