ダブログ宣言!

ひとりでするのがブログなら、
ふたりでするのがダブログ。

河合隼雄『こころの読書教室』

2014年03月31日 21時51分09秒 | 文学
河合隼雄『こころの読書教室』(新潮文庫)を読んだ。
河合隼雄がおすすめの本を挙げて、それについて語りながら心理学についても語るという感じの本。
村上春樹の『アフターダーク』は私にとっては理解不能な小説で、この小説についてきちんと誰かが語るのを聞いたことがなかったが、河合隼雄はきちんと批評していた。
ほかに気になったのはモーリス・センダック『かいじゅうたちのいるところ』、ユング『ユング自伝』くらい。
コメント

水村美苗『本格小説』読了

2014年03月31日 00時47分27秒 | 文学
水村美苗の『本格小説』の下巻を読んだ。
非常に面白かった。
ほんとうに、ここ何年読んだ本のなかでも「いちばん」と言っていいくらいおもしろい。
エミリー・ブロンテの『嵐が丘』を読んで、どのくらい似ているのかを確認したくなった。それと、水村美苗の本はすべて読んでいくべきだと思った。
なにがそんなにおもしろかったのかは、具体的にはよくわからないのだが、ほんとうに上手で、わくわくする本だった。「ほんとうに上手で」とは言ったが、それを具体的には言えない。ほんとうにおいしい料理は食べたらわかる(食べないとわからない)、としか言えない。
読んでいて思ったのだけれど、僕はひとが金持ちになる話が好きなのだと思った。土屋冨美子が途中で「キャリア・ウォマン」となり裕福になるのだが、そこのあたりがたまらなく好きだった。
村上春樹の小説でも金持ちになる話はいくつかあるような気がするが、やはり好きな気がする。『ねじまき鳥クロニクル』の第3部も、また『1Q84』も主人公が金持ちになる過程があり(青豆が金持ちになったのか思い出せないが、いい部屋に住んで『失われた時を求めて』を読んでいた気がする)、そういう描写がなんだか好きだ。いや好きだったことにいま気が付いた。

主人公や語り手が金持ちになっていく小説をこれから特に選んで読んでいきたい。

最後あたりに、土屋冨美子と東太郎に実は肉体関係があったという話を冬絵がして、この小説全体をひっくりかえすような、なんだかおさまりのつかない、のどに魚の骨が引っかかったような気分で小説は終わる。
東太郎はよう子ひとすじではなく、純愛じゃないじゃないか、ということもあるが、語り手土屋冨美子が、ほんとうのことをすべて言っているわけではない、というところにおもしろさがある。
カズオ・イシグロを再読したくなった。
コメント

米アカデミー賞

2014年03月22日 23時12分46秒 | 映画
アメリカのアカデミー賞授賞式を見た。
見たいと思ったのは、『ゼロ・グラビティ』、『ブルージャスミン』、『8月の家族たち』。
『ゼロ・グラビティ』は原題は「グラビティ」だけなのに「ゼロ」が付いたのは、マイケル・ジャクソンの影響なのだろうな。
『8月の家族たち』もなんとなく、メリル・ストリープの過去作品『めぐりあう時間たち』を思わせるタイトルになっている。
なんでもいいから、なんかひっかかるタイトルを考えるのだろう。
コメント

水村美苗『本格小説 上』 女中小説の系譜

2014年03月21日 21時12分20秒 | 文学
水村美苗の『本格小説』の上巻を読んだ。
この小説は、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』と同じように(といってずいぶん前に読んだのであまり覚えてはいないのだが)、語りが重層的になっていて、ある語り手が別の人物の話を聞き、その話の中で別の語り手の話があり、という構成になっている。
はじめに作者の水村美苗が語り、アメリカで日本人の元編集者(たぶん新潮社と思われるが)の加藤祐介に出会い、かつての知人である東太郎の話を聞かされる。加藤祐介は信州で出会った土屋冨美子から東太郎の話を聞かされたということになっている。
つまり、
 水村美苗(一人称)→加藤祐介(三人称)→土屋冨美子(一人称)
の順に話が進んでいく。
いまは土屋冨美子の一人称の語りで、かつて東太郎がどれだけ貧乏だったか、そしてそのまわりにはどのようなお金持ちがいたか、という話をしている。お金持ちの話はどうしてもプルーストを思い出させる。
結局、語りをわくわくさせながら読ませるのが小説の醍醐味なのだなと思わせる。語り手をどんどん変えるが、たまねぎの皮をめくっているのと同じで最終的に何か世界の真理に近づいているというわけではなく、たまねぎの皮がめくれること自体が楽しいのだ。

女中が語り手の小説というものに興味を持って、中島京子『小さいおうち』と幸田文『流れる』を続けて読むのもおもしろいかもしれないと思っている。
コメント

ダニー・ボイル監督『スラムドッグ$ミリオネア』

2014年03月21日 01時24分37秒 | 映画
ダニー・ボイル監督『スラムドッグ$ミリオネア』を見た。
おもしろくないことはないが、とてもおもしろいわけではない、映画だった。
少し前に見たのであまり印象に残っていない。
インド映画風に最後はみんなでダンスというところがいちばん印象に残っている。
コメント

『政治の世界』と『本格小説』と「私の嫌いな探偵」

2014年03月11日 23時07分49秒 | 文学
丸山真男の『政治の世界』と水村美苗の『本格小説』を読んでいる。
どちらもちょっと骨のある本で、なんかもうすこし気楽な本を読みたいと思いながら、ここで別の本に手を出したらもう戻ってこられなくなるのではないかと思い、読んでいない。
でもどちらも分厚い本なので、そのうちほかの本に手を出すかもしれない。
水村美苗の『本格小説』は前作『私小説』と同じような話から始まる。『私小説』ではアメリカで姉の奈苗と長電話する美苗が主人公の、不思議な小説だったが、今作でも奈苗と美苗が登場する。だた、いま読んでいるのは「本格小説の始まる前の長い長い話」と題された章で、次章からは登場しないのかもしれない。東太郎という、アメリカでお抱え運転手から身を立てて成功したという日本人を巡る話が中心になるのだろう。
水村美苗の小説は退屈しそうなのに退屈しないのが不思議だ。とてもおもしろい。上手なのだろう。
なんだか村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』のトニー滝谷の話を思い出すような、しかし『ねじまき鳥クロニクル』の内容をほぼ忘れてしまっているので思い出せない、そんな雰囲気の話だ。

テレビドラマ「私の嫌いな探偵」が終わった。
最後まで中途半端な感じのドラマだった。
気楽なドラマだった。もう少し、本格ミステリーを期待したのだが、その部分は期待外れだった。
コメント

司馬遼太郎『播磨灘物語』読了

2014年03月08日 15時00分50秒 | 文学
司馬遼太郎『播磨灘物語』(講談社文庫)の四巻を読んだ。
明智光秀が死ぬまでをきちんと描き、そのあとはざっと黒田官兵衛が如水と称するようになって死ぬまでを描いていた。
司馬遼太郎の小説の中では最後まで飽きずに読めたほうだった。
大河ドラマは最後まで見なくてもいいかなと思うが、備中高松城の水攻めは映像としてどのようになるのか気になるので見るかもしれない。

昨日日本アカデミー賞の授賞式を見たが、気になる映画はあまりなかった。今年は『東京家族』と『そして父になる』を見ていたので例年よりは興味があったのだが、そのどちらでもなく作品賞も監督賞も『舟を編む』だった。
また、渡辺謙のことが嫌いになってしまった。
コメント